【フォースウェーブ・コーヒー】おいしさとサステナビリティの両立を目指すコーヒーショップが、三軒茶屋に誕生!
Gourmet 2025.10.03
東京・三軒茶屋にコーヒーショップ「SAMAA_(サマア)」がオープン。
築70年以上の長屋を再生し、家具などはアップサイクル素材を使用。おいしさとサステナビリティの両立を目指す新しいコーヒーショップ。
コーヒー監修を行うのは、"抽出家"の藤岡響。豆の持ち味を活かすべく、さまざまな技術を駆使する。
「1杯のコーヒーが、美しい未来をつくる」。そんな信念を掲げたサマアは、築70年以上の長屋を再生した空間で、デリシャスネスとサステナビリティの両立を目指す、実験的なカフェ。素材・生産背景・空間・人との関係性までをひとつの循環と捉え、訪れる人・地域・地球環境のすべてにとって"いい選択"であることを目指すべく、メニュー・空間・ふるまいの設計を行う。これまでの常識や業界慣習では両立が難しかった課題を、ラボ的アプローチで捉えなおし、「おいしさの未来」が続いていく社会を事業として具体化していく試みだ。
サマア誕生のきっかけは、ブルーボトルコーヒーで10年の経験を持つファウンダーの村上雄一が、もう一人のファウンダーであるインドネシア人のエドガー・ホンゴーとの再会を機に、環境問題に直面するバリ島でサステナビリティを軸とするレストランやホテルに触れたことから始まる。「感覚的な歓び」と「社会課題への配慮」が両立することを確信し、現地での学びをもとにこの度のオープンにつながった。
初店舗となる三軒茶屋店では、日本とインドネシアの文化が交差する新しい価値観を表現しながら、"抽出家"が監修するコーヒーメニューやインドネシアの伝統飲料ジャムウを使用したドリンクのほか、étéco bread(エテコブレッド)がサマアのために開発したベーグルなどを提供する。
要のコーヒーの監修は、元ブルーボトルコーヒーのトレーナーだった"抽出家"の藤岡響。石臼やイブリック(銅や真鍮製の柄付きのひしゃく型の抽出器具)による原始的抽出から超音波抽出まで、多様な技術で豆の持ち味を引き出す。コーヒーにぴったりなベーグルは、エテコブレッドの梶原裕が開発。小麦粉(全粒粉)×ライ麦粉×サワー種の組み合わせとオーバーナイト中種法により、ならではの風味と立体感、独特な食感を表現している。
どれもおいしそうで選ぶのに迷う! ベーグル プレーン、大麦各¥330、レモン、コーンハーブ各¥418、セサミ¥528、セサミクランベリー¥704
また、空間・建築設計は、建物の記憶や地域の素材に向き合う建築事務所STUDIO DIG.が担当した。築70年以上の長屋を骨組みを活かしながら改修し、持続可能な建築として再生。店内にはロングカウンターを設置し、ゲストとスタッフ、文化や価値観が交差する"ひらかれた実験場"としての空間をつくりあげた。家具は廃材やアップサイクル素材を用い、空間全体が循環の思想を体現している。
廃材やアップサイクル素材を用いた空間。
そのほかにもコーヒー豆かすは長野県のコヤマと連携し、ストーブなどに使えるブリケット燃料に再生、そのほかの生ごみは堆肥化して地域へ循環。器や家具は菅原工芸硝子やSUNGAI Design(スンガイデザイン)などアップサイクル素材を用いた製品を取り入れ、ユニフォームには古着や天然染料を活用し、資源と文化の循環を日常化する。
環境や循環について考えるきっかけにもなる、おいしさ・文化性・社会性のすべてを重視し、飲む体験そのものを再設計するコーヒーのフォースウェーブに、ぜひ乗ってみたい。
左上:ラテ¥660 右:スーパーミルクブリュー¥1,320
コーヒードリンク以外にインドネシアの伝統飲料ジャムウをアレンジしたオリジナルドリンクやナチュラルワインも提供する。「サーモンクリームチーズベーグル」¥1,320、ナチュラルワイン グラス¥1,200〜
サマアはペットフレンドリーなコーヒーショップなので、愛犬とお散歩がてら一緒にコーヒータイムを楽しんでみては?
ロゴはインドネシア・バンドンを拠点とするデザインスタジオ、NUSAÉ(ヌサエ)のアンディ・ラマット(Andi Rahmat)が手がけることで、日本とインドネシアの文化の交差をデザイン面でも実現。
text: Natsuko Kadokura