食・農・自然を五感で味わう、新しいのにどこか懐かしい「コクーン」。

Travel 2022.10.26

千葉県木更津市にある体験型複合施設「クルックフィールズ」に、新たな宿泊施設「cocoon(コクーン)」が11月24日からオープン。土を感じ、ハーブを摘み、自然の音に囲まれて眠る宿泊施設の魅力をレポート。

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丘の上に立つコクーンの宿泊棟7棟。いちばん右の平屋は、宿泊客がディナーを楽しめるレストラン「perus」。

クルックフィールズは食・農・自然の循環をテーマにした巨大なファーム&パークだ。音楽家の小林武史がプロデュースする約9万坪もの広大な敷地には、宿泊施設やレストラン、有機農場や自社の野菜や乳製品を購入できるショップが点在。来場者が野菜の収穫を体験できる畑や、子どもたちが思い切り遊べるブランコ、遊具なども揃う。ここに新たに登場する宿泊施設が「コクーン」。新機軸の宿をプロデュースしたのは、「ミナペルホネン」のデザイナー皆川明だ。

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コクーンの宿泊棟はそれぞれ木々に囲まれ、天井の上にも植栽が施される。

コクーンは店舗や畑から少し離れた丘の上に位置する7棟の客室、キッチン、レストラン、サウナで構成されている。客室はクルックフィールズの敷地に面して入り口があり、窓からはすり鉢状に広がる農場全体が見わたせる。それぞれが木々に囲まれているため、開放感がありながらもプライベートが守られた設計になっているのもうれしいポイントだ。

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家具は皆川明が監修し、ikken(イッケン)が設計。木目とファブリックのあたたかみが優しい落ち着きを与えてくれる。

白を基調とした部屋の中にはソファとベッド、本棚に文机と、かなり家具が揃っている。それぞれの家具が空間を妨げず、落ち着いた雰囲気を醸し出す。試泊した日はウェルカムドリンクとしてイチジクの葉を乾燥させ緑茶とブレンドした爽やかな冷茶が冷蔵庫に用意されていたが、これも心落ち着く香りと味わい。文机は広々としており、夜にパソコンで作業していても何も不都合を感じなかった。風がそよぐ音を聞きながらワーケーション、そして秋には虫の声を聞いて眠りに落ちる……なんて経験、ほかではなかなか味わえない。

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バスルームは天窓から光が差し込み、開放感を感じる。ヒノキの香りが心を癒してくれる。

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クルックフィールズにはこれまでもてトレーラーハウスを客室に改装した宿泊施設が用意されていたが、このコクーンの特長はキッチンラウンジを利用して、料理を自分で作れるところにある。

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レセプションにもなっているキッチンラウンジ。引き出しの中には包丁からボウル、鍋、フライパンにいたるまで調理器具が豊富に揃い、調味料も完備。

キッチンラウンジでは、宿泊者が農場で収穫した野菜や場内で販売されている食材を吟味しながら、あれこれとメニューを考えて料理を進めていく。スペースは共同空間のため、時には別のグループと一緒に食事をとることにもなる。その季節にしか採れない野菜、そしてその時にしか居合わせない人との交流を愉しむ空間になっていくのだ。

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暖炉には皆川明がイラストを施した。夜にはスタッフが薪をくべ、焚き火が行われる。

熱源はガス台が3台のほか、キッチン中央に薪をくべるかまどが鎮座。クルックフィールズのスタッフにアドバイスをもらいながら、野菜のホイル焼きや串に刺したソーセージを炙ったスモーキーでジューシーな料理を味わうことができる。

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試泊の際、宿泊者たちで作った料理。それぞれのグループが得意料理を持ち寄っておすそ分け、というのもおもしろいかもしれない。

「料理はちょっと苦手で……」という宿泊者は、シェフによる旬の食材を使用した料理が楽しめるレストランを利用することも可能だ。窓から眺める自然を楽しみながら野菜を味わえるこちらのカウンターにも、他では味わうことのできない時間が流れている。

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居心地のいいカウンターには、落ち着いた空気が流れる。野菜の美味しさを存分に引き出すシェフの味をお試しあれ。

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農場で採れた新鮮過ぎる野菜や卵、近隣で採れた米……。どれも味が濃く、素材本来の味を楽しめる。

長靴を履いての農場体験も、都心にいてはなかなかできない経験だ。この日はバスケットを持ってハーブを栽培しているエリアへ。アップルミント、スペアミント、イエルバブナ、ベルガモットミント……。ミントだけでもこんなに種類があることにびっくり。手に取って葉の違いを眺め、ちぎって香りの違いを感じたりと、普段は使わない五感をフルに働かせるのもおもしろい。

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エディブルガーデンにて。バスケットの手前側に入っているのは、種類もさまざまなミント。キッチンラウンジで洗って熱湯で抽出し、ハーブティーを愉しもう。

農場を歩いていると、牛やヒツジにヤギ、そして場内で飼育している水牛などの様子を観ることができる。朝食で食べられる採れたての鶏卵も魅力のひとつ。鶏は国内でも珍しい、ケージに入れず地面を歩かせて育てる「平飼い」で育てている。こうすることでストレスが少なくなり運動量も増え、健康な卵や鶏肉ができるのだという。

広大な敷地の随所でサステイナブルを感じる、唯一無二の宿泊体験。家族や気の合う仲間と、ぜひ自然にあふれるエネルギーを全身で受け止めてみては?

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宿泊者はフィンランド式サウナも楽しめる。外に設えられた水風呂は斜面に面していて、眺めも最高だ。
クルックフィールズ コクーン
千葉県木更津市矢那2503
11月24日(木)オープン
10月1日から宿泊予約受付中
価格は¥22,000~
https://kurkkufields.jp
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