孤独は伝染する?現代人が孤独な理由とは。
Lifestyle 2024.02.26
常に誰かと繋がっている時代、「FOMO(Fear of missing out、見逃したり取り残されることへの恐怖)」なる言葉さえ生まれる一方で、なぜ私たちはこれほどまでに孤独を感じているのだろうか? フランス「マダム・フィガロ」のリポート。
現代人が孤独な理由。illustration : Jorm Sangsorn/Shutterstock
現代社会のパラドックス。人々がこんなに繋がっている時代になったのに、孤独感は深まるばかりだ。ヴィアヴォイス社とブルームタイム社がシンクタンクのジャン・ジョレス財団の依頼で行った調査研究によると、フランス人の46%、すなわち半数近くが孤独を感じていると答えている。
多様な孤独
おそらく、この孤独という言葉の背後にその答えは潜んでいるのだろう。ひとことで孤独と言っても多様な孤独があるからだ。
まず第一に、孤立の概念に近い「客観的孤独」と、感情面での「主観的孤独」には根本的な違いがある。客観的孤独は数字上では減少傾向にあるが、主観的孤独は増加傾向にある。
今回の調査研究では、主観的孤独感に焦点を当て、人々の感じ方をマッピングしている。コロナ禍で顕著になった人間関係の"病理"を表現するのに、社会症とでも訳せそうな「ソシオス」なる言葉を使い、その多様な現れ方を分析した。そして自分の時間のコントロールを取り戻すプロセスで自ら選び取る「幸福な」孤独と、「人間関係の試練による」孤独、あるいは、虚無感や(仕事などで感じた)むなしさ、「無為の感情による」メランコリックな孤独を区別している。
SNSの役割
調査研究を執筆したひとり、アドリアン・ブロッシュは、SNSの果たす両義的な役割を指摘した。「SNSは社交の場を提供し、そこで過ごすことで人々に孤独ではないという錯覚を与える。これは調査の数字にも表れている。10人中6人が、SNSは孤独感を減らすのに役立っていると答えているが、SNSの機能と性質は変化した。それに伴い、人間関係へ与える影響も変化している。
第一世代のSNSは友人や内輪の人たちと連絡を取り合い、繋がることがすべてだった。しかしいまやリールやショートなどで知らない人の動画を見るのが一般的だ。こうした傾向が、誰かと対話したり新しい出会いをしたりすることに役立たず、逆に関係を固定化し、閉じこめてしまうことが調査で認められた」
自己啓発理論や自分のための時間を擁護する人たちは孤独のメリットを称賛する態度を取る。だがそんな風潮に対し、この調査研究ではやんわりと釘を刺す。「賛成派は現実を知らない人が多い」と。
孤独を選ぶということは、他者との関係が損なわれることがあるということだ。夫婦であるためには時間と投資が必要であり、子どもの教育にも時間がかかるという考え方は、あらゆるものがコストと便益の計算に基づいて測定され、評価される時代に定着しつつある。
若い女性の出産に対する考え方さえ変わりつつある。2022年にIfopが行った世論調査では、出産適齢期の女性の30%が「子どもは欲しくない」と答えている。もちろん、環境への不安や、女性の社会進出が遅くなっていることなど、さまざまな理由があるが、子どもを持つことで人間的な成長が妨げられるのではないかという不安もあることは確かだ。
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公的援助
日本に代表されるいくつかの国は、孤独・孤立対策の担当大臣を設け、これらの問題を公共政策の中心に据えている。フランスでは、「連帯」を通じて解決しようとしているようだ。
2023年の調査によれば、「各国政府はこの問題を医療・社会分野で解決を図ったり、ボランティア活動に委ねることで解決しようとしている」そうだ。6年前、ご近所づきあいを復活させようとフランスのパリで発足した「ハイパー・ヴォワザン協会」のような団体が政治を動かそうとしている。
毎年パリ14区で1,000人規模のランチを開催し、ニューヨーク・タイムズ紙にも取り上げられたことで知られるこの協会は、地域レベルでの社会のつながりの再構築を目指すものだ。「私たちは、明日の都市で共に暮らすことがどのようなものか、思いを巡らせているのです」と同協会創業者のパトリック・ベルナールは語る。
インフレ、地政学的、経済的不安により、都市生活者の暮らしがさらに内向きになっている状況において、これは都市の人間関係に関するひとつの実験だろう。
(1) 『De la solitude choisie à la solitude subie, enquête sur une "sociose"(原題訳:選択した孤独から耐える孤独まで、"ソシオス"に関する調査)』、アドリアン・ブロシュ、フランソワ・ミケ=マルティ、リュシア・ソシアス著、ジャン・ジョレス財団出版
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text : Céline Cabourg (madame.lefigaro.fr)