修道院の暮らしとものづくり 心静かに味わいたい、修道院発のおいしいもの。

Gourmet 2023.03.21

修道院のシスターや修道士たちは、神に捧げる労働の中で、人々の幸せや世界平和を祈りながら手仕事を行っている。そのひとつがお菓子や食品づくり。国内外の修道院で、昔ながらのレシピ、シンプルな製法で作られる品々は、素朴でありながらどこか凛とした気品を放っている。今回は修道院発祥のお菓子も含めて、その特別な魅力を紹介したい。


缶まで大切にしたい、秘密の製法のキャンディ。

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シュクル・ドルジュ モレ修道院の大麦キャンディ 24g(12~13粒)フランス産 ¥1,501/けやきインターナショナル

パリから1時間ほどの町、モレ=シュル=ロワンの修道院で1638年より作られてきたと言われる「大麦のキャンディ」。門外不出の製法で生み出された逸品は、大麦の煮汁に砂糖を混ぜて煮詰めてつくる、やさしい甘さのキャンディだ。口に含むと、ゆっくりとまろやかな甘味が広がり、少し香ばしいような深みのある味わい。プチサイズの缶も愛らしく、表面には修道院の紋章と修道女が、裏面にはモレ=シュル=ロワンの美しい町並みが描かれている。キャンディを食べ終わった後、この美しいデザインの缶はピルケースなど小物入れとして愛用したい。

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生地とクリームの口福なハーモニー。

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カンノーリ 1個 ¥900/リートゥス

ラテン語で「渚」を意味するイタリア郷土菓子専門店「リートゥス」。オーナーパティシエの塩月紗織さんは、シチリアなどイタリア各地で7年間菓子づくりに従事。グルメ専門誌「ガンベロ ロッソ」で2年連続ベストパティシエのひとりに選ばれた実力派だ。「カンノーリ」は、シチリアの修道院が発祥とも言われるお菓子。「日曜日になると修道女が販売していたそうで、当時は修道院でしか買えないので、皆それはそれは日曜日を楽しみにしていたという言い伝えがあります」と塩月さん。粉、ラード、砂糖、マルサラ酒を合わせ正方形に成形した生地を筒状に巻きヒマワリ油で揚げる。オーダーが入ってから、その生地にイタリア産リコッタチーズがベースのクリームを詰め、ブロンテ産ピスタチオを添えている。ザクッとした食感の後に、なめらかなクリームが口いっぱいに広がる瞬間が至福だ。

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ワインにも合う、乳酸菌発酵の芳醇なバター。

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トラピストバター 200g ¥1,072/トラピスト修道院製酪工場
(※2023年4月以降、デザインと価格の変更予定あり)

北海道北斗市三ツ石の「トラピスト修道院」は、正式名称を「厳律シトー会 燈台の聖母大修道院」といい、1896年、フランスからこの地を訪れた9人の修道士たちにより日本最初の男子修道院として創設された。広々とした敷地内にある工場で作られる酪農製品が有名で、そのひとつがトラピストバターだ。中世から続くフランスのシトー会修道院の伝統製法によるバターは、乳酸菌で発酵熟成しているので芳醇。まるでチーズのような豊かな香りがあり、クッキー作りなどにも使用される。まずはバターだけを直に味わい、その香りを堪能しながらワインを合わせるのもいい。

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香ばしさと、サクッ、ほろりの食感と。

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ロスコ・デ・ヴィノ 14個セット ¥3,802/スペイン菓子工房ドゥルセ・ミーナ

スペイン各地方での修業を経て、スペイン王室ご用達のパティシエ、パコ・トレブランカ氏に師事した藤本恭子さんがつくる「ロスコ・デ・ヴィノ」は、アンダルシア地方の修道院が発祥という説もある伝統菓子だ。「現在でもアンダルシアの修道院やお菓子屋さんで見かけ、クリスマスにもよく作られるお菓子。アンダルシア地方の玄関口マラガの修道院でも買いました」と藤本さん。ロスコ・デ・ヴィノは「ワインのリングクッキー」という意味で、アンダルシア産のワインを練り込んだ生地を焼いて仕上げる。ほのかに香るシナモンや、アーモンドの香ばしさが後を引く。バターではなくラードで仕上げているので、サクッとした軽い食感の後の、ほろりと崩れる繊細な口溶けが魅力だ。

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シンプルな素材の優しいガレット。

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那須トラピスト修道院 トラピストガレット 8袋入 ¥1,048、12袋入 ¥1,530、16袋入 ¥2,040/教文館エインカレム

日光国立公園に属する那須山の裾野に位置する、自然豊かな「那須トラピスト修道院」。1954年の創立以来、修道士の手仕事として作り続けられているのがトラピストガレットだ。見た目はワッフルのようだが、しっかりと焼き上げられサクサクと歯ごたえのある食感。甘さはごく控えめで、香ばしさとともに卵の優しい風味と、豊かなバターの香りが広がる。シンプルだからこそ、素材の味がダイレクトに感じられ、50年以上にわたり愛されている理由も頷ける。上品なパッケージで手土産にも最適。温かいミルクティーと一緒に楽しみたい。

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“ルルドの奇跡”をメダイユ型の砂糖菓子に。

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パスティーユ ルルド ラウンド缶(アニス)、スクエア缶(ミント) 各100g ¥1,700/ブランシュネージュ

ピレネー山脈の麓、スペインとの国境近くのフランス・オクシタニー地域圏の村「ルルド」。そこに不治の病を治したと言い伝えられる神聖な奇跡の水が湧く「ルルドの泉」がある。この“奇跡の水”を使用した砂糖菓子が「パスティーユ ルルド」だ。パスティーユとは“粉を練ったもの”を意味し、ルルドの水、砂糖、パリ郊外の温泉郷ヴィシーの水から抽出した塩を使用。わずかな塩分が甘味を抑え、後味をすっきりとさせている。表面に聖母マリアが施されたメダイユ型のタブレットは、ミント、アニス、シトロンの3種。口に含むと、トローチのような感覚で、ゆっくりと溶け香りが広がる。

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コーヒーが隠し味、素朴なクルミケーキ。

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シトー会 西宮トラピスチヌ修道院のクルミケーキ ¥2,000/サンパオリーノ

神戸六甲山に連なる観音山の裾に立つ「シトー会西宮の聖母修道院」は1935年に創立され、「祈り、働け」というシトー会の伝統に従って修道生活を営んでいる。かつて修道院にいたフランス人シスターから伝授されたという、昔ながらの製法と自然の味を生かした無添加クッキーなど、手作りの焼き菓子は素朴ながら奥行きのある味わい。このクルミケーキは、粗めに刻まれたクルミの小気味よい食感がアクセント。隠し味程度にほのかに漂うコーヒーが香ばしさをプラス。温かいコーヒーや紅茶と一緒にいただくと、和やかなひとときが過ごせるはず。

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プロポリスとハーブの力を味方に。

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イタリア  モンテ・カルメロ修道院の蜂蜜とユーカリとプロポリスのシロップ 250ml ¥1,980/サンパオリーノ

イタリア・リグーリア州サヴォーナ県のロアーノにあるモンテ・カルメロ修道院。海に面したなだらかな段々畑では果実や植物が栽培され、季節ごとに蜂たちが花の蜜を集める。それを伝統的な手法で修道士たちが採取。ミツバチの作る“天然の抗生物質”とも呼ばれるプロポリスと、古来より薬草として親しまれてきた天然ハーブ、ユーカリとアルテアを配合した薬効豊かな成分に、ハチミツと水を加えたシロップをスプーン一杯、好みの分量の水やお湯で薄めていただく。炭酸水に合わせるとスッキリと爽快! スーッとする清涼感と気品のある香りが広がり、喉の奥が温かくなる感覚も。身体と心が癒やされるシロップだ。

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ひとつ、もうひとつ、手が止まらない。

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左: シャローム アーモンド 右: シャローム シナモン 各¥686/サンパオリーノ

宮崎の山間にある「西都レデンプトリスチン修道院」のシスターが手作りするクッキー「シャローム」。ヘブライ語で「幸福」や「平安」を意味し、「食べる人の心と身体に平和、健康、喜び、そして愛がもたらされるように」との願いが込められている。シナモンやアーモンド、抹茶、チョコなど種類も豊富。スクエア型でひと口サイズ、サクサクほろりとした軽い食感は、あともうひとつ……と、ついつい手がのび止まらないおいしさだ。シスターたちが心を込めてつくるお菓子を、感謝の気持ちで味わいたい。

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●問い合わせ先:

教文館エインカレム
東京都中央区銀座4-5-1
tel: 03-5250-5052
営)10:00〜19:00
無休
https://einkarem.base.shop

けやきインターナショナル
0120-015-939(フリーダイヤル)
https://item.rakuten.co.jp/otokonodaidokoro/ca-ts-33-014

サンパオリーノ
東京都新宿区四谷1-11-19 悠STANZA四谷ビル1F
tel: 03-3357-6495
営)10:00〜18:00
休)日、祝
https://sanpaolino.jp

スペイン菓子工房ドゥルセ・ミーナ
茨城県守谷市ひがし野3-11-2
tel: 0297-45-2740
営)10:00〜17:00
休)水 ※不定休あり
https://shop.dulcemina.jp

トラピスト修道院製酪工場
北海道北斗市三ツ石392
www.trappist.or.jp

ブランシュネージュ
tel: 03-3770-2632(受付時間11:00〜20:00、水曜日休、不定休あり)
www.lourdes1858.com

リートゥス
東京都中央区新富2-9-6
営)11:00〜18:00
休)火、水
www.instagram.com/litus2021

photography: Kent Chan text: Minako Shimoi

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