バチカンでふたりの仕立て屋が次期教皇の衣装の製作をめぐって争っている?
Lifestyle 2025.05.08
新しい教皇を選出するコンクラーベが始まったばかりのいま、バチカンの伝統的な仕立て屋ガンマレッリには依頼が入っていない。一方、長年のライバル、マンチネッリはこの状況をうまく利用しようとしている......。

コンクラーベはついに始まったが、バチカンの外ではすでにさまざまな議論が巻き起こっている。その話題はもちろん次期教皇の人物像についてだが、同時に「仕立て屋は誰になるのか?」という点にも注目が集まっている。1798年に創業されたガンマレッリは、聖職者の衣服を専門とする老舗テイラーであり、有名な赤い靴下でも知られる。多くの著名人や政治家がこの靴下を愛用していることで知られている。ガンマレッリは100年以上にわたり、新教皇が選出された直後に公の場で初めて身につける衣装を仕立ててきた。その衣装は、短めのケープ付きの白いカソック(祭服)、絹の帯、そして教皇用の小さな帽子(カロッタ)で構成される。この衣装は、教皇の体型が事前にわからないため、同じデザインでサイズの異なる3種類(小・中・大)が用意される。
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仕立て屋たちの戦い
今回、バチカンは歴史ある教皇の仕立て屋に衣装の注文を出さなかった。実際、2016年から従兄弟たちとともに店を切り盛りしているロレンツォ・ガンマレッリ(52歳)は、バチカン側から「衣装の準備は自分たちで手配した」と知らされたという。これは、別の仕立て屋に依頼した可能性もあるが、一度も使われたことのない備蓄品の中からカソックを選ぶ可能性の方が高い。この知らせを受け、ガンマレッリの同業者であるマンチネッリが動き出した。彼は1962年から聖職者の衣服を手がけているが、今回は自らの判断でバチカンに3着の衣装を用意し、送る準備を進めているという。ただし、彼のもとにも公式な注文が届いたわけではない。
ライバル心が渦巻く中、ガンマレッリにとって教皇の初めての衣装を手掛けることは、名誉でありながらも大きな責任を伴うものである。この特別な衣装は、教皇がサン・ピエトロ大聖堂のバルコニーに初めて姿を現す際に着用する。現在、教皇選挙(コンクラーベ)が進行中であり、次期教皇が着る衣装が未使用の古い衣装となるのか、それとも別の仕立て屋によって新たに作られるのかはまだ不明だ。その答えは、選挙結果が発表される日まで明らかではない。
From madameFIGARO.fr
text: Elvire Emptaz (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi