パリから飛行機で1時間40分、プチヴァカンスはミノルカ島へ。

Travel 2024.05.10

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太陽、海、野生の自然、寛ぎが待つミノルカ島。ホテル メノルカ エキスペリメンタルでスタイリッシュに過ごすプチヴァカンスを。photos: (左)Delphine Le Goff、(中・右)Mariko Omura

パリのオルリー空港からたった1時間40分で到着する地中海に浮かぶ小さなミノルカ島(スペイン語でメノルカ島)。パリからマルセイユまでTGVで3時間以上かかることを思うと、パリっ子たちにはスペインといえどフランス国内を旅する感覚で出かけられる位置にある。左隣のマヨルカ島が大衆向けのバカンス地なら、ミノルカ島に集まるのは洗練と自然を求めるおしゃれな人たちだ。この島はユネスコによって、1993年に生物圏保存地域に指定されている。メノルカ サンダルの生まれ故郷というとイメージしやすいだろうか。

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ホテル メノルカ エキスペリメンタルで、野生の自然とアーティシックな滞在。

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左: ホテルの敷地内への入り口の、堅牢なオリーブの樹を材料にした扉と石垣。これはミノルカのあちこちで目にすることになる。右: 緑の中に立つホテル。レセプションへは本館の右脇の入り口から。photos: Mariko Omura

パリっ子たちが向かうのは北に比べて気候が穏やかな島の南側だ。そこには19世紀の農場領地だったという30ヘクタールの敷地に、野菜畑、ワイン畑を有するアグリツーリズムのブティックホテルL'Experimental Menorca(ホテル メノルカ エクスペリメンタル)がある。ミノルカ島のマオン空港からタクシーで約20分。オリーブの木を組んだミノルカスタイルの低い扉が左右に開かれてホテルの敷地に招き入れられ、しばらくすると緑の中に真っ白い建物が姿を現す。ここがレセプションのあるホテルの本館だ。地下にはスパ、一階にはレストランがあり、その向こうにはレストランのテラス席とバーが広がっている。43の客室中ヴィラが9軒で、その内昔教会だった建物を改装したヴィラを含む7軒はプライベートプール付きだ。もちろんホテルには宿泊客用に広々としたプールが備えられていて、プールサイドバーも営業。世界各地にカクテルクラブを開き、その分野でも名高いエキスペリメンタル・グループのホテルである。ここに滞在するなら、カクテルをおおいに楽しまなくては!!

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ホテル メノルカ エキスペリメンタルのレストラン、テラス、バー、スパ、客室を擁する本館。photo: Mariko Omura

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プール。片側に並ぶビーチチェアからは緑の眺めも楽しめる。photo: Mariko Omura

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左: 敷地内に点在する9つのヴィラ。右:かつて教会だった建物がヴィラに改装された。photos: Mariko Omura

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ブルーにペイントされた階段、瓦をグラフィカルに配置した雨樋はホテル内でよく目にする光景だ。photos: Mariko Omura

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客室のタイプはさまざま。庭に面したバルコニー付きもあれば、見晴らしの良いルーフトップテラス付きの部屋も。photos: Mariko Omura

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室内建築家ドロテ・メリクソンがアーティストのヴァカンスハウス風に修復。

ホテルの修復と室内建築を担当したのは、本誌でも何度か紹介したドロテ・メリクソン。彼女がホテル メノルカ エキスペリメンタルにイメージしたのは、アーティストがヴァカンスを過ごす家だった。画家のミロがマヨルカ島に、ピカソがフレンチリヴィエラに、ダリがカダケスに持っていた家のように。地元の職人たちとともに彼女は本館をはじめ、敷地内の家々の修復を進めた。家具は彼女がデザインし、それを彼らに作ってもらって、シンプルな中に色彩とエレガンスが感じられるインテリアを作り上げたのだ。客室にあふれるくつろぎ感に浸って、レイジーに過ごす時間もまた楽しい。

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左: ヴィラも本館も、客室には落ち着いた色をベースにところどころに明るい色が用いられている。右: バスルーム。客室料は部屋タイプ、シーズン、曜日によって異なるのでサイトでチェックを。photos: Karel Balas

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左: ドロテによる独特なフォルムのランプ。客室にもパブリックスペースにも。右: コンクリートとタイルの素朴なバスルーム。

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左: 手織りのブランケットを毛糸の手刺繍が飾るベッドカバー。モチーフは部屋ごとに微妙に異なる。右: スリッパやバスローブなどいたるところに描かれているイラストやホテル内のグラフィックはKarel Balasに託された。photos: Mariko Omura

レセプション、レストランなどパブリックスペースでシックなリラックス感を輝かせているのは、ドロテの仕事で特徴的なタイルだ。本館のエントランス部分は吹き抜けで、レセプションの向かい側の3フロア分の高い壁を覆うのはグレーブルーの縦長のタイル。職人たちが釉薬にいたるまで手作業で作るエナメルタイルのイレギュラーな仕上がりが美しい味わいを呈している。

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タイル使いが目を奪うレセプションホール。レストラン脇にあるブティックがレセプションデスクの向かいにコーナーを構えていて、ジュエリーや陶器などを販売。photos: Mariko Omura

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左: 本館の3階の廊下から吹き抜けを眺める。右: 島の職人たちが作る雨樋を壁の装飾に。photos: Mariko Omura

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手付かずの自然に導かれてホテルの敷地内を散歩。

本館の脇で小さな緑が満たすのはハーブ畑だ。これらはカクテルや料理に用いられる。敷地内、歩みを進めると4年前に植えたというぶどう畑が広がり、またレストラン用に育てている野菜畑に迎えられる。アーティチョーク、レタス、トマト、いちご......畑の実りはレストランへと。ガーデン・トゥ・テーブル! アグリツーリズムならではの最短距離の仕入れが実践されているのだ。ヴィラの宿泊者は朝食のために、松や小花など緑あふれる敷地内を鳥の歌声に耳を澄まして本館へと向かう。ヨガ教室は海を見下ろす高台で開催され、そこに向かう道もまた快適である。ヨガをしなくても、行ってみよう。そこは夕陽を眺めるビューポイント。降り進めば島の南部にいくつも続く入江のひとつへと誘われる。

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迷子にならないよう標識を辿って歩くと、ヨガ会場のビューポイントに。photo: Mariko Omura

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ぶどう畑と野菜畑。アグリツーリズムならではの光景だ。photos: Mariko Omura

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壮大な自然もあれば、庭を歩いて目に留める名もない小花も。どこからともなく姿を現す猫も屋外ホテルライフをエンジョイしている様子だ。photos: Mariko Omura

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食の悦び、スペイン風パン・ペルデュにノックアウトされる。

ホテルの一階にあり広いテラスを有するレストランは滞在客以外にも開かれている。ホテルの滞在者たちもほかに行かずに自宅にいるかのように毎食をここで寛いで味わうというように、島の中でも味自慢の場所だ。レストランのメニューに並ぶのは、地元の季節の素材を用いた地中海風料理。食材の味を生かすシンプルな調理法が基本で、それにソースがオリジナリティを添える。シェアして楽しめるように考えられているので、ここではあれこれ味わってカジュアルな食事時間を過ごそう。

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ランチもディナーも始まりは、前菜をシェアして。左からトマトのトースト、イベリコ豚のハムの盛り合わせ、タパスの人気料理であるポテトのオリーブオイル揚げ、イベリコハムのコロッケ。photos: Mariko Omura

スタートはトマトトースト、オリーブのマリネ、ハムのコロッケ、ポテトのローストなどをシェア。ランチに比べるとディナーのメニューは肉も魚もチョイスが増える。野菜料理もとても充実していて、アーティチョーク、ズッキーニ、リーク(西洋ネギ)など畑の実りで舌鼓を打つことになる。ディナーのデザートのお薦めは"caramelized torrija wih vanilla ice cream"。torrijaとはスペイン語でパン・ペルデュの意味で、周囲が軽くカラメリゼされ、バニラアイスクリームを乗せて食卓に登場する。中は卵たっぷりでふわふわ。島でおなじみのデザートとはいえ、このレストランのはやみつきになるおいしさだ。

お腹いっぱい!と眠りにつく時、食いしん坊なら翌朝のビュッフェ朝食(8時〜11時)へ想いをはせることになるかもしれない。ヴィーガンもエピキュリアンも喜ばせる種類豊富なビュッフェで、別オーダーのボイルドエッグ、ポーチドエッグを乗せたアボカドトーストなども味わい深い。たとえば島巡りでランチに無駄な時間を取られたくない日は、ブランチ的にちょっと遅めにたっぷりと食べておくといい。

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ランチメニューから。左: マグロのたたき、右: 柔らかでジューシーなサーロインステーキ。チミチュリソースで。photos: Mariko Omura

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ディナーメニューより、左: アーティチョークのグリルに地元のチーズを乗せて。右: リークのグリル。photos: Mariko Omura

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左: ホワイトアスパラガス、味噌ヴィネグレット。右: デザートの人気者はバニラアイスクリームを添えたCarameralized torrija。photos: Mariko Omura

滞在をよりエンジョイするには、食事の前にまずカクテルタイムを! 地元の素材、畑の恵みを生かしたカクテルの数々。松と同じくらい島にはジュニエーヴル(西洋杜松)が育ち、その実がジンの味付けに使われることからジンはミノルカ島の主要産物のひとつ。たとえばローズマリー・コリンズのようなジンベースのカクテルを味わう良い機会だろう。

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左: モクテルのひとつ、ミケラダ 。ビール、ライムジュースなどがベースで味はブラディ・マリーに似ている。右: ミノルカはマオンのブランド Xorigueurのジンをベースにしたローズマリー・コリンズ。爽やかなカクテルだ。photos: Mariko Omura

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営業時間はランチ13時~15時、ディナー19時〜22時、バー12時から24時。photos: Mariko Omura

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ホテルを基点により活動的に島と触れ合う。

ホテルの部屋とプールを行き来し、太陽と戯れながらカクテルを味わって......さらにショッピング派はホテル内のブティックでお買い物! 島やスペインのモードとアールドゥヴィーヴルの品々がセレクトされている。旅先でエステを欠かさないという人は地下のスパへと。ケアのプロダクトはサンドリーヌ・シクスティーヌが2015年に創業したNüssa、ヴィーガンスキンケアのAlex Carro。最近よりホリスティックなブランドがパートナーとなっている。ハマム、サウナも設置され、身体と精神の解放の時間を過ごすことができる。

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スパ。ふたり一緒にケアを受けられる部屋もある。

滞在をよりアクティブに!というのであれば、ヨガ教室が敷地内で行われている。またミノルカ島観光の名物のひとつは、乗馬散策。初心者でも参加できるツアーをホテルで予約できるので試してみては? 馬の道と呼ばれるコースが島をぐるっと巡っていて、1時間コースあるいは2時間でその一部を体験するのだ。馬と一体となって高い場所から眺める景色は一生の思い出となるはず。地元の工芸に興味があるなら、島の中心街マオでの陶芸のワークショップの予約もホテルでできる。ジープの島巡りなどアクティビティの種類は豊富。ホテルの若いスタッフはスペイン語、英語、フランス語が堪能なので、知りたいことがあったら聞いてみるといいだろう。ミノルカ島でのヴァカンスは人生で何度もあることではない。島の南部のほぼ中央という良い場所に位置するホテル メノルカ エキスペリメンタルを基点に、あちこち見て回って島の魅力を存分に体感しなくては!

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ミノルカ島の観光のひとつは馬での島散歩。この機会にぜひトライを。photos:(左)Karel Balas、(右)Delphine Le Goff


Experimental Menorca

Cami de Llucalari,
07730 , Alaior , Menorca
https://fr.experimentalgroup.com/destinations/menorca
@menorcaexperimental

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editing: Mariko Omura

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