織物の魅力に惹かれて、アイルランド・クレア島での1週間のヴァカンス。|竹形尚子(PRディレクション)

Travel 2024.07.16

今年の夏休みの予定はもう決まりましたか? フィガロジャポン ウェブサイトでは、旅好きが推薦する"もういちど訪れたいヴァカンススポット"を紹介。第3回は、PRオフィス「デイリープレス」を共同主宰し、デザイン、クラフトの分野に精通する竹形尚子さん。彼女の思い出のヴァカンスとは?

自然豊かなクレア島で、クラフトと地元文化に触れる。

いわゆるヴァカンスとは少し違うかもしれませんが......アイルランドの西端、人口160人くらいのとても小さな島、クレア島が私の思い出の地です。

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2018年にアイルランドに半年ほど滞在していた時に、アイルランドのクラフトの番組をインターネットで観ていたら、クレア島に住むベスという織りの作家が一般向けにグループのワークショップをしていると知り、彼女に連絡を取ってみました。私が行けるタイミングでワークショップの募集はしていなかったのですが、「特別にいいわよ。1週間プライベートレッスンしてあげる!」とお返事をいただき、行ってみることにしました。

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泊まったのは、ベスが紹介してくれた、MACALLA FARMです。国外からパーマカルチャー、ヨガ&ホースセラピーを学びに1週間ほど滞在する場所として知られています。私はそのコースには参加しませんでしたが、みなさんとの交流が楽しかったです。部屋はシンプルながらもとても素敵でした。

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小さな島に受け継がれるもの。

クレア島では、いちばん近い小さな売店に行くのも歩いて30分くらい。その道のりはほぼ建物もなく、人気もない。その代わりにそこら中に羊がいて、ゆるやかな自然がとっても美しかったです。時間によって表情を変える太陽、空、緑、空気の色がとても綺麗でした。

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ベスの夫が育てる羊の毛を自ら刈り、紡ぎ、染め、織る。
豊かなテクスチャーや、カラフルなグラデーション、複雑な柄で織っているものなど、彼女の作品は、優しく美しい人柄が滲み出ている。

また、ベスのアトリエの脇にあるショップでは、彼女の作品を購入することもできます。



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あとは、よく通ったバー。アイルランドのとくに昔ながらのバーは、アイルランドの伝統的な音楽のライブと踊りで夜な夜な盛り上がります。小さな子どもからお年寄りまで、踊り奏でるその様子はとても楽しそうで、伝統が受け継がれていく光景を目の当たりにしている! と感じました。

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バーの主人はわたしを見るなり「あなた、ナオね!日本人でしょ」と。ビールを1杯ご馳走してくれました。日本人は初めてだったようで、ベスが誰かに伝えたのか、すぐに広がりました(笑)。それくらい小さくて、あたたかい島でした。

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新鮮な食材がいちばんのご馳走。

MACALLA FARMではパーマカルチャーを実践していて、家の周りで野菜やハーブなどを栽培。朝になると近くの農園から新鮮な卵が届きます。オーナーの焼きたてパンと新鮮な野菜を調理した食事で、本当に美味しくて、身体の中から元気になっていくのが分かりました。宿泊先の近くにレストランがなかったので、ランチはいつもベスの家でベスの家族と一緒に、スープとか、パン、チーズ、フルーツをいただきました。シンプルでとてもおいしかったです。

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ベスと一緒に織ったブランケットを宝物に。

この旅でいちばん思い出に残っているのは、自分で初めて織ったふたつのブランケット。ベスとの思い出がたっぷり詰まっています。

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大自然を堪能できるアイルランド・クレア島。有名な観光スポットはないけれど、たまに見つかる古い石造りの小屋や、小さな美しい教会の内部の壁画、起伏の合間に見える小川、子どもが伝統的な踊りを一生懸命踊っているのをおじいちゃんが眺めていたり......この島に来る前も、帰国した後も、変わらず続くあの島の日常を覗くことができる、そんな島。日常を忘れてオープンな気持ちで、訪れることをおすすめします。

竹形尚子|Naoko Takegata
インテリアショップでのプレス&企画の経験を経て独立。2003年より川村美帆とPRオフィス「デイリープレス」を共同主宰。主にデザインやクラフトの分野で活動を行う人やブランドのフィロソフィーと、ものづくりに対するアプローチを深く理解し、思考や物語を外へと伝える活動を行う。

Instagram: @naotakegata

photography: Naoko Takegata

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