いつか訪れたい、世界の美しいサステイナブル建築9選。

Travel 2021.12.12

From Newsweek Japan

文/キャスリーン・レリハン

建設や開発が自然と対立することは少なくないが、建築家の間では、美しさを損なわずに環境負荷を最小限に抑えた建築を造る動きが盛んだ。

211202-newsweek-04.jpgメルボルンのピクセル・ビルディング。photo: John Gollings

気候変動の深刻化に伴い、電気自動車から菜食主義にいたるまで、生活のあらゆる部分で地球への悪影響を減らすことに注目が集まっている。北極圏にある芸術的なデザインの気候研究所から、イタリアの土で造られた3Dプリントの家まで、サステイナブル(持続可能)な上にその美しさで驚かせてくれる世界の建築物を紹介する。

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01. スフェル・イック

トゥルム(メキシコ)

211202-newsweek-05.jpgCOURTESY OF AZULIK

メキシコ東部ユカタン州の古代マヤの村に誕生した、エコなホテルにして美術館。地域にとって身近なサステイナブルデザインのモデルとなっている。ブドウの木、セメント、グラスファイバーという3つの素材を使い、工期わずか9カ月でアートと周囲のジャングルを融合させた空間が生まれた。世界中のアーティスト200人の協力を仰いで体験型の展示を作り、クリエイティブな旅行者向けのスポットを目指している。

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02. イルリサット・アイスフィヨルド・センター

イルリサット(グリーンランド)

211202-newsweek-06.jpgphoto: Adammork

デンマークの建築家ドルテ・マンドラップが設計した気候研究所兼ビジターセンター。イルリサット・アイスフィヨルドは世界遺産にも指定され、世界で最も動きの速いセルメク・クジャレク氷河の見学の拠点となっている。建物のスチールフレームは材料の80%がリサイクルされた素材で、環境への影響が少ない。スロープ状の屋根は積雪を防ぐとともに人の歩行が可能で、コミュニティの集いの場にもなっている。

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03. ハイロー・ネスト

チューリヒ(スイス)

211202-newsweek-07.jpgphoto: Roman Keller

高機能で低排出のハイロー・ネストは、2フロアのオフィススペース。建築の材料とサステナブルな技術の研究と実験を専門とするネスト研究センターの上に設置されている。建築に当たっては温室効果ガス排出削減のため、コンクリートやその他の材料を最小限にとどめた。湾曲した美しい屋根と画期的な軽量床システムを見れば、優れたデザインと温室効果ガスの削減は両立できることが分かる。

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04. テクラ

ラベンナ(イタリア)

211202-newsweek-08.jpgphoto: WASP/MARIO CUCINELLA ARCHITECTS

テクラは、土を原料にして造られた世界初の3Dプリント住宅。まさに革新的なテクノロジーと天然素材の融合によって可能になった。地元の土を材料にしてわずか200時間で建てられ、廃棄物はゼロで生物分解が可能、おまけに温室効果ガスの排出が極めて少ない。建築としても、アバンギャルドなデザインが強烈な印象をもたらす。

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05. サラ・クルトゥルフス

シェレフテオ(スウェーデン)

211202-newsweek-10.jpgphoto: Johnas Wrestling

サステイナブルな材料の本命である木材が戻ってきた。この20階建てのカルチャーセンターは、高さ約80メートルを誇る世界最大級の木造建築物。博物館に劇場、ギャラリー、図書館、ホテルなどが併設されている。100%再生可能なエネルギーを使い、炭素を含む木材によりカーボン・ネガティブ(排出する温室効果ガスよりも大気から取り除くガスの量が多い状態)を目指す。

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06. エアバブル・プレーグラウンド

ワルシャワ(ポーランド)

未来の遊び場へようこそ。ワルシャワはヨーロッパで最も大気汚染がひどい都市のひとつだが、デザイン事務所エコロジックスタジオの設計によるこのスペースは常にきれいな空気が満ちている。空気を浄化する藻類のハイテク温室に囲まれているからだ。浄化のエネルギーは太陽光と、子どもたちがウオーターフットポンプの上で跳びはねることで供給される。

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07. イーストゲートセンター

ハラレ(ジンバブエ)

211202-newsweek-11.jpgphoto: Davis Brazier

ジンバブエは暑くて、冷房が1年中必要だ。首都ハラレに建設された複合商業施設の革新的な自己調節型換気システムは、意外なものにインスパイアされている。なんと、シロアリの塚だ。ジンバブエの伝統的な石積みにヒントを得たアプローチで設計されたこの商業施設は、他の同規模の建築物に比べて温度制御に使うエネルギーが10%少なく、温室効果ガスの排出も減らすことができ、賃料の節約にもなる。

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08. 景徳鎮御窯博物館

景徳鎮(中国)

211202-newsweek-12.jpgphoto: SCHRAN IMAGE

中国南部の景徳鎮は1700年以上にわたって、高級な陶磁器を生産してきた。宮廷用の焼き物が造られた御窯廠の遺跡の近くに、スタジオ・ジュペイがアーチ形の空間を設計。古代の磁器を焼く窯(かま)に触発されたデザインだ。伝統的な窯文化を現代的な方法で維持するために、建物にはリサイクルされたレンガと新しく焼成されたレンガの両方が使われている。アーチ形の建物は地域の気候に適応しており、風洞を通る風によって自然に冷却される仕組みになっている。

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09. ピクセル・ビルディング

メルボルン(オーストラリア)

211202-newsweek-04.jpgphoto: John Gollings

オーストラリアでは初めて温室効果ガスの排出をゼロにしたカーボン・ニュートラルなオフィスビル。豊かな色彩を備えた環境に優しいデザインで、サステイナブルな建築の道を切り開いた。ソーラーパネルと風力タービンでエネルギーを自給し、屋上で地元の植物を育て、雨水を集めて水を確保している。カラフルなリサイクルパネルは日陰を提供し、反射光を最小限に抑えることで、オフィスビルとしては珍しく明るくてポップな外観をつくり上げている。

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text: Kathleen Rellihan

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