「もう同じ過ちは繰り返さない」フランスで50歳以降の再婚が増えている理由とは?
Lifestyle 2026.01.30

50歳を過ぎ、離婚する人は以前より増えているが、結婚する人も同様に増加している。なぜこの「シルバーウェーブ」が起きているのか? 欲求と自由への渇望の間で、愛の回復は未来への賭けとなっている。
「20年以上の結婚生活で愛がしぼみ、消えてしまっても、人生はぱったりと終わるわけではありません。美しい明日があるのです。」と、ヘアサロンの経営者サンドリーヌは語る。58歳の彼女は、7年前に最初の夫と別れた後、再婚した。彼女は知らず知らずのうちに、いわゆる『熟年離婚(グレー離婚)』『熟年結婚(グレー結婚)』と呼ばれる現象の対象になっていた。ここでいう「グレー」とは、50歳以上で別れたり結ばれたりする人々の髪の色にちなんだ言葉である。こうした人生の折り返し地点で起きる出来事は増加傾向にある。
フランスの国立研究所INSEEによると、50歳以上の女性が関わる離婚の割合は1990年の10%から2020年には47%にまで増加した。それはなぜなのか? 理由はまず構造的なもので、高齢者(65歳以上)は現在フランスの人口の20.5%を占め、以前より長く、より健康に生きるようになった。すると、人生をより長期的に見通せるようになり、再スタートの可能性が生まれたのだ。「年齢は"若返った"のです」と社会学者セルジュ・ゲラン氏は強調する。「同じ年齢でも、私たちは親世代のときより若々しい。これは社会学的な概念であると同時に、生物学的な現実です。科学的には、1950年生まれの人は1940年生まれの人より、同じ年齢でも8歳若いとされています」
新しい恋愛のかたち
小柄で、肌はつややか、目尻に小皺、白髪がわずかに混じる茶髪の建築家であるセリーヌは、最近離婚したが、51歳には見えない。二人の子どもを儲けた夫と20年の結婚生活を終える決断をしたとき、年齢は恐れや抑止にはならなかったという。別れの理由は、時間とともに相いれなくなったこと。「彼は家にこもる生活を好み、私はもっと自由を求めていました。この隔たりはやがて子どもの教育方針に関する不一致を生み、私は柔軟に対応したいのに、彼は強制するやり方でした。さらに、彼は家事を全く手伝わず、私はもう耐えらなかったので別れを選びました。ゼロからやり直すわけではなく、新しい章を始めるだけです。」と彼女は語る。
50代は人生の転換期にあたる年齢。豊富な経験を持ちながら、時間の流れを強く意識し、何を望み、何を望まないかを明確に理解している。「この時期、子どもたちの手が離れたり家を出たりするので、夫婦は向き合うことになります。一般的に、少なくとも30年の人生が残っています(INSEEによれば、フランス人女性の平均寿命は85.3歳、フランス人男性は79.4歳)。ついに本当の退職生活を手に入れます......。この経済的自立と長寿は、未来を違った形で考えることを可能にし、人生の中間地点で自己を見つめ直すきっかけになります。」とセルジュ・ゲラン氏は説明する。
50歳になると、残りの人生を生きることにある種の緊急性を感じ、人々は行動に移していくのだ。「この年齢では、愛だけでは足りないこと、誠実さが絆の代わりにはならないことを十分に理解しています。そして、空虚または対立的になった関係を維持するために残りの年月を犠牲にしたくないのです。私はセラピーで、長年協力的な共同親だったにも拘らず、親密さを失ったカップルを多く見ます。これは孤立した悲劇ではなく、根本的な傾向です。」と、カップル・家族療法士のアニッサ・アリ氏は指摘する。
セルジュ・ゲラン氏によれば、この傾向は、離婚の一般化にも大きく起因している。しかし、心理学者カミーユ・ロシェ氏は警告する。「50歳を過ぎて新しいパートナーを見つけるのは簡単ではありません。現代の恋愛関係は消費主義的な論理が反映されているのです。選別し、比較し、マッチングし、捨てる。不躾な関係性の築き方が広がっており、50歳や60歳だからといって、この冷笑主義から免れられるわけではありません」彼女はまた、カップルに対する諦めの傾向も指摘する。「個人の幸福を追求する風潮が強すぎて、相手に変化の余地を与えません。対立を避け、意見を交わして関係を前進させることをせず、あまりにも早く諦めてしまう人がいます」
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ロマンティシズムと理性の間で
しかし、相手との溝が深すぎる場合、50代以上の人々は愛や感情、恋愛の高揚感に妥協したくないのだ。だからこそ、多くの人が別れた後でも再婚を望む。「なぜ新しい素敵な出会いに全力で飛び込まないの?と自問しました」と、54歳のカミーユは語る。彼女はもうすぐ新しいパートナーと結婚する。「元夫と道を分けたけれど、24年間の結婚生活とふたりの素晴らしい子どもを失敗だとは思っていません。だから、もう一度信じてみてもいいでしょう? もう同じ過ちは繰り返しません」
再婚は自己との再調整の表れ。56歳で再婚を決めたサンドリーヌは、誰のためでもなく、自分と新しい夫のためにこの選択を決めた。「慣習から解き放たれた気分だったので、シンプルな式にしたかったのです。招待したのは十数人の親しい人たちと子どもたちだけ。白いドレスは着ませんでした。彼は祖父母の指輪を溶かして自身の指輪を作りました。そのほうがずっと意味のあることでした。」
50歳を過ぎて初めて結婚するカップルも増えている。INSEEによると、フランスで50歳で初婚を迎える人の割合は2012年の41%から2022年には57%に増加した。
「私たちはもうすぐ28年の同棲生活を祝います。どちらもこれまで結婚したことがありませんでした。若い頃は結婚があまりにも慣習的なものに思えたからです」と、60歳の医師キャロリーヌは語ります。「結婚を夢見たことはありませんでした。一緒に暮らし、二人の子どもを持つことが最終地点だと思っていました。でも驚いたことに、この夏、結婚して二人の人生を祝いたいと思ったのです。浮き沈みを経験し、私たち自身と関係を見つめ直す時間がありました。この年齢で、なぜ一緒にいるのかを理解し、今回は正式に二人の誓いを更新する方法なのです。友人や家族と楽しいパーティーをしたい。私たちは"若い老夫婦"になるのです!」
子どもがいてもいなくても、結婚は配偶者を守る手段にもなる。「50歳を過ぎて初めて結婚するカップルには、法的・経済的に配偶者を守りたいという思いもあるでしょう」とセルジュ・ゲラン氏は指摘する。「結婚は遺族年金へのアクセスを可能にします。年を重ねると、死別した場合に配偶者を守りたいと思うのは自然なことです。しかし、そこにはロマンティシズムもあります。離婚率の上昇を知っているこの世代は、これまで結婚に対して非常に慎重でした......。しかしいま、長期的で公式な結びつきを望む気持ちが強まっています。まるで50歳前後で大人になる時が来たかのように。」
愛に年齢はない。それは常に生まれたばかりなのだ――哲学者のブレーズ・パスカルが言ったように。
From madameFIGARO.fr
text: Caroline Hamelle (madame.lefigaro.fr)






