Hyogo Prefecture 丹波食材の生産者に会いに、気鋭シェフとおいしい旅へ。

Gourmet 2023.10.23

PROMOTION

古来、京への交通の要として栄えた城下町・丹波篠山市と丹波市からなる兵庫県北東部の丹波エリアは、丹波黒や但馬牛など食通を唸らせる食の宝庫。まだ見ぬ食材を探しに、高田裕介シェフが兵庫テロワールを巡る旅を体験した。


先人の技を継ぎ、次世代へ繋ぐ、唯一無二の丹波篠山の特産。

おせち料理の定番として名高い大豆「丹波黒」。なかでも約1カ月だけ収穫できる丹波黒枝豆は全国に流通せず幻の枝豆と言われる。

「丹波黒大豆は、世界一手間がかかる豆です」と、丹波たぶち農場の田渕泰久が微笑む。

「ここ篠山盆地は、太古は沼地で土壌が肥沃かつ粘土質。昼夜の寒暖差があるので味が濃くなります。ただ黒豆は乾燥した土地を好むので、水はけを良くするために畝の高さを50センチ以上、畝と畝の間を160センチ以上空けるなど、手作業での栽培が必要です」

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畝の高さは50cm以上。茎や葉を大きく生長させ1mを超える高さに。2021年、伝統的な栽培方法が日本農業遺産に認定された。

高田裕介/Yusuke Takada
1977年、鹿児島県奄美大島生まれ。2007年渡仏、10年大阪にフレンチレストラン、ラシームをオープンし、ミシュラン2ツ星を獲得。23年アジアのベストレストラン50では第8位にランクイン。

収穫時期により味が変化するのも特徴だ。

「10月上旬の初摘みは、爽やかでビールに合います。仲摘みはまろやか、晩摘みは味に深みと甘味が増し、もっちりとした食感……と1週間ごとに味が変わります。さやが茶褐色になり黒い斑点が出ますが、見栄えが良くないと敬遠せず食べていただきたいですね」

丹波篠山市

丹波たぶち農場

四方を山々に囲まれた篠山盆地の中心で、300年以上にわたる伝統的な栽培方法で丹波黒枝豆を生産。毎秋、丹波黒枝豆の解禁日(2023年は10月7日)は、直売店に県外からも客が押し寄せる。そのほかにコシヒカリ、大納言小豆、イチゴも育てている。イチゴ狩りや黒枝豆の収穫体験など、丹波篠山の魅力を伝えるイベントも実施。

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丹波黒大豆は一般的な枝豆の約2倍の粒の大きさ。


Tanba Tabuchi Farm
兵庫県丹波篠山市口阪本158-3
tel:090-8650-0415
www.tabuchi-farm.jp

次に向かったのが丹波田中畜産。和牛の原点であり、最高峰である但馬牛を育てている。

「生育環境や肉質など厳しい基準をクリアした但馬牛が、その後神戸牛と名乗れますが、うちは100パーセントです」と代表の田中久工。クラシック音楽が流れる清潔で風通しが良い小屋で、オーガニックの肥料を与えて育てた但馬牛。アニマルウェルフェアに配慮した環境ゆえか、品評会では最高賞を獲得。丹波篠山の特産地を訪れた高田は「生産者の熱意を感じました。僕がお付き合いする造り手もそうですが、長く取引をしていきたい」と語る。そうした十年来の付き合いのひとりが、旅の始まりに訪れた芦屋のメツゲライクスダの楠田裕彦だ。シャルキュトリー世界大会に高田と出場するなど、切磋琢磨する存在。「丹波黒をテリーヌにしたり、丹波地鶏は窯焼きに」と楠田も丹波の食材に注目している。

丹波篠山市

丹波田中畜産

但馬牛の繁殖・肥育から、直売精肉店、肉の文での販売、直営レストラン、牛屋たなかの運営と、飼育から販売まですべてを自社で行う一貫生産。日本で唯一の純血種を1300年以上前から守り続けてきた先人に倣い、継承していくべく、徹底的に環境を整え但馬牛を育てている。国内の最高位の名誉賞を受賞のほか、海外でも高く評価されている。

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繁殖牛、仔牛も含め約230頭を、スタッフ5人で愛情を持って育てる。 
 

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ベルベットともたとえられる柔らかい毛に覆われた但馬牛は、穏やかな性格。
 

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肉の文では精肉を販売。霜降りのサシが細やかで上質。融点が14~20度と低く、食べた時に舌でとろけるのがおいしさの所以。
 

Tanba Tanaka Chikusan
兵庫県丹波篠山市網掛403-2
tel:079-594-2919
https://tanba-t.co.jp
芦屋市

メツゲライクスダ芦屋店

ドイツやフランスで修業した楠田裕彦が2004年メツゲライクスダ六甲道店を開店後、09年にイートインも可能な芦屋店をオープン。ドイツの伝統的な製法にのっとり、本場の味を再現したハムやソーセージが常時60種類揃う。東京初進出となるクスダ アルティザン シャルキュティエが、麻布台ヒルズに誕生予定。

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ベーコンは神戸製鋼に特注したレンガ窯で3昼夜燻製。
 

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右上から時計回りに、丹波地鶏を窯焼きしたプーレロテイ100g ¥480、フロマージュドテット100g ¥700、ロースハム100g、ペッパーハム100g 各¥950、パテドカンパーニュ100g ¥580 
 

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高田のスペシャリテ「ブーダンドッグ」に使うブーダンノワールは同店のもの。
 


Metzgerei Kusuda
兵庫県芦屋市宮塚町12-19
tel:0797-35-8001
営)10:00~18:00
休)水、第3 火曜 ※ほか不定休あり
https://metzgerei-kusuda.com
丹波篠山市

山里料理 まえ川

丹波篠山に生まれ育った店主の前川友章は、京都などで研鑽を積み、2017年に故郷で自身の店をオープン。20年、城下町の東側に居を移した。父とともに田畑で米や野菜を育て、味噌を仕込む。また、狩猟免許を取得し、自らジビエを捕獲し解体も。低温調理で仕上げた鹿ハムなど、店で提供する食材のほとんどが丹波篠山産。祖母をはじめ先人の智慧が結晶した郷土料理を原点に、滋味深い篠山料理を生み出している。

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店では酒も丹波産。左から、特別純米酒「秀月」「鳳鳴」各1合 ¥900、山田錦を使った季節限定の「奥丹波 木札」1合 ¥1,000
 

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料理はいずれも全7品提供する「まえ川コース」(¥6,400)から。「ふるさとコース」(¥10,000)もおすすめ。鹿ハムとツルムラサキ、イチジク、白和え添え。
 

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自ら稲木掛けしたコシヒカリを土鍋で炊いた。
 

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築150年の町家を改修。中庭に面した個室も。
 

Yamazatoryouri Maekawa
兵庫県丹波篠山市立町93
tel:090-2065-4595
営)11:30~14:00L.O.、17:00~19:00L.O.
休)月 ※ほかに不定休あり
http://maekawa-sasayama.com

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丹波の風土に寄り添い、挑戦を続ける造り手たち。

丹波エリアは、日本三大杜氏のひとつ丹波杜氏発祥の地。1849年に創業した西山酒造場も丹波杜氏とともに発展してきた老舗酒蔵だ。看板銘柄「小鼓」は俳人・高浜虚子によって名付けられ、多くの文人墨客が愛した。蔵の敷地内にある椿寿天湶と名付けられた井戸へ、杜氏の八島公玲が高田を案内する。

「過去3度の水害に見舞われましたが、奇跡的に井戸は無事でした。竹田川の伏流水が流れ込む井戸の超軟水を仕込み水に使います」

この仕込み水と、醸した酒をそれぞれ試飲した高田は「料理を引き立てる食中酒としてもいいですね」と評価した。

希少な酒米、兵庫北錦や、一度は栽培が途絶えた幻の酒米、但馬強力の自家栽培にも取り組み、発酵技術を生かし甘酒ヨーグルトなども開発。伝統を受け継ぐだけでなく、時代のニーズに合わせた酒造りを行っている。

丹波市

西山酒造場

1849年に創業した老舗酒蔵。「小鼓」をはじめとする銘柄を四季醸造で醸し、年間を通してフレッシュな日本酒を提供している。築127年の木造建築の酒蔵をリノベーションし、発酵まかないカフェ、スイーツショップ、ギャラリー、宿泊施設などを備えた複合施設、鼓傳を年内にオープン予定。丹波の地から発酵文化を発信していく。
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日本酒造りに欠かせない酒母(酛)造りの工程を、杜氏の八島公玲(左)が説明。
 

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左から、爽やかな酸が弾ける「美白酵酒」360ml ¥1,320、兵庫北錦を使用した「路上有花 桃花」720ml ¥2,420、但馬強力で造った「路上有花 黒牡丹」720ml ¥3,630
 

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看板などは美術家の綿貫宏介がデザイン。


Nishiyama Syuzoujou
兵庫県丹波市市島町中竹田1171
tel:0795-86-0331
https://kotsuzumi.co.jp

同じく丹波市にある婦木農場の11代目・婦木敬介も、江戸時代から綿々と続く家業に新風を吹き込むひとり。北海道でチーズ造りを学び帰郷。農場内に丹波チーズ工房を立ち上げ、自家栽培の稲藁と畑の野草などを与えてジャージー牛を育てる。その牛から絞る新鮮な生乳に自家培養した乳酸菌を加え、蔵で12カ月以上の長期熟成させたチーズは「本場でもここまで手間をかけられない」と語る。その挑戦は、オールジャパン・ナチュラルチーズコンテストで初出品にして最優秀賞受賞と、着実に実を結んでいる。丹波エリアを旅し、「これほど豊かな自然が残っていて、食材の宝庫。何より造り手の熱意が名産を名産たらしめている」と刺激を受けた料理人、高田裕介。兵庫テロワール旅を通して、土地の魅力は風土と人から為ることを実感した。

丹波市

婦木農場

代々家族で農業を続け、年間120品目もの作物を栽培する婦木農場。寮生活でぬか床を手入れするなど発酵に興味があった長男の敬介は、畑の草や稲藁を餌に牛を育て、乳を搾ってチーズを作り、牛糞は畑の肥料として利用する循環型農業に取り組む。チーズは農場の近所にある道の駅、丹波おばあちゃんの里や、日曜のみ農場内のショップで購入可能。
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チーズ各種。右上から時計回りに、モッツァレラ90g ¥500、蔵熟成粉チーズ95g ¥1,300、蔵熟成ゴーダ100g ¥1,200、ラクレット150g ¥1,500、カチョカバロ200g ¥1,400 
 

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築80年の蔵を熟成庫に。毎日磨き上げ熟成させていく。
 

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濃厚なミルクを産するジャージー牛。
 

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婦木農場代表の婦木克則、母、長男の敬介、妻をはじめ、家族で農業・酪農を営む。  


Fuki Farm
兵庫県丹波市春日町野村83
tel:0795-74-0820
https://fukifarm.com
丹波市

オルモ

都庁の公務員からオーストラリアのツアーガイドを経て食に目覚め、大阪の名店ピアノピアーノで修業したという異色の経歴を持つシェフの店。完熟し赤く色付いた万願寺トウガラシや、白ゴーヤなど近隣の契約農家から仕入れた野菜、婦木農場の丹波チーズ工房(左ページ)のフレッシュなモッツァレラチーズ、丹波地鶏など、丹波の食材をひと皿に盛り込んだ「丹波の恵み前菜盛り合わせ」はオーダー必至。丹波の四季を、心ゆくまで堪能できる。

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料理はいずれも¥1,800からあるランチコースより。糖度15度のイチジクや丹波地鶏のハムなど、すべて地元の食材で彩る「丹波の恵み前菜盛り合わせ」
 

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濃厚な味の「秋ナスとトマトソース バジリコソースのパスタ」
 

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築150年余りの元呉服店をコンバージョン。
 


Olmo
兵庫県丹波市柏原町柏原119
tel:0795-73-3500
営)11:30~14:00L.O.、18:00~20:30L.O.
休)火、第1水曜
www.olmo-tamba.com

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ステイするならここへ!

丹波篠山市

篠山城下町ホテル ニッポニア

全国に残る古民家や歴史的建造物を修復し再生する分散型ホテル、ニッポニア。その第1号が400年の歴史を誇る篠山の城下町に2015年、開業。明治前期に建てられた元銀行経営者の旧邸宅や、江戸時代末期の茶屋など趣の異なる9つの宿泊棟(計20室)にはサワシロ、オナエなどそれぞれ旧篠山藩に縁のある菊の名前が冠された。篠山城址や武家屋敷も徒歩圏内で、丹波篠山の暮らしに溶け込むように滞在できる。

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Sasayama Jyokamachi Hotel Nipponia
兵庫県丹波篠山市西町25
0120-210-289(フリーダイヤル)
全20室 全室バスタブ付き
1名¥29,370~(1室2名、朝食付き)
www.sasayamastay.jp
ラシーム特別メニューを期間限定で提供!
高田裕介シェフが丹波篠山市&丹波市で出合った食材を使った料理をラシームにて提供中。兵庫県産特別メニューは、ランチもしくはディナーコース内に登場。11月3日頃までの期間限定(食材の関係で期間が予定より短くなる可能性があります)。

ラシーム/La Cime
大阪府大阪市中央区瓦町 3-2-15 瓦町ウサミビル1F
tel:06-6222-2010
営)12:00~、18:00~
休)日 要予約
www.la-cime.com

兵庫テロワール旅
公式サイトへ

●問い合わせ先:
兵庫デスティネーションキャンペーン推進協議会事務局(ひょうご観光本部内)
tel:078-361-7661

photography: Yoshiki Okamoto text: Akiko Wakimoto

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