カフェとギャラリーで、デザインシティ・バンコクを巡る。【タイのデザイン&アート】
Travel 2024.07.17
美術館にギャラリー、カフェなど、デザインが光るおしゃれスポットが増加中。デザイナーや写真家が仕掛ける、タイアートの現在形をチェック!
>>最新ショップとカフェで感じる、ノスタルジックなバンコク。【タイのデザイン&アート】
若手クリエイターが手がける、新デザインを巡ろう。
近年、タイのアートシーンが注目を集めている。その背景にあるのは、若手アーティストやクリエイターの活躍と、その受け皿となる美術館やギャラリーのオープンだ。アートシーンの火付け役で2012年に誕生したバンコク現代美術館は、大手企業の創業者がプライベートコレクション展示をきっかけに開館。透かし彫りが美しい建築と、現代アートの視点で再解釈した仏画は見ごたえがある。
古い建物をギャラリーやカフェにリノベーションするケースも。美大生などアーティストの卵に無料ないしは格安でスペースを貸し出すSACギャラリーやフォトホステル&フォトカフェは、旅人にとっても刺激的なアドレスだ。ギャラリーのようなカフェをひと休みスポットに、バンコクの最新デザインクルーズに出かけてみたい。
仏画からストリートまで、タイアートのいまを知る。
MOCA
(Museum of Сontemporary Art)
バンコク現代美術館
透かし彫りが美しい建物は、花崗岩から切り出したイメージで造られた。
携帯電話会社ディータックのオーナーが集めたモダンアートが主なコレクション。階によってテーマが分かれ、影絵芝居人形などタイの伝統芸能にまつわるアイテムから、仏画をモチーフに国内外のアーティストの独自の解釈で描いた絵、ストリートで活躍するグラフィティアーティストのアレックス・フェイスの作品まで展示され、タイアートの今昔がわかる。タイを代表するデザイン事務所PIAが手がけた建物はファサードの透かし彫りから差し込む光が美しく、作品同様一見の価値あり。
花を載せた子どものイラストは、市内のストリートアートで度々見かけるアレックス・フェイスの作品。鑑賞用の椅子にはキノコなど異なる木のオブジェが添えられユニーク。
モダンアートだけでなくタイの伝統も知ってほしいと、2階は仏教関連の絵画や偶像にフォーカス。3~5階は国内外の現代アートが並ぶ。
エントランスで迎えてくれるのは、水面に浮かぶノンティワット・チャンタナファリンによる彫刻『Happiness』。蓮にインスパイアされた作品。
(Museum of Сontemporary Art )
バンコク現代美術館
499 Kamphaengphet 6 Road,
Ladyao, Chatuchak
tel:02-016-5666
ⓈBANG KHEN
営)10:00~18:00
休)月 ※祝不定休
料金:一般280バーツ
https://mocabangkok.com
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地元民に開かれた、若手アーティスト活動の場。
SAC Gallery
エスエーシー・ギャラリー
タイの有名建築事務所A49による設計。「石の中に光がある」をテーマに中央をガラス張りにした建物は、館内に陰影を生み出す。
2014年に開館し、二代目のオーナーが引き継いだ数年前から現代アートにフォーカス。発表の場を提供することでアーティストを支えつつ、地元の人にもタイアートを知ってほしいと入館は無料。アーティストは国内外問わないが、作品はタイにまつわるもののみ。ムスリムの女性アーティストが自身の住むスラム街をゴミアートで表現するなど、社会に対する啓発的な役割も持ち合わせている。
展示は3カ月ごとに替わり、作品の購入も可能。取材時は、フランス人アーティストの作品を展示。タイ独特の色彩にインスパイアを受けたカラフルな作品が並ぶ。
エスエーシー・ギャラリー
160/3 Soi Sukhumvit 39,
Khlongtan Nuea, Wattana
tel:092-455-6294
ⒷPHROM PHONG駅から車で約8分
営)11:00~18:00
休)日、月 ※祝不定休
入館無料
https://sac.gallery
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古い建築にネオデザインが映えるリノベーションカフェ。
Ayatana Charoenkrung
アヤタナ・チャロンクルン
「手からすべて解き放つ」をテーマにオーナーがデザインした手と風船のオブジェ。
銀行だった建物に惚れ込んだインテリアデザイナーが、仲間と買い取ってカフェに改装。建物を生かして手がけた内装は、オーナー自らデザインした手のオブジェやヴィンテージ家具、タイ人作家のセラミックが映える。ココナッツの自然な甘さを生かしたドリンクや南国感漂うケーキなど、食材にこだわったスイーツも感度の高いゲストを惹きつける。
手前から、パッションフルーツとキャラメルのソースをココナッツクリームとスポンジで包んだ「Coconut Passion Fruit Cake」、シェイクしたまろやかなミルクコーヒー「Sense of Smooth」各165バーツ
アースカラーでまとめた内装。
アヤタナ・チャロンクルン
267 Charoenkrung Road, Banbat,
Pomprap Sattruphai
tel:096-272-4616
ⓂSAM YOT
営)9:00~18:00
無休
www.facebook.com/ayatana.charoenkrung
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ホワイトキューブのようなカフェで、コーヒータイム。
Cafe Vondervic
カフェ・ヴォルダヴィック
4フロアあり、椅子やテーブルのデザインもそれぞれ異なる
今年1月にオープンして以来、開店直後から列ができるほどの人気店に。隣で同名のテーラーを営むオーナーが、仕立てを待つ間のゲスト向けに始めたのがきっかけ。「素材感を大切にした」という店内は、石や木を多用し、フロアによってインテリアを変えている。コーヒーはもちろん、ギャラリーをイメージして造られた平台のパンコーナーも魅力。
白く湾曲したカウンターが印象的。
ヴィエノワズリーは常時15~20種ほど用意。手前から、デニッシュ生地の「Cruffin Chantilly Cream Strawberry」210バーツ、アイスティー「London Lime」180バーツ、「Latte」130バーツ
カフェ・ヴォルダヴィック
36/11 Phahonyothin Road,
Samsennai, Phayathai
tel:091-829-9265
ⒷARI
営)7:30~18:00
無休 カード不可
@cafe_vondervic
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中華テイストの古民家カフェで、感性を磨く。
Photohostel & Photocafe
フォトホステル & フォトカフェ
もとは裕福な中国人一家の住居。吹き抜けを生かしたカフェには、シーズンごとにさまざまな写真家の作品が飾られる。
ドイツで学んだタイ人建築家と、オランダ人の写真家がタッグを組み、築200年の一軒家をフォトカフェとホステルにリノベーション。ワークショップの開催、著名写真家や美大生の作品を展示・販売し、芸術支援のための政府のサポートも得ている。こだわりのドリンクは、クリエイティブタウンとして加速するヤワラート散策のおともにぴったり。
手前から、チーズフォームがクセになる「Dirty Coffee with Flavor」150バーツ、タイ北部のカカオを使った「Iced Choco Mint」145バーツ
フォトホステル & フォトカフェ
770 Soi Wanit 2, Talad Noi,
Samphanthawong
tel:098-916-8839
ⓂHUA LAMPHONG
営)10:00~18:00L.O.
休)水 ホテル:全4室 バスタブ付き1室
1室2,000バーツ~ ※朝食は1Fカフェで別料金
https://photohostel.com
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タイ版サステナビリティは、ココナッツファイバーが活躍!
Sonite Décor
ソーナイト・デコール
ペットボトルを再生したトレー。上から、340バーツ、450バーツ、700バーツ
徐々に広まるタイのエコ意識。タイルなどインテリア素材を販売する同社では、7年前から海のプラスチックゴミや、PM2.5の一因であるココナッツの焼却に着目し、アップサイクルな小物を手がけるように。ミニマルなデザインが人気で、グッドデザイン賞も受賞。コーヒーかすで作るスターバックスのテーブルは、タイのほぼ全土に定着している。
耐久性が高く、汎用性も高い食器やトレーは、アイコンサイアム等にもショップがある。
卵の殻を使ったタンブラー590バーツ、同トレー350バーツ
廃棄量が多いだけにココナッツ焼却は重大な課題。ココナッツファイバーを活用した小物入れ、左から725バーツ、750バーツ、トレー350バーツ
ソーナイト・デコール
253/43 Soi Latphrao 80 (Section 22),
Latphrao Road,Wang Thonglang
tel:02-935-5575
ⓂSUTTHISAN駅から車で約10分
営)9:00〜17:00
休)土、日
https://sonitedecor.com
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路地裏で見つけた、クリエイティブスペース。
Galileoasis
ガリレオアシス
ガリレオアシスの直営店、ウィンドウズ・ディスプレイでは古今東西のポスターや雑貨を販売。アレックス・フェイスの作品など貴重なアイテムも。
車も入れない小道を抜けた先に現れる、亜熱帯植物に囲まれた建物ガリレオアシスは、古い商店や長屋をリノベーションした複合施設。改装時に出た木材やコンクリートを再利用した空間には、カフェ、ショップ、ギャラリーに加え、2階にはホテルもある。舞台運営に携わっていた女性オーナーが手がけただけに、最もこだわったのは小劇場。インディペンデント系の映画や舞台など、若きクリエイターの表現のためのスペースになっている。
3軒分の建物がリノベーション後ミニシアターに。家具はアップサイクル。
客室はシンプルなインテリアで居心地抜群。朝食はないが、併設のカフェを5%オフで利用できる。
パームツリーなど亜熱帯植物が生き生きと育ち、まさにオアシスな空間。1階はショップやレストランが計6軒並ぶ。
ガリレオアシス
535/32 Soi Rongriankingphet,
Phetchaburi Road, Ratchathewi
tel:061-386-9898
ⒷRATCHATHEWI
営)7:30~20:30 ※店舗によって異なる
休)火 ホテル:全19室
全室シャワーのみ 1室2,300バーツ~
※朝食は1Fカフェで別料金
@galileoasis
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●1タイバーツ=約4円(2024年7月現在)
●日本から電話をかける場合、タイの国番号66の後、市外局番の最初の0を取ります。タイ国内では掲載表記通りにかけてください。
●各紹介アドレスのデータ部分のⒷはBTSの駅、Ⓜは地下鉄の駅、Ⓢは国鉄の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品・料理・サービスの価格、掲載施設の開館時間やイベントの開催時期などは、取材時から変更になる可能性もあります。
●商品・料理・サービスの価格は、表示価格とは別に消費税やサービスチャージがかかる店もあります。
●仏教の祝日は、アルコールの提供を控えたり休業になる店が多いためご注意ください。
*「フィガロジャポン」2024年7月号より抜粋
photography:Satomi Matsui (West Mountain) coordination: Sachiko Matsumoto (Chico Design)