パスタを茹でる時に、やりがちな間違いとは?
Gourmet 2018.03.24
パスタを完璧に茹で上げたいのなら、鍋にオイルを加えたり、鍋が小さすぎるなんていう間違いを犯してはならない。Photo:iStock
茹ですぎ、湯切りをしすぎ、塩を入れるタイミングがおかしい……。パスタを茹でる時のよくある間違いについて、物理化学者のエルヴェ・ティスと料理研究家のティフェーヌ・カンペに検討してもらった。
パスタは最も簡単に調理できる食品、そう誰もが思い込んでいる。だがそれは大間違いだ。
パスタの茹で汁にオリーブオイルを一筋垂らさないと気がすまない、たくさん持っている小鍋でパスタを茹でてしまう、誰が何と言おうと塩はパスタが茹で上がる直前に入れる、そんな過ちを私たちはたびたび犯している。
幸いにも、ジャーナリストで料理本の著者であるティフェーヌ・カンペ(ティフェーヌ・カンペ:ブログArtcuisine.fr主催)とアグロ・パリ・テック/フランス国立農学研究所分子ガストロノミー国際研究センター・ディレクターのエルヴェ・ティス(エルヴェ・ティス:アグロ・パリ・テック/フランス国立農学研究所国際分子ガストロノミー研究センター・ディレクター)の両氏に話を聞くことができた。問題を改めて整理しながら、専門家がアドバイスやコツも交えて徹底解説。これでもうパスタを茹でる時にやりがちな間違いとはおさらばだ。
パスタにオイルを垂らす
「これは昔から、最もよく見られる間違いです」と、ティフェーヌ・カンペとエルヴェ・ティスは声を揃える。世代を超えて伝わった料理にまつわるおかしな習慣を取り上げた記事の中で、インタビューに答えたくれた化学者のラファエル・オモンによる分析にも異論はない。「オリーブオイルは水と混ざらないし、表面に浮いてしまいますから、茹で汁に入れてもまったく何の意味もありません」
分かりましたね、これは間違いですから!
鍋が小さすぎる
そんなわけで、オリーブオイルひと垂らしは無用だ。では、パスタがくっつかないようにするにはどうしたらいいのか? ティフェーヌ・カンペによれば、「パスタがくっつかないようにする秘訣は、鍋の大きさにあります」。「パスタを茹でる時は、水はたっぷり必要です。100gのパスタなら、せめて1.5ℓはあった方がいいでしょう。片手鍋が小さすぎるなら、万能鍋を使うといいでしょう」。
茹でながらかき混ぜていない
ティフェーヌによると、「茹で始めと、茹でている間に」十分かき混ぜていないという間違いもよくあると言う。「もっとも、ひっきしなしに混ぜる必要もありませんが、時々はかき混ぜましょう。パスタが鍋の底にくっつかないようにするには欠かせません」
沸騰するまで待っていない
鍋の中の水がようやく震え始めたばかりなのに、さっそくパスタを投入してしまう、誰もがそんな友人をひとりは持っているもの。これはとんでもない間違い。「パスタを投入する前に、水は完全に沸騰させなければなりません」というのはティフェーヌ。「茹で時間をきちんと守るためです」。そうしないと、パスタが茹で上がるタイミングを正確に図るのは難しい。
茹で汁を捨ててしまう
何かの”罰”でもない限りパスタは水ではなくブイヨンで茹でる方がいいというのがエルヴェ・ティスの意見。一方、ティフェーヌ・カンペは、パスタを茹でた湯の再利用を薦める。「パスタに添えるソースを作るときは、必ず茹で汁を少しとっておきます。そうすることで、第1に、油脂を余計に足さずにすみますし、第2にソースにほどよいとろみをつけることができます」と、彼女は説明する。この方法を支持するシェフは多い。ジェイミー・オリヴァーもそのひとりで、どんなパスタを作る時にも必ず茹で汁を利用している。
塩を最後に入れる
「塩は鍋を火にかけたらすぐに入れた方がいいです」というのはティフェーヌ。「そうすることで、塩が均質にお湯に溶け、パスタにもまんべんなく吸収されます。」できれば塩を入れたくないという人もいるが?
「もってのほかです」と彼女は言い切る。「料理が味気なく、物足りなさから結局ソースの量を増やしたり、チーズをたくさんかけたりすることになります」
茹ですぎて台なしにする
「茹で過ぎたパスタは消化に悪い」
リングイネの箱に、茹で時間7分と書いてある? ならばその通りに茹でること。「GI値が変わってしまいますから」とエルヴェ・ティスは指摘する。「心配することは何もありませんが、こういうことも知っておくといいでしょう」。今度、家族が集まって昼食をする時にこの話をして、みんなを感心させよう。彼は次のように説明する。「パスタは一般的に、小麦粉からできています。成分でいうと、グルテンとデンプン(多糖類)です。沸騰した水と接すると、デンプンが膨張してブドウ糖が流出するというわけです」。パスタを茹ですぎると、消化吸収速度の遅い糖質が消化吸収速度の速い糖質に変化してしまうということ? 「そう言ってもいいでしょう。茹ですぎるとおいしくなくなってしまうだけでなく、消化にも悪くなります」。アル・デンテでなければ、パスタにあらず。ということで、いいですね、みなさん?
【関連記事】
赤みの肉を焼くためのコツ、間違いだらけの常識をチェック!
バターがなくても大丈夫? 代わりになる食品とは。
Anne-Laure Mignon(madame.lefigaro.fr)