富や美、そして希少性の象徴......。あなたの知らない「金」の世界。

Lifestyle 2026.02.12

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40億年以上前に地球へと到達した「金」は、いまや私たちの暮らしに欠かせない存在となっている。美と富の象徴である金は、その起源を星々に持つと考えられている。宝石学の専門家であり、エコール・デ・ザール・ジョワイエの宝石学教授を務めるレティシア・ジル=ゲリー氏に話を聞いた。

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金は宇宙で誕生したと言われている。photography: Getty Images/iStockphoto

「金」は、まさに時空を越えた壮大な宇宙の旅をしてきた存在だ。何千年にもわたり人々を惹きつけてきた金は、いまや富や美、そして希少性の象徴となっている。ここ数カ月でその価値が急騰しているのも、不思議ではない。「金は昔から安全資産でした。不確実な時代になると、人々は金を買い求め、その結果、価格が上昇するのです」と、ジュエリーデザイナーのパスカル・モンヴォワザンは、以前の記事で「マダムフィガロ」に語っている。本稿執筆時点で、金1オンスの価格は5095.80ドル(約78万円)に達し、過去最高値を記録している。

しかし、この貴金属が世界的な熱狂の対象となる以前、そもそも金はどのようにして地球にやって来たのだろうか。まずは少し化学の話から始めよう。「金の特徴は、単なる鉱物ではなく、化学元素でもあるという点にあります」と語るのは、エコール・デ・ザール・ジョワイエの宝石学教授、レティシア・ジル=ゲリー氏だ。さらに金は、"自然元素"と呼ばれる物質でもある。これは、たったひとつの化学元素だけでできていることを意味する。銀や銅、そして炭素のみから成るダイヤモンドも、同じ性質を持つ例だ。


超新星爆発

化学元素としての「金」は、地球上で誕生したものではない。独仏共同チャンネル「ARTE(アルテ)」で放送されたドキュメンタリー番組「L'or, parure des rois et des dieux(金―王と神々の装身具)」が伝えているように、古代のいくつかの文明では、金は「天からの贈り物」だと考えられてきた。実際、金は宇宙で誕生したとされている。数十億年前、寿命を迎えた恒星が崩壊することで起こる「超新星爆発」と呼ばれる、極めて激しい宇宙現象の中で生まれたというのだ。「そのため、金はある意味"星のちり"だと言われることがあります。爆発によって核反応が起こり、原子が銀河全体に拡散し、やがて地球へとたどり着いたのです」と専門家は説明する。こうして地球に届いた原子は、その後の地質学的な現象を経て、現在私たちが知る金の結晶や鉱物へと姿を変えていった。

ここで言う「地質学的な現象」とは、地球の表面下に常に存在する、非常に高温の熱水流体のことを指している。これらの流体は岩石の間を通過する際、金を含むさまざまな元素を溶かし込んでいった。こうした流体が地球内部の異なる層を移動し、より温度の低い場所へと上昇する過程で、結晶化に適した条件が生まれ、金が析出・濃縮されていく。その結果、私たちが現在目にするような金鉱床が形成されたのである。

金の結晶は、本来の形(一次的な状態)では、外から見てもすぐに識別できるほど、非常に幾何学的な形をしている。「その後、水や風による浸食作用によって岩石が砕かれ、私たちがよく目にする"金のナゲット"の形になっていくのです。それはまるで、海岸に落ちている割れたガラス瓶の破片のようなものです」と、レティシア・ジル=ゲリー氏は続ける。

溶かされ、再び形を変えて

では、金はいつ発見されたのだろうか。歴史の中で明確な起点を定めるのは非常に難しいが、金鉱床は比較的早い時期から人々の手に届きやすかったと考えられている。というのも、金のナゲットは強い輝きを放ち、確実に人々の関心を引いたはずだからだ。「モロッコで発見された、穴を開けた貝殻による最古の装身具は、約14万2千年前にさかのぼります」と専門家は説明する。「一方で、最古の金製品となると特定はより難しく、ある考古学資料では紀元前4600〜4500年ごろとされています。しかし、先史時代にすでに金が使われていた痕跡も見つかっています。」

ただし、なかには何度も溶かし直されてきたため、実際にはもっと古いにもかかわらず、年代の特定が不可能な品もある。「金の歴史とは、新たなジュエリーを生み出すために、繰り返し溶かし直されてきた歴史なのです」と、レティシア・ジル=ゲリーは語る。まさに何千年にもわたる物語であり、今後も続いていくことだろう。

From madameFIGARO.fr

text: Louise Ginies (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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