ますます進化! 人気パティシエの絶品東京モンブラン8選。
Gourmet 2025.11.04
和の素材を取り入れたり、異素材と組み合わせたり、和栗と洋栗のフュージョンなど、味わいもビジュアルも進化中。パリと東京を行き来するスイーツ評論家が厳選した、旬のパティシエによるこの秋のバリエーションを味わい尽くそう!
モリヨシダ
MORI YOSHIDA 
フランス人に愛されるアートなフォルムに、栗の圧倒的存在感。
パリ7区にパティスリー「MORI YOSHIDA(モリヨシダ)」を構え、ピエール・エルメにも絶賛される吉田守秀シェフ。2024年11月、中野のMORI YOSHIDA 東京店オープン時には2時間待ちの行列ができた。なかでもスペシャリテとして人気なのが、小さな渦のクリームをドレープ状に絞り、モミの木のように仕立てたアーティスティックなフォルムのモンブラン。土台のアーモンドを香らせたパートフィロ(薄いパイ生地)のパリパリ感を楽しんでいると、センターに存在感抜群のマロンコンフィが登場。マスカルポーネを加えた軽めの生クリームでマロンコンフィを覆い、仕上げには、栗の風味が凝縮されたマロンクリームを惜しげもなく絞る。ほんのり香るラム酒が余韻を残す大人の味わい。

「Mont blanc(モンブラン)」¥970
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タイスケ エンドウ
Taisuke Endo
フランス菓子をベースに和菓子をイメージした、和洋のコラボ。
パティスリー カメリア銀座で高い評価を得ていた遠藤泰介シェフがフランス・アルザスで経験を積み、2024年7月、バリスタも所属するイートインを併設した店を東京・目黒にオープン。ファンを魅了するのは、栗の旬にこだわり、9月から3月にのみしか作らない希少なモンブラン、その名も「和栗」。フランス菓子をベースに和菓子をイメージして発想したころんとしたビジュアルがキュート。土台のメレンゲは卵形のカップ状に仕立て、なかには和栗のとろっとしたクリームと濃厚なマスカルポーネ入りシャンティがまろやかに溶け合う。和栗とフランス産マロンペーストがコラボしたマロンクリームで和洋折衷の甘みが洗練の極み。口溶けのよい2種のクリームの中には熊本産渋皮煮を砕いて入れ、ごろっとした栗感を演出する。

「和栗」¥890
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ペイサージュ
Paysage
子どもの頃を思い出す、栗きんとんのような懐しい味。
フランス修業時代からレストランでガストロノミーを追求する高級スイーツを作ってきた江藤英樹シェフが、2024年2月、東京・代官山にペイサージュをオープン。温かさを感じる親しみやすいスイーツ作りを目指した新店のモンブランは、旬の期間限定。熊本県阿蘇産の和栗クリームを使い、栗きんとんをイメージした味わいはどこか懐かしい。栗と相性のよいヘーゼルナッツやアーモンドが入ったザクザクのメレンゲの上には甘さ控えめの生クリームをたっぷり絞り、砕いた熊本産の和栗の渋皮煮を忍ばせる。まわりは熊本阿蘇産栗ペーストと生クリームを合わせた口溶けの良いマロンクリームで囲む。栗のほくほく感に思わずほっこり、心和む優しさ。

「モンブラン」¥1,080
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パティスリー・キョウヘイ ミカミ
Pâtisserie Kyohei Mikami
和洋の素材と技術を組み合わせたアートのようなスイーツ。
東京・上野毛の閑静な住宅地に2023年オープン。トシ ヨロイヅカでスーシェフを務めた三上恭平シェフが手掛けるパティスリー、パティスリー・キョウヘイ ミカミ。「和モダン」をコンセプトに、竹墨パウダーや日本酒、米粉や抹茶など和の材料や技をフランス菓子の技法に融合させ、アートのような美しいスイーツを生み出す。季節により「桜」など旬の素材を使ったモンブランが登場するが、ひときわ目を引くのが、糀を使った定番の「黒雛」。口の中でほろほろと溶ける、糸のように細く絞った和栗のクリームに、土台は日本酒と黒ビールを使った特製のメレンゲ。中は茨城の和栗のペースト、自家製の栗きんとん、酵素と米麹を加えたジェノワーズ(スポンジ)、カスタードクリームなど7つのパーツが層をなす。複雑な味わいの最後には、トッピングの穂紫蘇を栗とともに味わってみて。意外な味変が体験できる。

「黒雛(くろひな)」¥2,000
東京都世田谷区上野毛4-22−2 KAYAH KAMINOGE 1F
03-5491-5181
営)10:00〜18:00
休)火〜金
https://kyoheimikami.myshopify.com/
---fadeinpager---ハナ
ka ha na -菓葉絆- 
カハナ
手間暇かけた渋皮煮が主役、唯一無二のとろける栗感。
3ツ星レストラン、レフェルヴェソンス出身の根本理絵シェフが、2024年8月、東京・三鷹にオープンした、ka ha na -菓葉絆-。通りに面したショーケースには、小麦粉、発酵バター、砂糖など有機素材の材料をメインに使用した身体に優しいケーキが並ぶ。鬼皮を剥き渋皮を残したまま煮る自家製の渋皮煮は、旬の時期だけ季節限定で1日30個程度しか作れない。きび砂糖を使いおだやかな甘さに仕立て、センターにどっしりセット。アーモンドパウダー風味のカリッとしたメレンゲの上には渋皮煮、バタークリーム、生クリーム、モンブランクリームがリッチに溶け合う。栗の奥行きを出すメープルシロップ、栗本来の甘さを引き立てる発酵バターを効かせた芳醇な香りがエレガント。手間暇かけたからこそ得られる、とろけるような唯一無二の栗感を堪能したい。

「モンブラン」¥880
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パティスリィ ドゥボンクーフゥ
pâtisserie de bon cœur
個性的なビジュアルに、酸味と甘味の組み合わせが魅力。
人気パティシエ岩柳麻子さんがオープンしたパティスリィ ドゥボンクーフゥ。2024年に高宮渚紗シェフが3代目シェフパティシエとして就任。岩柳パティシエに憧れてこの店に新卒で就職し、レシピを受け継いできた。伝統的な山型ではなくフラットなフォルムが個性的なモンブランは、酸味と甘みの複雑な組み合わせが魅力。タルト生地、アーモンドクリーム、カシスジャム、生クリーム、モンブランクリームが美しい層をなす。しっかり栗を感じるタルト生地は、アーモンドとバターの風味が香る。酸味のあるカシスジャムを挟んで、生クリームにはキルシュで爽やかさ、マロンクリームにはラム酒でほろ苦い深みを加えた。トップには大粒の栗の甘露煮を左右に置き、チャービルや金箔で飾って華やかに。

「モンブラン」¥820
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レザネフォール
Les années folles
チョコレートでマロンクリームを包んだサプライズ。
数々のコンクールの優勝・入賞歴多数の実力者菊地賢一シェフは、さまざまなバリエーションのモンブランを考案。なかでも人気は、バレンタインを意識したチョコレートモンブラン。カカオ53%のチョコレートの断片がマロンクリームにランダムに張りつけられ、まわりのチョコレートを食べ進むにつれマロンクリームが登場するという仕掛け。マロンクリームは筑波産、中央に埋め込む渋皮煮は愛媛で加工された栗、土台のサブレはヘーゼルナッツが香るシンプルなメレンゲと、香り高い栗の存在感を強調するチョコレートと相性の合う素材のみをセレクト。栗を使うスイーツの新作も多く、意外性を大切にしたいという菊地シェフのサプライズに心が弾む。

「ショコラモンブラン」¥800
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エクラデジュール
Eclat des jours
グラスに広がる栗と相性抜群のカシスのグラデーション。
フランスで修業、日仏のコンクールでも実績を持つ中山洋平シェフ。2020年6月に、東京・東陽町に続いて2店舗目を豊洲にオープン。自分の店だけのオリジナルモンブランを創造したいと、独創的なヴェリーヌ(グラス仕立て)のモンブランを生み出した。ボトムにはメレンゲを重ねて、軽く凍らせたカシスをのせる。その上にはムースのような軽さの生クリームを絞り、ホワイトチョコレートを入れた中にクランブルを散らしてアクセントに。仕上げにカシスの酸味がほどよく溶け合うマロンクリームを絞り、トッピングには熊本の栗にメレンゲを添えた多彩な食感。カシスが溶けてグラスに広がる華麗なグラデーションが感動的。

「モンブラン」¥620
text: Miki D'Angelo





