パリに新しくオープン、おむすび屋さんが人気!
Gourmet 2013.02.06
大村真理子の今週のPARIS
もうじきおにぎりの専門店がパリにできるらしい!という噂を耳にしてから、半年くらいたっただろうか。ついに、1月21日、10区のオートヴィル通り89番地にオープンした。パリは日本食ブームで和食レストランが多数できているが、その多くは中国人経営。日本の真の家庭の味をフランス人に知ってほしい!と、日本女性二人が始めた店である。店名はムスビ。フランス語で Mussubïと書くのは、Sが1つだとムズビと発音されてしまうからだ。 おにぎりではなく、おむすび。結ぶという言葉に、フランスと日本の間に絆を結ぶ、というオーナーたちの希望がこめられているのだ。

営業が月曜から金曜の12時から15時というように、狙いはランチタイムだ。界隈はかつては庶民的地区だったが、最近はデザイン関係やカタカナ系のオフィスが少なくない。つまり世界に目を向けている好奇心の強い若者が多い、ということになる。和食がとても愛されているパリで、新しいタイプのジャパニーズ・レストランとなったら、彼らが集まってこないはずがない。

かくして、開店と同時に盛況。メニューはイートイン、テイクアウトとも同じで3種類。ムスビ・ボックス(6.8ユーロ)はおむすびが2つと、3種の副菜。ベントー・ボックス(11.8ユーロ)はおむすびが3つ、主菜、そして2種の副菜。ベントー・スペシャル(13ユーロ)はおむすびが3つと6種の副菜。これは1日20箱限定なので、希望者は急ぐように。おむすびは混ぜご飯を丸く結んだもので、味もさまざま。例えば、炊き込みご飯、ブロッコリーと黒ごま、ドライトマトとパセリというように、食欲をそそるように彩りも考えられている。


ベントー・ボックスに詰められる料理は、例えば豚の生姜焼きと野菜のトマト煮、豚の胡桃味噌だったり。ベジタリアン派には、根野菜の豆乳味噌グラタンや豆腐ハンバーグなど。ベントー・スペシャルの副菜には、ポテトサラダや豆などの野菜もあれば、肉、魚、卵なども。彩りはもちろん、似通った味ばかりの品にならないよう、ごま風味もあれば、ピリ辛もあり、酢の物もあり、と気を配っているという。価格も量も手頃、ヘルシーかつ美味しい。日替わりゆえに、毎日通ってくる常連客もすでにいるようだ。ユズ、アズキ、ベントー......パリっ子の最近のボキャブラリーには、日本語が混ざっている。これからは、それに"ムスビ"が加わるのは間違いない!