年末の大掃除の後にオススメ! インテリアの参考にしたい映画3選。

Interiors 2024.12.29

大掃除の季節! 1年の溜まった汚れをスッキリさせて、来年は心新たにインテリアの一新を検討している人も多いのでは? 普段よりも時間がある年末年始に映画からインテリアを参考にしてみては? 映画ライターの立田敦子がとっておきの3つの映画をセレクト!

『ポトフ 美食家と料理人』

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料理に命をかけた19世紀の美食家ドダン(ブノワ・マジメル)と女性料理人ウージェニーの愛と情熱の物語。ヨーロッパ中に名を轟かせたドダンの創造的な料理は、某国の皇太子も食べに来るというほど評判になるほど。タイトルのポトフは、肉や野菜を煮込んだ最もシンプルな料理のひとつだが、この映画におけるインテリアもそのポトフのごとく、素朴だが洗練されている。舞台となるのは、森の中にある素朴なシャトー。彼らの仕事場である厨房は、銅鍋やフライパン、レードルなど料理器具や野菜などの食材さえも"調度品"として完璧に機能していて、田舎家風のインテリアの参考になるだろう。ダイニングやサロンの優雅さも見事だが、使用人であるウージェニーの素朴な私室も味わいがある。

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こうしたフランスの田舎家は、ファブリックの使い方や自然の草花のあしらい方も上手い。監督は、ベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン。かつてパリ郊外に建てたサイゴンの一軒家のセットで撮った『青いパパイヤの香り』でベトナム風インテリアブームを起こしただけあり、本作でもその美しい自然を取り入れた野外のテーブルセッティングなども見惚れるほど美しい。まさに目にも美味しい映画。

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『ポトフ 美食家と料理人』
⚫︎監督・脚本/トラン・アン・ユン
⚫︎出演/ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
⚫︎発売元/ギャガ
©2023 CURIOSA FILMS- GAUMONT - FRANCE 2 CINÉMA ©Carole-Bethuel

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『シングルマン』

1962年のロサンジェルス。交通事故で長年の同性の恋人ジムを失ったイギリス人の大学教授ジョージ(コリン・ファース)は生きる気力をなくし自殺を企てるが、決行の日に、教え子のケニー(ニコラス・ホルト)との出会いによって、彼の計画は揺らぎ始める。

老舗ブランド「グッチ」を再生させたトップデザイナー、トム・フォードが独立後、長年の夢だった映画監督デビューを果たした第1作。

ベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞、アカデミー賞にノミネートされるなど高い評価を受けた作品だ。主演のコリン・ファースとニコラス・ホルトのスーツ以外は、衣装デザイナーに任せ、監督に専念したフォードだが、全編に渡ってその審美眼は行き渡り、そのシーンを見てもが絵画のように美しい。

極めつけはジョージが住む家だ。フランク・ロイド・ライトの弟子であるジョン・ロートナーが1948年に建築したこの邸宅(Schaffer House of Glendale)は、ミッドセンチュリーモダンの建築だが、スチールではなくオークウッドとカリフォルニアの光をふんだんに取り込めるガラスを多様しているためクールなでけではなく有機的な温かみも感じられる。

映画中、ジョージとジムがキスする回想シーンやケニーとのシーンで「透明という表現が使われるが、ガラス張りの家と同性愛者である自分たちが「透明」(存在しないように扱われている)ことをかけているあたりも心憎い。

『シングルマン』
⚫︎監督/トム・フォード
⚫︎出演/コリン・ファース、ジュリアン・ムー

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『プリシラ』

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42歳の若さで逝った"キング・オブ・ロックンロール"の異名をとるスター、エルヴィス・プレスリー。その最初の妻プリシラ・プレスリーの視点からふたりの愛と結婚を描いた映画がソフィア・コッポラの『プリシラ』だ。アメリカの空軍パイロットだった継父の赴任に伴い家族でドイツに滞在していた14歳のプリシラが24歳で幼い子どもを連れて別居するまでの恋と葛藤、成長を描いた青春譚である。

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物語のもうひとりの主役といえるのが、エルヴィスがメンフィスに構えたグレースランドという大邸宅。モノトーンのドイツから17歳で"キラキラの夢の国"にやってきたプリシラのワクワク感を反映すべく砂糖菓子のようなパステルカラーで彩られているインテリアは、60〜70年代ファッションとメイクでファッション・ショーのように着飾ったプリシラのルックスとも相まってオシャレ度は200%。

『マリー・アントワネット』のベルサイユ宮殿にも通じる、ソフィアらしいファンタジックでキュートなテイストだが、決して豪邸でなくても真似できそうなところもポイントが高い。ちなみに、現在、公開されているグレイスランドはプリシラが去った後、大改装されたものでまったく別物だという。


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『プリシラ』
⚫︎監督・脚本/ソフィア・コッポラ
⚫︎出演/ケイリー・スピーニー、ジェイコブ・エロルディ
⚫︎発売元/ギャガ
© The Apartment S.r.l All Rights Reserved 2023

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text: Atsuko Tatsuta

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