現代カップルに欠かせない儀式「パラレルプレイ」とは? 心の距離を縮める理由を専門家が解析。
Lifestyle 2026.02.02

TikTokでは、「パラレルプレイ」でカップルの仲が深まったと説かれている。パラレルプレイとは同じ空間にいながら、それぞれが自分のことに没頭し、相手とは交流しないことを指す。それは自立した関係を築くためのカギなのか、それともふたりの関係を毒する要素なのか。心理士が解説する。

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ソファに寄り添って座るカップル。だがひとりは読書に没頭し、もうひとりはゲームやテレビに夢中だ。このような状態には「パラレルプレイ」という名前がつけられており、TikTokでこのハッシュタグが5,140万回以上使われている。パラレルプレイとは本来、児童の自然な発達段階における概念だ。具体的には2〜3歳の幼児が隣り合っていても一緒に遊ばず、それぞれの遊びに没頭している状態を指す。一緒に遊ぶようになる前段階だ。この概念が恋愛関係に応用され、同じ空間にいながら、会話など関わりを持たずにそれぞれが好きなことをやっている場合にも使われるようになった。いわば「一緒にいるのに孤独」な状態なのだが、相手へ余計な気を使わなくていい、これぞ新しいカップルのあり方という文脈で語られている。実際にこれを歓迎している人たちもいる。「なんでも一緒にやろうと無理しなくなってから、お互いもっと好きになった」と、ある若い女性はRedditで語っている。そう言われるとなんだか試してみたくなるが、果たしてその効果はどうなのだろうか。
自立は諸刃の剣
フランスの臨床心理士、カミーユ・ロシェによれば、ポジティブな側面としては自立したカップルになれる利点がある。「運動へ行くのも友達と会うのも、何かするのも自分で決められます。祖父母の世代のようになんでもいつでも一緒という時代ではありません」
しかしながら臨床心理士に言わせると、これは諸刃の刃で、裏に別な願望が隠れている可能性がある。「自己啓発のための行動なのか、それともある種の自己防御なのかを見極めたほうがいいでしょう」とカミーユ・ロシェは言う。なぜなら、このパラレルプレイは多くの場合、熟慮の末というよりも単に自分の都合を優先させた結果だったりするからだ。「"私はいつものドラマが見たいけれど、あなたは別なことがしたいのなら、私にとってもそのほうが都合がいいわ"という発想です」と臨床心理士は説明する。「それはカップルでいることの安心感を確保しつつ、独身のように暮らしたいという発想ではないでしょうか」
とりわけ臨床心理士が懸念するのは、一緒にいる時間すらアラカルト式の "選択制"にしてしまう傾向があることだ。「相手へ余計な気を使いたくないと思いがちですが、相手に気を使うことこそが絆を育み、相手を思いやって寄り添うことにつながるのではないでしょうか」
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相手に依存したくない
これは決して取るに足らない社会変化ではない。臨床心理士によれば、自立願望の裏にはしばしば非常に現代的な恐れが潜んでいる。それは相手に感情依存することへの恐れだ。「現代社会では自立が重視されるあまり、わずかな依存ですら悪だと思うようになりました。ですが実際には、"あなたと一緒の人生のほうが良い"と言えるような、健全なプチ依存だってあるのです」
依存の要素を排除し続けると絆が弱まる危険性さえある。今日はツイテなかった、疲れた。そんなちょっとした弱さを見せることで絆は深まっていくものだからだ。「自分が元気いっぱいで余裕があり、気が向いた時に仲が進展するなんて幻想です。絆が深まるのはむしろ、自分が大変な思いをしている時に相手が寄り添ってくれるときなのです」
もっとも、依存しないことを全否定すべきではない。黙ってただ隣に座っていることで、相手のペースや空間を尊重することとなる。それが大事な場合もあるとカミーユ・ロシェは言う。ただし沈黙には2種類ある。「読書をしたい、静かでいたい、瞑想をしたい。そうした時の沈黙と、それぞれ別な画面をみつめての沈黙とでは異なります。後者は本当の意味の沈黙ではないのです」
危険なサイン
沈黙の件はともかくとして、パラレルプレイのダークサイドに堕ちるとどうなるのだろう。「一緒にいる時間が耐え難い苦痛となります。そうなると独りになれる時間を待ち望むようになります」と臨床心理士は説明する。もうひとつの危険サインは倦怠感だ。「疲れていることを口実に相手とのコミュニケーションを避けたり顔を合わせることを避けたりするのは禁物です。疲れていてもふたりでどうくつろぐのかを見つけなくては」とカミーユ・ロシェ。そもそもパラレルプレイをルール化するカップルは、お互いを避けたい状態にすでにあるのではないかと臨床心理士は指摘する。「関係が良好なときには、こうしたルールを設ける必要はないですよね。"今朝は静かに過ごしたい"と相手に伝えれば済むことですから」
結局、共に過ごす時間の積み重ねでカップルは成長するし、それには継続的な努力が必要だ。「久しぶりに15分会いました、また仲良しです、というわけにはいかないのです。都合の良いときだけでなく、都合が悪くても向き合うことで絆は生まれるのです」とカミーユ・ロシェは言う。親であるならば、この問題はなおさら重要となる。「子どもは、両親の絆を感じ取り、育まれる必要があるのですから」
From madameFIGARO.fr
text: Tiphaine Honnet (madame.lefigaro.fr)






