イタリア政府観光局 旅慣れた人にこそ薦めたい、オペラの古都・ベルガモの魅力!

Travel 2022.10.24

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イタリアは19世紀に国家統一がなされるまで、独自の文化をもつ小国家の集まりであったため、訪れる地域によって色とりどりの異なる個性や魅力を見せてくれる。ローマ、ナポリ、フィレンツェ、ヴェネツィアといったメジャーな観光地はもちろんのこと、旅慣れた人にこそ訪れてほしいのは、2023年のイタリア文化首都にブレシャとともに選ばれた中世の街ベルガモだ。

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古都ベルガモの旧市街地全景。石造りの建物が立ち並ぶ、美しい景観が広がる。photography:inLombardia

ロンバルディア州に位置し、その起源は古く、紀元前49年にローマ帝国の自治体となり、中世は郵便事業を発達させるなど、豊かな文化を育んできた。歴史の足跡を残す美しい町並みは、今日ではユネスコの世界遺産にも指定されている。

ベルガモの街の特徴は、歴史も古く世界遺産の城壁もある旧市街ベルガモ・アルタと、新市街ベルガモ・バッサに分かれているところ。歴史名所が多いベルガモ・アルタへは、市内にある数多くの階段を歩くか、15世紀に作られた壁を横切るケーブルカーを利用する。

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ベルガモの街の歴史を物語る、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂。photography:inLombardia

街の中心部であり歴史地区の中心であるヴェッキア広場には、コンタリーニの噴水と古代の宮殿がある。「カンパノーネ」と呼ばれる塔があるラジョーネ宮から見るパノラマは美しく、宮殿の後ろにはルネサンス様式のコッレオーニ礼拝堂のあるドゥオーモ広場が広がり、ベルガモの人々に最も愛されているサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂が鎮座する。

12世紀に竣工され、幾度も改修されたサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の内部には、16世紀に制作された聖母マリアの生涯を描いたタペストリーや、最後の晩餐や生命の樹を描いたフレスコ画など、貴重な美術品も収められて、厳かな雰囲気が漂う。

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憩いの場であるヴェッキア広場。写真右に見える塔がカンパノーネ。photography:inLombardia

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旧市街地と新市街地、ふたつの顔を持つ街。

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標高の高い位置にある旧市街地と、低い新市街地を繋ぐケーブルカーがフニコラーレだ。photography:inLombardia

おもな移動手段として利用されるベルガモ・ケーブルカーは、鉄道駅もある新市街(バッサ)と、旧市街(アルタ)を結ぶ路線であり、1887年に建築家アレッサンドロ・フェレッティによって設計され、ベルガモの標高差約85mを数分で越え、息を呑むパノラマを楽しむことができる。

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昔ながらの街並みが広がりながらも、現代的な雰囲気を感じる新市街地。photography:inLombardia

近代的な街並みの新市街(バッサ)に降りると、20世紀初頭に建てられたドニゼッティ劇場、フードバーやワインバー、ハイファッションブランドのショップなどが並ぶ大通りが広がる。ショッピングや食事を楽しめるほか、イタリアの主要なアートギャラリーであるカッラーラアカデミーもこのエリアにある。200年以上にわたって貴重な芸術作品を収集しているこのギャラリーには、ルネサンスから19世紀末まで1800点もの絵画コレクションが所蔵されている。

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ベルガモの名物は、肉を詰めた生パスタの「カソンチェッリ」。photography:inLombardia

世界的に有名なミネラルウォーター「サンペレグリノ」の採水地にもほど近く、美味しい水の採れるベルガモは「食の街」でもある。2019年以降、「ベルガモチーズバレー・ユネスコ・クリエイティブシティーズネットワーク2019」として、ユネスコから美食の街として選出されている。典型的なベルガモ料理の中でもカソンチェッリ(肉を詰めた生パスタ)、ポレンタ、チーズや肉の煮込みなどが有名である。また、バルカレピオ ロッソ、バルカレピオ ビアンコ、モスカト ディ スカンツォなどの地元の DOCG および DOC ワイン、デザートには、非常に柔らかいドニゼッティ ケーキもぜひ試してみてほしい。

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DOCGモスカート・ディ・スカンツォは、2009年にDOCバルカレピオから独立。「モスカート・ディ・スカンツォ」はロンバルディア州でのみ産出される黒ブドウ品種で、陰干しによって甘口のワインに仕上がる。14世紀には文献に登場するほど歴史があるが、生産量は少ないため流通が少ない。phtography:Fabio Toschi

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偉大なオペラ作曲家、ドニゼッティの足跡を訪ねて。

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新市街地に建つドニゼッティ劇場の外観。1897年に建てられた石造りの荘厳な外装だ。phtography:Gianfranco Rota

ベルガモという街を語る時、必ず思い出されるのがこの地が生んだ天才オペラ作曲家ドニゼッティの名だ。ロッシーニ、ベッリーニと肩を並べるイタリアのベルカント・オペラの偉人ガエターノ・ドニゼッティは1797年11月29日にベルガモで生まれ、喜劇と悲劇合わせて約70作ものオペラ(一生涯で書かれるオペラの数としては驚異的)を作曲し、1848年に50歳という若さで亡くなった。天才として早くから才能をあらわしていたドニゼッティが学んでいたのが、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の楽長が営んでいた慈善音楽院だった。

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ドニゼッティ劇場の内観。美しい天井画が時代を感じさせつつ、2018年の改装でエレベーター、エアコン完備の現代的な劇場に。phtography:Gianfranco Rota

ドニゼッティが書いた喜劇オペラ『愛の妙薬』『ドン・パスクワーレ』、テノールの妙技が聴きどころの『連隊の娘』はいまでも頻繁に上演され、悲劇である『アンナ・ボレーナ』『ランメルモールのルチア』も世界中で愛されている。劇場支配人から驚愕されるほどの早書きで、ときには自分自身で台本も書いていたドニゼッティは、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニと並ぶ、イタリアオペラの鬼才だった。

ベルガモにはドニゼッティの生家に始まり、ベルガモ・アルタにある、作曲家が若かりし頃に音楽学校の合唱団と共演したソチャーレ劇場など、オペラファンには見逃せないスポットがある。サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の一階にあるドニゼッティ美術館では、ドニゼッティの人生をたどる展示がなされていて、訪れる人の目を楽しませている。

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2021年の『ドニゼッティ・オペラ・フェスティバル』公演演目「愛の妙薬」の様子。phtography:Gianfranco Rota

彼がこの街に残した芸術的遺産を祝うために行われているのが、毎年11月から12月にかけて開催されるドニゼッティ・オペラ・フェスティバルだ。会場となるドニゼッティ劇場は、もともと18世紀に地元のシルク職人の名を冠した劇場であったが、ドニゼッティの生誕100周年である1897年に新たにドニゼッティを記念した劇場へと進化した。建築家のピエトロ・ヴィアの外装によって生まれ変わった建物を囲んで、大きな祝賀会が開かれた。2018年に大規模な修復がはじまり、完成した現在の劇場は、エレベーターが設置され、エアコンも備わっている。ヨーロッパのオペラハウスの中でも最も美しいもののひとつで、美術品のような内装が夢の空間を作り出している。

2022年に8回目の開催を迎えるドニゼッティ・フェスティバルでは、ふだん上演機会の少ない作品もとりあげられ、合唱にはドニゼッティ・オペラ・アカデミーの生徒たちも参加する。歴史的美術とグルメ、ショッピングに加えて、作曲家ゆかりの地でイタリアオペラの神髄を味わうことは、完璧な旅の愉楽となるはずだ。

ベルガモの詳しい情報

●問い合わせ先 
ロンバルディア州観光局
www.in-lombardia.it/en/tourism-in-lombardy/tourism-bergamo
イタリア政府観光局
www.italia.it

 

text: Hisae Odashima

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