「メゾン・エ・オブジェ」に登場! 世界で注目を集める日本プロダクト。

Interiors 2023.09.30

インテリア&デザイン国際展示会「メゾン・エ・オブジェ」は、年に2回、パリで開催される。今年も1月と9月に開催され、世界中からインテリアやライフスタイルブランドが集まった。

日本ブランドは、美的感性、伝統技術、テクノロジーなど、さまざまな面から支持されている。例年いくつもの日本ブランドがブースを出しているが、特に1月の展示では3年ぶりに日本ブースも復活。日本の伝統文化をベースに、欧米のライフスタイルにもなじむモダンなデザインで提案するブランドが目を惹いた。そんな今年の「メゾン・エ・オブジェ」で、デザインの目利きたちから注目を集めた4つの日本ブランドとは?

1. コーヒー豆の個性が引き立つ、サステイナブルなフィルター。「cerapotta(セラポッタ)」

今春、アッシュコンセプトより登場したセラミックフィルターブランド。約400年の歴史を持つ波佐見焼で知られる長崎県波佐見市で、伝統的な職人技術と多孔質セラミックを作る最先端技術をもとに作られている。

230925-object2-01.jpg

髪の毛よりも細い5マイクロメートルの孔が不要な雑味を取り除き、コーヒー豆本来の芳醇な香りと味わいを引き立たせてくれる。クリアな酸味も深いコクも、好みに合わせてコーヒーの濃さや風味を調整できるのが特徴だ。

230925-object2-02.jpg

また防汚効果があり、使用後に水で洗い流すのみの簡単メンテナンスが叶う。ペーパーフィルターを使用することなく半永久的に繰り返し使えるため、ゴミの削減にも繋がる。日本の確かな技術力を感じられるサステイナブルなプロダクトは、環境意識の高いヨーロッパをはじめ、世界中で広く支持されていくだろう。

230925-object2-03.jpg

---fadeinpager---

2. 石を模ったポタリーで、香りの文化をモダンに昇華。「elemense(エレメンス)」

日本香堂の440年以上にわたるお香作りの歴史をもとに開発された、ホームフレグランスブランドのポタリーストーンディフューザー。ポタリーストーンは、信楽焼で有名な滋賀県信楽町の職人技によって石を陶で模って焼き上げられたもの。丸や楕円、三角形など、3種の形と3色を展開し、自然の中で摩耗されたような一点ずつ異なる表情が魅力だ。静謐で美しい佇まいで、インテリアのオブジェとしても楽しめる。

230925-object2-04.jpg

ディフューザーオイルを数滴垂らせば、ポタリーストーンにスッと染み込んで、ゆっくりと香りが広がっていく。ディフューザーオイルは、木、火、土、金、水のエレメントから着想を得た5種を用意。ヒノキやヒバ、ヨモギ、ユズ、山椒など、日本の植物から抽出した香りが、心身を清めて安らぎを与えてくれる。

230925-object2-05.jpg

禅や瞑想というワードも認知されるほど、日本文化が流行中のヨーロッパ。香りの伝統をモダンに昇華させたポタリーストーンディフューザーは、欧米のライフスタイルにも取り入れやすい日本プロダクトとして人気上昇中だ。

230925-object2-06.jpg

---fadeinpager---

3. トラディショナルな熊野筆が、洗練のメイク&スキンケアブラシに変身。「SHAQUDA(シャクダ)」

江戸時代から続く、広島県熊野町の伝統的な熊野筆。2015年設立のブラッシュブランド「SHAQUDA」は、そんな熊野筆の伝統的な技術をもとに、洗練されたメイクアップ&スキンケアツールとして一新させた。

230925-object2-07.jpg

「SHAQUDA」のブラシは、メイクやスキンケア、ボディケアブラシなど、約70種類を展開。手にしっくりとなじむ木の温もりと、熟練の手仕事で仕上げた繊細な毛先が特徴だ。ブラシを使っている所作を美しく見せ、凛とたおやかな振る舞いに導くように、シンプルなデザインで設計されている。

なかでも「SUVÉ(スーヴェ)」シリーズのスキンケアブラシは、上質な山羊毛など、厳選された天然毛や人工毛が軽やかな肌あたりで優しくフィット。柔らかな毛の一本一本が毛穴を洗浄してくれ、きめ細やかな美肌づくりをサポートしてくれると、メイクアップアーティストの愛用者も多い。

230925-object2-08.jpg

日本の伝統技術が詰まった「SHAQUDA」のメイクアップ&スキンケアツールは、すでに世界 18カ国で販売展開中。9月には、コンシェルジェによるカウンセリングや筆の名入れサービスも行うアトリエショップを広島・熊野町に新設し、ますます話題を呼んでいる。

230925-object2-09.jpg

---fadeinpager---

4. 木工作家・吉川和人×トヨタ自動車が生み出す、美しき木のミラー。「森へ行く日」

2019年、木工作家・吉川和人とトヨタ自動車との協働でスタートしたプロジェクト「森へ行く日」。トヨタ自動車が所有する三重県多気郡大台町の広大な山林は、ユネスコが指定する生物圏保存地域と呼ばれるエリアの中にある。その山林の木を使って地域を活性化していくことを目的に、吉川和人が付近の工房にて木のものづくりを行っている。ヒノキの木で作ったミラーもそんな活動のひとつであり、売り上げの一部は環境保全団体への寄付に充てられている。

230925-object2-10.jpg

吉川和人の木工作品には、なめらかで繊細な手触りと木の温もりや力強さが宿り、多くのデザイン好きから支持されている。このミラーは、吉川和人がデザインを手がけ、老舗メーカーの三重額縁が制作したもの。ヒノキ材の細いフレームにさまざまな金箔を貼って重ねていくという手の込んだ細やかな作業により、静謐で凛とした佇まいのミラーに仕上がっている。静謐な美を感じさせるミラーは、欧米で人気の北欧と和をミックスしたインテリアスタイルにもしっくりとなじみ、洗練された空間を作ってくれる。森林保全や地域活性といった課題に向き合ったものづくりの観点でも注目されるだろう。

230925-object2-11.jpg

Text: Momoko Suzuki

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest

Business with Attitude
Figaromarche
airB
言葉の宝石箱
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories