北海道のユニークな宿で、忘れられない滞在を。 自然と共生する未来の住宅、メムアースホテルへ。
Travel 2019.07.02
大きな北海道には、それぞれの都市・町ごとに魅力がある。その自然を、その魅力を讃えるホテルやB&Bで、ずっと記憶に刻もう。
メムアースホテル|Memu Earth Hotel
シンボリックな佇まいが美しいメーム。蓄熱式床暖房など、先進の機能を備えた未来の住宅だ。
十勝地方、大樹町芽武(たいきちょうめむ)。アイヌ語で「泉の湧き出るところ」という意味を持つ「メム」の名を冠するホテルがオープンしたのは、昨年11月のこと。かつて中央競馬界に数々の名馬を送り出したサラブレッドの名門ファームが、そのルーツだ。広大な牧場はやがて、2011年に公益財団法人LIXIL住生活財団が運営する、サステイナブルな住環境の研究を行う実験住宅施設メムメドウズへと姿を変え、国内外で「建築の聖地」と呼ばれる場所に。ホテルが宿泊棟や施設として展開するのは、建築家の隈研吾氏によるメームをはじめ、LIXIL国際大学建築コンペで最優秀賞に輝いた、先進的な実験住宅群だ。
ホテルのコンセプトは「地球に泊まり、風土から学ぶ」。自然と人との共生(持続可能性)をテーマに、この場所でしか味わえない体験の創出を目指している。たとえば、食については、地元生産者と提携し、十勝の風土を表現する食材をゲストのニーズにこたえながら提供。また、乗馬や釣り、カヌー、野外サウナまで、十勝の遊び方をバトラーたちが寄り添いながら提案してくれるのも、このホテルの魅力だ。
今夏からはこうしたサービスに加え、SDGsに向けた研究を行う研究者との協働もスタート。利用者の宿泊から得られるデータを研究に生かし、その社会実装のプロセスも国内外に向けて発信していく予定だという。
世界的にも類を見ないラボとしての機能も持つメムアースホテル。十勝の無垢なる自然と先進的な宿泊体験が、本質的な豊かさを見つめ直すきっかけを与えてくれるかもしれない。
隈研吾氏の設計・監修による実験住宅のメーム。アイヌの伝統的な建築であるチセをモチーフに、屋根と壁に透過性に優れた素材を使用。移り変わる光の表情が美しい。家具は旭川の家具職人、Kochiaの荒木孝文が手がけた。パジャマはアンドワンダーによるオリジナル。
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5月中旬から中央のバーンハウス、右のホライズンハウスも宿泊棟としてオープンした。
ホテルのアイドル馬コキンジ。初心者でも安心して乗馬を楽しめるアクティビティも用意。
レセプションとレストランを兼ねるスタジオメムは、築40年を超える牧草庫を改修。建築家の伊東豊雄が手がけた。
Memu Earth Hotel
北海道広尾郡大樹町芽武158-1
tel:01558-7-7777
全5室 全室バスタブ付き
バーンハウス、町まとう家1名¥32,400~(1室2名、2食付き ※町まとう家は7月下旬オープン)
インバーテッドハウス1名¥43,200~(1室2名、2食付き)
メーム、ホライズンハウス1名¥54,000~(1室2名、2食付き)
http://memu.earthhotel.jp
●東京・羽田空港からとかち帯広空港まで約1時間30分、とかち帯広空港から車で約50分。
※『フィガロジャポン』2019年7月号より抜粋
・宿泊料金は基本的に1室2名利用時の1名分の料金です。
・宿泊料金、滞在プランは、客室タイプ、時季、サービス内容で異なるため、予約時に宿にご確認ください。
photos : NORIO KIDERA, texte : TAKAHIRO SHIBATA