マラマのこころに触れるハワイ/Nature マラマを感じるために、オアフ島の自然の中に入っていく。
Travel 2023.08.22
ハワイ語で「思いやるこころ」を意味する「マラマ」。ハワイの自然環境、伝統・文化を守る大切なキーワードであるマラマをテーマに旅をすることで、ハワイをもっと深く知り、大地とリンクし、 こころと身体が満たされるはず。オアフ島の自然を歩き、土地に受け継がれてきた食文化を愉しみ、大地を思いやるこころに溢れた人に出合う。
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ハワイの大地を思いやるこころがマラマなら、ハワイの自然の中に自らの身体を使って入らないといけない気がして、オアフ島の森を目指した。ハワイの自然というと海をイメージしがちだが、美しい森があるから美しい海がある。オアフ島の森と水の源を目指した。
マノア渓谷に降る雨が、森をいっそう美しくする。
マノア渓谷に近づくと雨が降っていた。旅人にとって雨は望ましくないことが多いのだが、ハワイの森を歩く時に限っては、雨が天からの贈り物に感じてしまうのは、ハワイという土地が雨を尊いものとして捉えているからだろうか。雨は神話や歌にたびたび登場し、ハワイ語には雨を掲揚する言葉が200種類以上あるという。マノア渓谷に降る霧雨はトゥアヒネという女神の名が付けられている。
雨に濡れると山の緑が美しさを増す。
ライアン植物園のビジターセンター。入場は無料だが予約とドネーションを忘れずに。
ビジターセンターでトレイルマップを手に入れる。
静かなライアン植物園はカヌープランツの宝庫。
マノア渓谷のトレイルでまず名前が上がるのはマノア滝を目指すトレイルだろう。マノア滝も神秘的で美しいのだが、人の多さに驚くことがある。でも、すぐ隣にあるライアン植物園のトレイルは人も少なく、メインコース以外にも無数のトレイルがあり、亜熱帯植物の森の中を静かに歩くことができるのだ。園内にはハワイに最初に訪れた人間である古代ポリネシアの人々が運び、ハワイ文化において重要な存在となったカヌープランツも多く育っている。鬱蒼とした森の中、身体を包み込むような湿度の中を歩いていると、自然の中に溶け合っていくような気分になる。森のもっと奥へと足を踏み入れたくなってしまうのだ。1時間ほど歩いてたどり着いたアイフアラマ滝は水量が少なかったが、水の音が心地よかった。
森では植物のエネルギーをもらえるような気がする。
古代ポリネシアの人々が運んできたカヌープランツがハワイ特有の文化を形成した。
カヌープランツの一つであるティ。悪霊から人を守るといわれ、レイによく用いられる。
ライアン植物園
3860 Manoa RG,Honolulu,HI96822
tel: (808)988-0456
https://manoa.hawaii.edu/lyon/
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古代ハワイアンにとっての聖なる谷へ。
アイフアラマ滝本来の姿を見られなかったからではないが、滝の力を感じたくてノースショアを目指した。古代ハワイアンの集落があったワイメア渓谷は“聖職者の谷”と呼ばれていたそうだ。滝へと続くトレイル沿いにはヘイアウ(古代神殿)跡や畑の跡、復元住居など古のハワイの暮らしが垣間見える遺跡などが点在している。渓谷の深部にあるワイメア滝は落差12mの堂々とした姿。滝壺は広く、プール状になっている。古代ハワイアンの人々は治療や祈りの場としてこの滝を大切にしていたそうだ。日本では龍神に例えられることが多い滝はハワイでも神聖な存在で、強いマナ(生命に宿る力)のある場所として捉えられている。絶え間なくものすごい量のエネルギーが流れ落ちている滝に生身の身体で打たれてみると、ハワイの大きな力を感じられた。
ワイメア渓谷まではワイキキから車で70分ほど。
ビジターセンターから30分ほど歩くと滝にたどり着く。
植物やヘイアウ跡など見どころ満載のトレイルを歩く。
ワイメア渓谷
59-864 Kamehameha Hwy Haleiwa,HI96712
tel: (808) 638-7766
https://www.waimeavalley.net/
photo: Kuni Nakai text: Takuro Watanabe coordination: EJ Moriguchi cooperation: Hawai'i Tourism Japan