人生でいちどは訪れたかった、モロッコでのヴァカンス。|鈴木桃子(フリーランスエディター)
Travel 2024.07.24
今年の夏休みの予定は決まりましたか? フィガロジャポンオンラインでは、旅好きが推薦するもういちど行きたいヴァカンススポットを紹介。
フェズからサハラ砂漠を横断、そして青い街シャウエンへ!
私にとって忘れられないのは、モロッコでのヴァカンスです。人生で一度はラクダに乗ってサハラ砂漠を縦断してみたかったのと、青い街と呼ばれるシャウエンにもいつか訪れたいと思っていたので、迷路の街フェズを起点に計画を立てました。
フェズで泊まったのは4ツ星のリアド(ポルトガル風宿泊施設)「ホテル&スパ ダル ベンソーダ(Hotel & Spa Dar Bensouda)」。思い描いていたアラビアン御殿のようなラグジュアリーでエキゾチックな雰囲気にひと目惚れ。天井高5メートルの開放的なサロンや屋上のテラスで、のんびりと過ごす時間が最高でした。屋上から、日の出も、そして夜景も一望できて素晴らしかったです。プール、ハマム、レストランもあり、ホテルだけで大満足。せっかくなのでハマムを予約してみましたが、なかなか強烈な体験でした。
広いテラスのあるレストランThe Ruined Gardenでは、地元ならではの食が堪能できました。開放的な雰囲気に、料理もサービスも上質で、居心地が良かったので何度も訪れました。カボチャやナスなどの野菜とクスクスがとてもおいしかったです。
フェズは迷路の街と言われていることが納得できるほど道が入り組んでいて、ホテルまでも戻れるか不安に。道を聞けば、なぜかとても親切に違う道を教えられます。それをホテルのレセプションに話すと、「みんな嘘つきだから、信じちゃダメだよ」とのこと。事前にオンラインサイトでレストランを予約したり、ホテルに依頼したり、ガイドをつけるのが安心。あとはGoogleマップが命綱なので、携帯電話を切らさないようにポータブル充電器を忘れず!
忘れられないサハラ砂漠の景色。
どこまでも続く砂漠とその奥に広がる水平線の美しく雄大な景観。やはりサハラ砂漠は素晴らしかったです。ラクダに乗ったり、自分の足で歩きながら、緩急がある砂丘をいくつか超えた気がしても、砂漠の中をまったく進めていない感覚で、自然の脅威も感じました。この砂漠で1泊キャンプをしたのですが、夜にはこれまででいちばんの満点の星空を見ることができます。
青い街シャウエンでは、モロッコスリッパやトレイ、カゴなどを購入しました。シャウエンは半日程度で回れるコンパクトな街。お土産もの屋が軒を連ね、買い物をしながら散策するのにぴったりでした。モロッコは一定の価格をつけず、客によって提示してくるため、常に価格を交渉せねばならないのがなかなかストレスでしたが、そうやって競りで購入したお土産は感慨もひとしおです。
ハプニングも旅の記憶の1ページに。
旅にトラブルはつきもの。ユニークな経験があればあるほど、思い出に残ります。
ひとつ目はラクダ落下事件。サハラ砂漠のど真ん中で、ラクダに乗って進んでいる時、私の後ろのラクダが突如暴れ始めました。そのラクダに乗っていた、同じグループのアメリカ人女性が振り落とされて落下。病院に運ばれて行きましたが、背中を骨折したようで、二度とグループには戻ってこず、明日は我が身と震えました。女性を落とした後、何事もなかったかのような素振りでラクダはずっと寝ていました。
ふたつ目は、見ず知らずの人たちのランチに招かれたこと。フェズの街を歩いていたら、突然知らない女性に手招きされ、あれよあれよという間に家の中へ。
そこには、テーブルを囲んで20〜30人の女性や子どもたちが座っていました。まるで私たちを待っていたかのように温かく迎え入れられ、ランチがスタート。言葉は通じませんでしたが、みんなでひとつの皿を囲み、クスクスを手で掴んでお団子のように丸めて食べるのが通例なんだとジェスチャーで教えられました。あまりに和やかでアットホームで、不思議な時間でした。
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パリ在住エディター、ライター。1987年生まれ。
早稲田大学在学卒、出版社勤務を経て渡米。帰国後、2016年よりフィガロジャポン編集部のエディターとして勤務。2022年10月よりパリへ移住し、フリーランスで活動中。@momoko____szk