自然と戯れ、おいしく食べる。パリから近いミノルカ島で2~3泊!

Travel 2024.05.16

フランス人が気軽に出かけるミノルカ(Menorca/Minorca)島。地中海に浮かぶバレアレス諸島でいちばん小さな島だ。マヨルカ(Majorca)島と混同されがちだけれど、大きなマヨルカ島はメジャーから、小さなミノルカ島はマイナーからと語源を知れば間違わなくなるだろう。ユネスコによって1993年に生物圏保存地域に指定された島なので、ここに滞在すれば自ずと豊かな自然に触れる機会が得られる。

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島の南側には白い砂浜と海底が透き通って見える入江がいくつも続いている。©️tourspain.es

ミノルカ島の外国人観光客の筆頭はフランス人とイギリス人だという。パリのオルリー空港から直行で1時間40分、ロンドンのガトウィック空港からは直行で2時間15分という距離にあると知れば納得できることだ。空港からも近いメイン都市は、島の東部に位置する天然港で名高いマオー=マオン(Maho-Mahon)。スペイン語だとマオー、島民の多くが使うカタルーニャ語ではマオンということから、こうした表現が取られている。意外にも、このマオーこそがマヨネーズ発祥の地! 日本の有名なマヨネーズ会社もこの街の訪問に来たそうだ。サンタ・マリア教会、市場、港を見下ろす砦などを見学しながらブラブラ歩き......広場のテラスでランチをとって、あるいはマオーでいちばんチャーミングなゲストハウスCristine Bedfor in Menorcaのレストランでティータイム......小さな街なので短時間で見て回れる。なお街にはタクシー乗り場があるので、島のほかの滞在先からマオー探検に来た場合も戻りの足が確保できるのがうれしい。

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左: 港を見下ろせる高台へは徒歩あるいはエレベーターで。右: 立派な鉄門扉の魚市場。photos: Mariko Omura

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スペインの島らしくカラフルにペイントされた家々。シエスタの時間中や日曜の午後、商店はクローズしているけれどマオーの街は散歩するだけでも楽しめる。photos: Mariko Omura

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Cristine Bedfor in Menorcaはインテリアが可愛いプール付きのゲストハウス。レストランは宿泊客以外にも開かれている。photos: Mariko Omura

横長の島の東部から西部へと整備された道路が貫き、その道の上側が風の強い北部で、その下側が海底まで透き通って見える青い海の小さな入江がいくつも続く南部。こちらが観光客を多く集めている。水泳、ヨット、ダイビングなど、マリンスポーツに興じられる素晴らしいスポットがたくさん! 島を車で巡ると繰り返し目に飛び込んでくるのは低い石垣、牛や羊の放牧、牧草地......空を見上げれば羽を広げて飛んでゆくハゲタカやワシが。メインロードから外れた自然の景観の中には、有名な先史時代の遺跡が点在している。考古学にさして興味がなくても、島を知るにつれてこうしたことも気になってくるだろう。巨石を積み上げたモニュメントは紀元前2000年からの島民たちの住居の跡である。巨石遺跡には3つのタイプがあって、T字に組み立てられたタウラ、塔(タワー)のフォルムのタラヨット、船を逆さまにしたような形のナヴェタだ。

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積み上げられた石を見て、紀元前の人々の暮らしを想像してみよう。©️tourspain.es

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左: 石と岩に事欠かない島。かつて人々は紐を使って石を投げてウサギ狩りもすれば、侵略してきたカルタゴ人と戦ったり......。ジープによるエコツーリズム観光を行うガイドのPere Masso Bachpol(www.jeepsafarimenorca.es)が実演して見せる。右: 島には石灰岩の石切り場も。家の建築のために手で採掘され、機械採掘は20世紀に入ってからだ。現在では石灰岩は既存の建物の修復に使われる程度とか。岩の上の植物が水を求めて地下へと根を延ばしている様子に生命力を感じる。photos: Mariko Omura

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シウタデラの近く、Lithicaの壮大な採石場跡。初夏から夏の終わりにかけて、コンサートなどが開催される。©️tourspain.es

島の西端に、マオーよりシックと言われる古都シウタデラがある。港町で中世の初期にはこちらが島の中心地だったが、18世紀、英国に占領されていた70年の間にマオーに都が移されてしまったのだ。街中には中世建築の宮殿、教会など美しい建物が残されている。かつてのアラブ宮殿は19世紀に市役所となった。建物の後方からの入り江の眺めが素晴らしい。ここでは魚介料理のレストランがいくつかあり、中でも有名なのは港に面したS'Amaradorだ。ミノルカ島の名物であるロブスターの漁師風煮込みカルディラーダはパエリア風にライスとともに。そのほか牡蠣、イカなど季節の魚介料理がメニューに並ぶ。

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シウタデラの港。上に見えるのがかつてのアラブ宮殿で、ここからは港が見下ろせる。小さなミノルカ島は歴史の中でさまざまな国の統治下に置かれたので、時代によって異なる建築様式の建物を見ることができる。photos: Mariko Omura

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古都シウタデラには、マオーとは趣の異なる魅力がある。©️tourspain.es

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レストランのS'Amaradorは港に面した2フロアからなるカジュアルシックなレストラン。photos: Mariko Omura

豊かな自然に恵まれた島である。食の喜びは魚介類に留まらない。長閑な緑の空間で太陽の下に憩う牛たち。赤茶色毛は食用で、チーズとミルク用は白黒のブチと、島には2種の牛がいる。車を走らせ、マオー産チーズ(queso)を製造するアトリエの看板が目に入ったら、ブティックが併設されているので行ってみよう。牛に次いで島で多く飼育されているのは豚とのこと。なるほどハム・サラミ類の種類は驚くほど豊富だ。これと地ワインを組み合わせれば心地良い酔いに時間の経過を忘れてしまうに違いない。なお島で採れるジュニパーベリーを原料したジンも島の名産品のひとつである。カクテルで味わったり、お土産に持ち帰るのもいいだろう。

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島の随所に立つ名産マオー・チーズの看板。photos: Mariko Omura

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son mercer de baixの中では手作業でチーズ作りが進められていた。ここは牛のチーズが専門で、マルセイユでチーズ賞も受賞しているDOPだ。photos: Mariko Omura

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左: ALBAはパリのギャラリー・ラファイエットのグルメ・メゾン館でも扱っている新しいミノルカ・ワイン。パーマカルチャーのぶどう畑には、赤や紫の野草が花を咲かせている。右: ワインとも相性の良い豚やイノシシのソーセージ、サラミ。photos: Mariko Omura

お土産といえば、島の名物のトップはエンサイマダだろうか。フラットな渦巻きパンでプレーンもあれば、チョコレートやクリーム入りなども。滞在中もし食べる機会がなかったら、最後のチャンスは空港の売店だ。なお売店では保存が効くお土産用の箱入りエンサイマダも販売している。これを持ち帰らないと家に入れてもらえない!というかのように、大勢が行列を作り何箱も買ってゆく。食べ物ではないけれど、島の思い出に1足欲しいのはミノルカ サンダルだろうか。ミニチュアのキーホルダーは価格も手頃なお土産となりそう。空港にはあまりチョイスがないので、マオーやシウタデラのブティックで見かけた時に買っておくのが良さそうだ。

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左: ミノルカ名物のエンサイマダ。フレッシュなペストリーを味わって! 写真はクリーム入り。右: 空港で販売している箱入りエンサイマダ(プレーン小/14ユーロ)。サイズはレコードのLP版くらい。photos: Mariko Omura

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メノルカサンダルとミニチュアキーホルダー。photos: Mariko Omura

パリからブルターニュ地方もノルマンディー地方も南仏も行ったことがあるのなら、次のパリ滞在中、パリっ子たちのように地中海に浮かぶミノルカ島へと新しい体験を求めて出かけてみては?

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editing: Mariko Omura

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