Bernardaud 陶芸アーティストが共鳴する、ベルナルドのアート性。

Interiors 2024.05.22

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フランス・リモージュで160年以上にわたって磁器製作を続けているベルナルド。創業当時から取り組んでいるのがアーティストとの協業だ。日本の陶芸アーティスト、川井雄仁がその魅力について語った。

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陶芸の街・笠間は川井の故郷。自宅に併設したアトリエにて。

この春、東京ミッドタウン内のISETAN SALONE TOKYOで開催されたベルナルドの『Transmission』展を見た川井はその技術力の高さに目を見張った。

「錚々たる作家とのコラボレーション作品がさりげなく展示されていますが、焼きものの技術を知っている僕にとっては驚きの連続でした。いびつな形状の磁器を型にとって凹凸に合わせて転写シートを貼り合わせたジェイアールの作品、ジェフ・クーンズにいたっては、バルーンのようなフォルムに釉薬が完全にフラットな状態で塗られている。釉薬は窪みに溜まりやすく、厚みが出ると色が濃くなってしまうんですが、この作品は湾曲した面に均一に釉薬が塗られている。しかも何体も同じものをつくれる技術力には圧倒されました」

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制作の合間に欠かせないのがコーヒー。ミロのカップが心和ませる。ジョアン・ミロ ア・トゥート・エプルーヴ マグカップ¥18,150/ベルナルド

思い通りにならない陶芸の力に魅せられて。

ロンドンの芸術大学で現代アートを学んでいた川井。帰国後はアーティストとしての活躍の場をなかなか見出せず、一時アートから距離を置いていた時期があった。そんな川井は地元、茨城の笠間で陶芸と向き合うことになる。

「生まれ育った笠間は陶芸の町でしたが、僕にとって陶芸とアートは結びつかなかった。ましてや現代アートとはかけ離れたものと思っていました」

実家に戻った川井は、偶然知った茨城県立笠間陶芸大学校の前進、窯業指導所に通い始める。

「この頃、笠間陶芸大学校では陶芸におけるアートの可能性を模索し始めていた時期でした。そこで、僕はそれまでにやってきた現代アートの手法で、まずコンセプトを提示しました。でも学校ではそれは認められず、悩みましたね」

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アトリエの釜では、何度も試作を重ねながら作品を完成させる。

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左:多彩な色づかいと圧倒的な存在感に引き込まれる。"大塚家具"2023cKazuhiro Kawai 右:陶芸の新たな可能性を感じさせる作品。"金閣寺" cKazuhiro Kawai

現代アートでは、作家のコンセプトが優先され、素材はそのための道具であるという考え方が主流だ。ところが陶器造りを始めた川井は、自分の思い通りにならない現実に直面する。

「それまではコンセプトありきで、素材に対してはあまりこだわりがなかったんです。ところが陶器は思ったような色やテクスチャーが簡単には実現できない。土が相手なので、焼くと縮んだりヒビが入ったり、割れてしまうことも日常茶飯事です」

コントロールできないものと対峙していく中で、悔しさと同時に新しい発見もあった。

「ただの道具だと思っていた土は思うようにならない存在でしたが、毎日手で触れていくうちに、自分の中の可能性が引き出されていくのを感じた。素材に寄り添うことの楽しさを発見するようになっていきました」

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「いくら計算しても思い通りにならないのが陶芸。だから切り口は無限大にある」と川井。

素材が持つ力強い存在感に魅了された川井は、ろくろを使わず、さまざまな形状の土塊を重ね合わせ、色と質感のバリエーションで陶芸の新たな境地を切り開いている。

「色や質感は焼き上がってみるまでわからない。アクリル絵の具や油絵の具とは違い、生地がマットなのか、光沢があるのかによって、同じ赤でも発色はまったく異なります。いまは化学の技術が進化して驚くほど多彩な色が出せるようになりましたが、釉薬と色の組み合わせによる可能性は無限大なので、新作のたびに何度もテストを繰り返します」

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左:パーツごとに色を変え、試し焼きを繰り返す。 右:色とりどりのカラーチップを、菓子のトッピングのように振りかける。

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攻めの姿勢を忘れないベルナルドは刺激的な存在。

現代アートの世界から出発し、陶芸に取り組んでいる川井にとって、ベルナルドの果敢な試みには刺激を受けるという。

「陶芸を始めた頃は、何ができて何ができないのか、それすらわからなかったから自由にチャレンジできた。でもだんだん経験を重ねると、結果が予測できるようになる。『これ以上やったら壊れるだろう』と考えると挑戦をためらうこともあります。ところがベルナルドはまったく逆のアプローチを行なっていますよね。あえて現代アート作家とコラボレーションすることで、技術の限界を超えようとしているのではないか。作家は常にアップデートしていくべき。ベルナルドの作品からはそれを教えてもらった気がします」

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ミロの筆致のかすれまでを忠実に再現した技術の高さに驚嘆する川井。

世界的に著名なアーティストとコラボレーションを行なっているベルナルドだが、なかでもバルセロナ生まれのジョアン・ミロの作品を絵皿やカップに描いた製品は人気が高い。無意識下にある創造性を解放するシュールレアリズムの手法で知られるミロだが、ベルナルドはその遊び心あるラインと幻想的な色彩を磁器に表現した。

ジョアン・ミロの製品を手にした川井は、正確に再現された発色に心奪われた。

「色のグラデーションやにじみ具合、水彩の筆の運びによる濃淡までを転写シートで綺麗に再現していますね。色の鮮やかさだけを見ても相当なクオリティを感じます。これを美術館ではなく、ブティックでほかの食器と一緒に販売しているのも驚きです」

高度な技術とアートへのリスペクトを表現した製品を、日常使いの食器としてさりげなく提案するベルナルド。そこには日々の生活を豊かに彩ってほしいという老舗の矜持が感じられる。

「アートから一時離れて会社員生活を送っていた時、笠間の陶器に心癒やされたように、ベルナルドのカップやソーサーで豊かな時間を過ごしたい。ミロのお皿はお茶席でお菓子を盛ったり、花器に見立てたりして使うのもいいですね」

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6枚セットのソーサー。自由闊達なミロのエスプリが、一枚の皿に踊る。ジョアン・ミロ ア・トゥート・エプルーヴ デザートプレート(21㎝)6枚セット¥107,800/ベルナルド

陶芸という自然素材を相手に、自由な魂を表現し続ける川井。アトリエの壁には川井が大好きで影響を受けた古今東西のキャラクターや映画、ファッション、歌手、小説などのスクラップがびっしりと貼られていた。

「ディズニーから三島由紀夫、ジョン・ガリアーノまで、僕の人生を自由で豊かなものにしてくれたモノや人はすべて創作の原点。伝統ある陶芸の世界で、最新の知見を取り入れながら革新を続けたいですね」

ベルナルド
公式サイトはこちら

川井雄仁
Kazuhito Kawai

1984年茨城県生まれ。2007年にロンドン芸術大学チェルシーカレッジオブアート ファインアート科卒業。帰国後、会社員を経て18年茨城県立笠間陶芸大学校 研究科を卒業。現在は笠間を拠点に作家として活動中。国内外の展覧会に出展している。5月25日(土)までギャラリー・KOTARO NUKAGAにて開催中のグループ展『When I Kiss You, I Can Taste Your Soul』に出品している。

●問い合わせ先:
ベルナルド 
tel:03-6427-3713

photography: Daisuke Yamada text: Junko Kubodera

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