スポーツドクターが教える、ランニングにまつわる7つの誤解。
Lifestyle 2025.05.24

ランニングに興味があったとしても、実行するのに躊躇する人が多くいるかもしれない。その理由は、このスポーツに対する先入観があまりにも多くあるからだ。スポーツドクターが誤解の真偽を解き明かす。
新しい運動を試してみたい、スポーツを始めたい、あるいは将来のマラソン大会参加に備えてトレーニングをしたい......など、ランニングを始めようと考えているなら、意欲をそいだり、練習を妨げるような先入観は邪魔でしかない。それを避けるために、スポーツドクターのヴィクトリア・チャイコフスキーが指摘する、よくあるデマをおさえておこう。
×「ランニングは膝の関節炎の原因になる」
ジョギングは関節を傷め、関節炎を引き起こすと多くの人が信じている。しかし、これは誤った認識だと医師は説明する。「走ると筋肉が発達し、膝の周りの軟骨も強くなります。軟骨は衝撃を吸収することで関節を保護し、骨密度を高めます」
×「ジョギングは椎間板を圧迫する」
ランニングをすると、腰痛や椎間板の圧迫が起こるという話を聞いたことがない人はいないだろう。医師は、人間とは歩くことと走ることを目的に作られていると指摘する。「私たちの背中の筋肉は身体を支えるのに十分な強さがあり、長距離を走れるほどの強度があります」と彼女は続ける。「そして、ランニングは椎間板を損傷するほどの過酷な運動ではありません」。一方、転倒や外傷によって、椎間板が損傷するリスクはある。
×「筋力トレーニングを並行して行うのは意味がない」
ランニングと筋力トレーニングは、相容れないものではなく、むしろ相補的な関係にある。ランニングに筋力トレーニングを組み合わせることで、パフォーマンスと持久力を向上させることができる。「筋力トレーニングで筋肉量を増やすことで、より軽い足取りになり、関節への負担が軽減され、ランニング中のエネルギー消費量が少なくなり、疲労も軽減されます」と医師は語る。週3~4回、太ももの前側(大腿四頭筋)、後ろ側(ハムストリングス)、お尻の筋肉を鍛える軽い負荷のエクササイズを行い、その後、スクワットや垂直・水平ジャンプなどのプライオメトリックトレーニングを行うといいだろう。
×「靴のソールは厚いものを選ぶ」
「ソールが厚すぎるシューズを履いている人は、かかとから着地する傾向があり、歩幅が生理的に不自然になるうえ、かかとに炎症を起こす可能性があります」と医師は警告するが、「研究では、薄いソールのシューズの方が歩幅が軽くなるという結果も出ています」と彼女は付け加えている。ただし、注意が必要だ。「これらのミニマリストスニーカーは、ふくらはぎや腱に痛みを引き起こす可能性があります」と医師は注意を促している。では、最適なのは? 「同じ靴を履き続けるのではなく、まめに交換して、足裏にかかる圧力を変えることで、ケガを予防しましょう」と、医師は推奨している。
×「肥満の人は走ってはいけない」
太り過ぎの人にとって、ランニングは禁忌ではない。「それどころか、体重を支える筋肉量が多いため、ランニングの衝撃に耐えられるのです」と医師は説明する。
×「空腹で走ることは良いこと」
スポーツドクターは、これは誤った考えだと指摘する。「空腹状態では、身体は代謝ストレスの状態になり、エネルギー源が不足するため、低血糖や体調不良になるリスクが生じます」。これを防ぐには、ランニングの30分前にバナナやひと握りのアーモンドなどの軽食を摂るといいだろう。
×「ランニング中に水分補給は不要」
1時間以上走った後は、身体に水分補給が必要だと医師は強調する。水だけでは発汗によるミネラル塩の損失を補うことができないため、水分補給にはならない。そのため、医師は電解質が豊富な飲料を飲むことを勧めている。
From madameFIGARO.fr
text: Shapnam Mougammadou (madame.lefigaro.fr) translation: Eri Arimoto