マラマのこころに触れるハワイ/Traditional Culture ハワイの人たちが古くから大切にしてきた伝統文化を学ぶ。
Travel 2023.08.22
ハワイ語で「思いやるこころ」を意味する「マラマ」。 ハワイの自然環境、伝統・文化を守る大切なキーワードであるマラマをテーマに旅をすることで、ハワイをもっと深く知り、大地とリンクし、 こころと身体が満たされるはず。 オアフ島の自然を歩き、土地に受け継がれてきた食文化を愉しみ、大地を思いやるこころに溢れた人に出合う。
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移民の文化が混ざり合うことで形成されたハワイの食文化は多様で、いつも旅人を楽しませてくれるのだが、マラマのこころを知るためにはやはりハワイで受け継がれてきた伝統的な食文化に注目したい。
ハワイの文化の中心にあるタロイモ。
ハワイアンたちが一番大切にしている食物といえば、タロイモ以外には考えられない。古代ポリネシアの人たちが運んできたカヌープランツの一つであり、タロイモはずっとハワイアン食生活の中心にあった。ハワイの土地とタロイモの関係について知るためにカネオヘにあるクアロアランチを訪ねると、美しく広がるタロイモ畑で地元の小学生たちが農作業の体験をしていた。
「ハワイアンとタロイモはとても深い繋がりがあります。タロイモを中心にした食文化を通して学べることがたくさんあるのです。自分の住んでいる土地の文化を守ってほしいし、アイデンティティを大切にしてほしいですね」
そう話してくれたクアロアランチスタッフのマヒナ・オキモトさんに、マラマについても聞いてみた。
「マラマ・アイナという言葉があります。アイナは大地。大地を思いやるこころですね。アイは食という意味もあるんです。食を取り巻く環境が循環してまわっていくようにすることが大切なんでしょうね。大地に敬意を持って恵みを与えると、循環して自分にも還ってくると思うんです。観光で訪れた人にとっても。ここで学んだサステイナビリティの考えなどを自分の土地に持ち帰ってからも活かしてもらえると思っています」
タロイモ畑ではローカルの小学生たちが楽しそうに農作業体験をしていた。
クアロアランチスタッフのマヒナ・オキモトさん。
フィッシュポンド(養魚池)もハワイならではの伝統文化。潮の満ち引きを利用して魚を呼び込む。
ハワイの神話ではタロイモは人間の兄弟だという。
「ハワイの創世神話ではタロイモと人間は兄弟なのです。大地と神話との深い繋がりを理解するための一つの大切な存在としてタロイモがあります。タロイモは人間が生まれるずっと昔から地球に存在していて、その恵みで命を繋いでいるんです」クアロアランチでハワイアン文化アドバイザーを務めるジョーイ・カラナキオカラフイ・パルペさんがそう教えてくれた。ジョーイさんが手に持っているのは蒸したタロイモをついてポイを作るポハクという道具。つきたてのポイは優しい味だった。
伝統的なポイ・パウンディング。リズミカルにつく音が心地いい。
杵の役割を持つ石がポハク。パパクイアイというウッドボードの上で蒸したタロイモを餅つきのようについていく。
ローカルプロダクトが揃う『クアロア・グロウン・マーケット』
1860年代に牧畜が始まり、約500万坪という広大な土地をフィールドにした乗馬や映画のロケ地巡りができる観光牧場として有名なクアロアランチでは農業も行っている。パンデミックを機にして地元の人のために開いたマーケットがきっかけとなりオープンした『クアロア・グロウン・マーケット』では、クアロアランチで収穫された農産物や肉・魚介類を取り扱う。
『クアロア・グロウン・マーケット』毎日10:00~17:00オープン(12/25,1/1休)。
採れたての新鮮な野菜や果物が並ぶ。
タロイモ。クアロアランチではタロイモの苗を近隣農家に提供もしている。
クアロアランチ
49-560 Kamehameha Highway Kaneohe,HI96744
tel: (808) 237-7321
https://www.kualoa.jp/
photo: Kuni Nakai text: Takuro Watanabe coordination: EJ Moriguchi cooperation: Hawai'i Tourism Japan