ドン ぺリニヨン、軌跡と美学を追うバルセロナの旅。

Gourmet 2024.10.05

スペイン・バルセロナで開催された「ドン ぺリニヨン レベレーションズ 2024」。世界中から集まったシェフやアーティストとともに、メゾンの美学と向き合った。


ドン ぺリニヨンは特別なシャンパーニュだ。単一年に収穫された最上級のブドウのみで造るプレステージシャンパーニュであり、最低でも8年の熟成を経て世に出る。その繊細な味とテクスチャーだけでなく、ヴィンテージごとの個性と向き合えるのもドン ぺリニヨンの魅力だ。今年7月、バルセロナで開催された「ドン ぺリニヨンレベレーションズ 2024」は、ドンぺリニヨンが生まれるまでの軌跡を辿る特別なプログラムとなった。

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モモやネクタリンといったストーンフルーツの果実味、わずかな苦味が口中で水平に広がる「ドン ぺリニヨン ヴィンテージ 2015」 750ml ¥38,940/MHD モエ ヘネシー ディアジオ
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「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2006 プレニチュード 2」もお披露目された。プレニチュード 2は、通常8年以上の熟成で第一のピークを迎えるドン ペリニヨンを、そこからさらに長い熟成をかけてリリースする。「ドン ペリニヨン ヴィンテージ 2006」を軸に、より緻密に、よりエレガントに進化を遂げている。750ml ¥82,720/MHD モエ ヘネシー ディアジオ

プログラムの案内人は、2019年から醸造最高責任者を務めるヴァンサン・シャプロン。会場となった工場を意味する建物ラ・ファブリカに現れたシャプロンは、「ドン ぺリニヨン ヴィンテージ 2015」のリリースを発表した。ゲストは自然の中でひとりグラスと静かに向き合い、その味わいをそれぞれ確認。シャプロンは2015を「ホリゾンタル(水平)という言葉が浮かぶ。とはいえ決してフラットではなく、波のようなものも感じられる」と表現した。

年間を通して穏やかながら、8月は過去45年間で最も暑い期間を経験した15年。日射量も多く、収穫も早まった。それゆえ「ピノ・ノワールは繊細さと力強さを持つ最高品質となったが、乾燥によりシャルドネはかなりの選別が必要だった」という。

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風で草木がざわめく中、「ドン ぺリニヨン ヴィンテージ 2015」のソロテイスティングが行われた。
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バルセロナ郊外に立つラ・ファブリカは、元セメント工場。建築家リカルド・ボフィルにより、スタジオスペースとして生まれ変わった。
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日本からは、NARISAWA の成澤由浩シェフ(左)と、ラシームの高田裕介シェフ(右)、ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティンのエグゼクティブシェフが参加した。

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各々がソロテイスティングで約10年前のブドウ畑に思いを馳せた後、ラ・ファブリカの館内へ。幻想的な雰囲気の中、ピアニストのベルトラン・シャマユの演奏でディナーがスタートした。「ドン ぺリニヨン ヴィンテージ 2015」とともに供されたのは、アルベルト・アドリアと、昨年オープンしたブルガリ ホテル 東京のレストラン監修でも知られるニコ・ロミート、ふたりのシェフによる料理だ。それぞれがメゾンの持つ美学に共感し、生まれた特別な料理は、招かれた世界のトップシェフたちをも刺激した。シャプロンが「ハーモニー、すなわち調和を第一に考えている」というシャンパーニュは、昔もいまも美食と共鳴し、互いを高め合う存在といえる。

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修道院のような雰囲気が漂うラ・ファブリカの大広間で、総勢130人が集い、ペアリングディナーを開催。
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フィナーレには、再びシャプロン(左)が登壇。ニコ・ロミート(中)と、エル・ブジで兄のフェランと活躍したスペインを代表するシェフ、アルベルト・アドリア(右)には、大きな拍手が送られた。

旅の途中、バルセロナの美術館、パラオ・マルトレルで開催された展覧会を訪問した。テーマは「TRACE(痕跡)」。フランスの写真家アレクサンドル・ギルキンゲルによる植物の多様性を謳う写真や、樹液や枝などを素材に活用したジュゼッペ・ペノーネのオブジェのほか、ドン ペリニヨン創造の軌跡をアートで表現した作品がカーヴのような空間に展示されていた。背景には「自然は人間の五感に訴えかける」というシャプロンの考えがあり、ドンペリニヨンが自然のエネルギーを凝縮した特別なシャンパーニュであることを再認識する時間となった。

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展覧会『プレ アッサンブラージュ 2023』(会期終了)。ブドウ栽培者の表情を写したモノクロ写真などドン ペリニヨンができるまでの過程を追ったアートピースを展示。

*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋

photography: Harold de Puymorin

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