身体に悪いってホント? 缶詰にまつわる6つの嘘・本当。
Gourmet 2021.12.29
栄養価が劣る、保存料が多い、金属が毒……缶詰には多くの偏見がつきまとう。2人の専門家とともにこれらの思いこみの真偽を確かめてみよう。
缶詰に関するあらゆる先入観を二人の専門家が検証する。photo: iStock
経済的だし便利。一年中、さまざまな季節のものを食べられる。でも、新鮮な食品と比べて缶詰は栄養面でも味の面でも劣っていると思われがち。フランス国立農業研究所アヴィニョン支部で首席研究員を務めるカトリーヌ・ルナールとパリ在住の栄養学者アレクサンドラ・レティオン (1)に缶詰に関する悪しき神話を正してしてもらった。
1. 缶詰の食品は栄養価が劣る?
嘘でもあり本当でもある。サバの缶詰、ひよこ豆やマッシュルームの缶詰。これらは本来のビタミン、炭水化物、繊維質、オメガ3脂肪酸を保っている。「すでに火を通したり湯がいたりしてあるので栄養価の半分を失っています。新鮮なトマトを買って火を通した場合も同様です」とアレクサンドラ・レティオンは指摘する。
では新鮮さはどうなのか。「新鮮な食品を収穫してから数時間後に缶詰されます。反対にお店に並ぶ野菜は旅をしているし、太陽にさらされます。したがってビタミンが破壊されている可能性があるのです。」
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2. 缶詰は添加物だらけ?
嘘。一般的に信じられているのとは反対に保存料も添加物も含まれていない。缶詰は殺菌され密封状態にある。そこに水分、塩分、時には糖分が含まれている。「これらの汁は身体に悪いわけではありませんが、味と食感のためには冷たい水ですすいだ方がいいでしょう」とカトリーヌ・ルナールはアドバイスする。
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3. 缶詰は質の面で劣っている?
嘘。缶詰のツナは劣った部位を使ったものだとか、味のないコーンが缶詰になるとか、そのようなことを信じているなら、これは間違いだ。訂正しよう。「食品会社は厳格な規格を守っています。しかしながら有機農法のメーカーやラベルルージュ(フランスの法律で定義されている品質保証の証)を選ぶに越したことはありません」とアレクサンドラ・レティオンは勧める。
このようなメーカーの缶詰は味も優れている。食品会社によってはグリーンピースとにんじんの水煮缶などに砂糖を加えてあり、本来の味が損なわれている場合もある。それなら少し高くても質の高い缶詰を選ぼう。その方が新鮮な味に近い。
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4. 調理済みの缶詰は注意が必要?
本当。ミートソースのラビオリ、ラタトゥイユ、カスレなどの調理済みの缶詰には注意が必要だ。「調理された食品は脂肪分の量、添加物の有無、塩や砂糖の含有量を調整することができません」とアレクサンドラ・レティオンは警告する。
缶詰であろうと冷蔵品であろうと、冷凍であろうと、調理済みの食品を毎食利用するのは避けよう。オーガニックと表記してあるものであってもだ。缶詰の果物も砂糖が大量に加えてある場合が多いので同様に避けよう。「自然な甘みを加えたシロップやフルーツジュースを利用したものを選びましょう」とカトリーヌ・ルナールは付け加える。
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5. 缶詰の金属は身体に悪い?
嘘。容器が鉄やアルミだから身体に悪いと思っているなら心配は無用。「生産過程で保護のためにコーティングが施されます。従って食品が金属と接触することはありません」と主席研究員であるカトリーヌ・ルナールは説明する。
それでも心配ならガラス容器詰めのものを選ぼう。値段は少し張るが質が高いことも多い。ただし、ガラス容器のものは光との接触により食品が変色していることはある。
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6. 缶詰だけを毎日食べるのは危険?
嘘。「缶詰の食品だけを食べるのはもちろん勧められませんが、毎日食べても大丈夫です。栄養バランスの取れた食品ですから」とカトリーヌ・ルナール。「新鮮な果物、生野菜、魚や肉、澱粉質の食品と合わせれば味の変化を楽しめます」
週に5回、助っ人的に缶詰を取り入れることが理想的というのがアレクサンドラ・レティオンの意見だ。
text: Léa Ferry (madame.lefigaro.fr)