脳の健康のためには「歯ぐき」にも注意すべきワケ。
Lifestyle 2025.04.03
口内環境をきちんと整えることは、口臭を防ぐだけでなく、ほかの慢性疾患の予防にもつながる。これは、神経科学者で統合生物学博士のエミリー・スタインバッハがSNSで呼びかけていることだ。
口内環境をきちんと整えることは、慢性疾患の予防にもつながる photography: EXTREME-PHOTOGRAPHER / Getty Images
朝、そして可能ならばランチ後、それから、もちろん夜。歯磨きは不可欠だ。これは審美的な理由や快適性のためだけではない。
神経科学者で統合生物学博士のエミリー・スタインバッハがラジオ局「Beur Fm」でのインタビューの様子を、インスタグラムでも公開している。彼女はそこで、口腔内の環境悪化が身体、特に細胞や脳に与える影響が過小評価されていると警鐘を鳴らす。特に、口腔内に生息する細菌が私たちの健康に影響を与えているという。
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炎症のプロセス
口腔内の健康状態悪化が最初に現れるのは、歯ぐきだ。歯ブラシで出血したり、知覚過敏を感じたりしたら、歯科医に相談すべきだとスタインバッハは勧める。
「私たちの口内に生息する微生物は、歯垢と呼ばれる丈夫なコロニーを作り、歯ぐきの表面を『攻撃』します。そして、その刺激によって局所的な炎症を引き起こし、歯ぐきを弱らせていきます」
皮膚が弱まり、その透過性が高まれば高まるほど、細菌の体内への侵入を許し、より大きな炎症反応を引き起こすことになる。
「それはまるで、体内に大きな渋滞が起こり、臓器間のコミュニケーションが悪化するような状態です」。この問題の直接的な結果の一つは、インスリン抵抗性だという。言い換えれば、血糖値の調節に関わるホルモンであるインスリンに対する、細胞の反応が鈍くなることだ。この現象は、二型糖尿病のリスクを高めることにつながると説明する。
なかでも特に要注意だという細菌が「ポルフィロモナス・ジンジバリス」だという。この細菌は、歯ぐきの出血の原因になる。スタインバッハが話すように、この細菌は二型糖尿病だけでなく、脳に関わる他の疾患を促進する可能性もある。「こうした歯ぐきの問題を抱える人は、アルツハイマー病の発症リスクが高いことがわかっています」
予防するには?
歯科外科医のナタリー・デルファンは、きちんと口内を洗浄し、エナメル質を再石灰化させるためにはフッ素入りの歯磨き粉を使い、電動であれ手磨きであれ、柔らかいブラシを使うことを勧めている。
具体的には、まず歯ぐきも含めた口腔内全体をブラッシングし、よくすすぐ。さらに、特に夜眠る前には、デンタルフロスか歯間ブラシを使うこと。食べかすと歯垢を取り除くためだ。
これはできれば毎食後、1日2〜3回、理想的には何かを口にした後には毎回繰り返すべきだとスタインバッハは言う。
From madameFIGARO.fr
この記事は、madameFIGARO.frで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
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text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr) translation: Shion Nakagawa