テープで壁に貼られたバナナ、約9億6000万円で落札。
Lifestyle 2024.11.26
イタリア人アーティスト、マウリツィオ・カテランの作品「コメディアン」は、本物のバナナと太いガムテープで構成されており、ニューヨークのオークションで記録的な価格で落札された。特に果物としては驚異的な価格である。
2020年11月20日、北京で開催された個展「Maurizio Cattelan:The Last Judgment」で発表されたマウリツィオ・カテラン作「コメディアン」。photography: China News Service / China News Service via Getty Ima
2019年、アーティストのマウリツィオ・カテランは、3点限定で制作した作品を発表した。この作品は、アンディ・ウォーホルが1967年にプロデュースしたヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビューアルバムのジャケットに使用された有名なバナナのシルクスクリーンへのオマージュのように見える。カテランのバナナは当初、12万ドル(約1850万円)で取引されていた。この作品は、本物のバナナと果物を壁に貼り付けるためのテープ、さらに作品の所有者に提供される認証書と、バナナの取り付けや交換方法を説明したマニュアルで構成されている。「コメディアン」と題されたこの作品は、アルテ・ポーヴェラの伝統を受け継ぐと同時に、金融商品のように非物質的な投資となりがちな芸術作品の潜在性を暗に批判し、大きな反響を呼んだ。
最近、マウリツィオ・カテランの作品「コメディアン」の1点がニューヨークのサザビーズで競売にかけられた。予想落札価格は約100万ドルと高額だったが、それを大きく上回る520万ドル(約8億円)で落札された。手数料を含めると最終価格は620万ドル(約9億6000万円)に達した。このバナナ自体は、『ガーディアン』紙によれば、当日の朝に30セントで購入されたものだと言われている。
さて、このバナナが腐る前に交換し続けるというユニークな役割を担う新たな所有者とは? その人物は、仮想通貨TRONの創設者であるジャスティン・サンで、購入費用を暗号通貨で支払ったとされている。バナナが、ゴールドや不動産をも超える投資価値を持つ......これこそ、デジタル時代の新富裕層の象徴とも言えるのではないだろうか?
From madameFIGARO.fr
text: Joseph Ghosn (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi