織物の街スコットランドのエルガンで、ジョンストンズ・オブ・エルガンの工場へ。
Travel 2024.10.21
なだらかな緑の丘で草を食む羊たち、時折現れる荒々しい岩山。スコットランド中央部にあるハイランド地方への入口では、自然の恵みとともに人々が暮らし、手づくりの愛らしいものがあふれている。世界遺産の首都エディンバラから小さな町や村へ。さまざまな"可愛い"を探しに出かけよう。
Elgin
エルガン
エディンバラから移動中の車窓から、どこまでも続く草原に羊や牛の姿が見える。初夏なら菜の花が咲き、一面黄色に染まる景色が広がるそうだ。名産のスコッチウィスキー蒸留所に寄り道しながら3時間半かけて北上し到着したエルガンは、織物の街。中心地から散策してエルガン大聖堂からロッシー川を渡ると、最高峰のカシミアブランドのひとつ、ジョンストンズ・オブ・エルガンの工場が見えてくる。今年で創業227年のスコットランドが誇るブランドの本拠地だ。
ウィスキー造りでも高品質な糸を作るにも、上質な軟水が必要な点は同じ。そこで、ここスペイ川流域の土地にジョンストンズは注目した。創業以来この地で営み、スコットランドで最古のひとつといわれる西洋トチノキの大木が見守る工場は穏やかな雰囲気に包まれている。工場では原毛を検品し染色、糸を紡ぎ、織りから仕上げて発送するまでを見学するツアーがあり、大量の軟水を再利用する様子も見られる。硬い織物は軟水で洗われ、柔らかな手触りへ変化していった。
24時間稼働する工場には紡ぎ織り上げる機械の重低音が規律よく響いているものの、BGMが流れ、鼻歌を歌いながら作業する職人たちは楽しそう。創業家が暮らした建物は、現在はアーカイブ展示室になり、訪れたゲストをもてなしてくれる。エルガンを支える温かな織物ブランドの存在こそが、この街をより魅力的にしている。
創業時から続く工場で、いまも糸を紡ぐ。
Johnstons of Elgin
ジョンストンズ・オブ・エルガン
1797年にエルガンで創業したジョンストンズは、カシミアを中心に扱うブランド。伝統技術から生まれる高品質なアイテムは、英国王室が認めるロイヤルワラントの称号を持つ。現在も、中国や内モンゴルから届いた原毛を製品に仕上げるまで、この自社工場が行っている。その工程を巡りながら、地元採用のスタッフたちが受け継ぐ職人技を見学できる。ニット作りを学び、ショッピングを楽しんだら、アフタヌーンティーで贅沢な時間を過ごして。
ジョンストンズ・オブ・エルガン
Newmill, Elgin, Moray, IV30 4AF
01343-554099
S)ELGINから車で約3分
営)9:00〜17:30
Weavers Restaurant
営)9:00〜17:00
無休
料)工場見学9.95ポンド〜 ※予約はウェブサイトから
https://discover.johnstonsofelgin.com/visit-us/elgin/
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伝統家屋のショップで、モダンな雑貨探し。
Seasgair Store
シースゲアー・ストア
昨年オープンした機能的で洗練された生活雑貨が集まるライフスタイルショップ。ドイツ製の掃除道具など、質実剛健だけれども愛らしいものが見つかる。店名はゲール語で「快適、暖かい」の意。同じオーナーが営む2軒先の文具店Pencil Me Inものぞいてみて。
シースゲアー・ストア
69 South Street, Elgin, Moray, IV30 1JZ
01343-368174
S)ELGIN
営)10:00〜16:00
休)日
https://seasgair.store/
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18世紀のスタイルが息づく、ブティックホテル。
The Craigellachie Hotel
ザ・クレッグエレキー・ホテル
エルガンから車の送迎をリクエストして約20分。隣町キースとの間にある1893年創業の宿は、クレッグエレキー橋の近くに立つ城のような外観にときめく。客室は英国職人手作りの家具など重厚な趣。ウィスキーやトレッキング目当てのゲストも多く訪れる。
ザ・クレッグエレキー・ホテル
Victoria Street, Craigellachie, Aberlour, Moray,AB38 9SR
01340-881204
S)ELGINから車で約20分
全26室 バスタブ付き24室
ツインルーム162ポンド〜、ダブルルーム162ポンド〜、スイートルーム242ポンド〜 朝食込み
https://craigellachiehotel.com/
●1ポンド=約195円(2024年10月現在)
●日本から電話をかける場合、イギリスの国番号44の後、市外局番の最初の0を取ります。現地では掲載表記どおりかけてください。
●ホテルの宿泊料金は曜日や季節により異なる場合があります。
●各紹介アドレスのデータ部分の(S)は鉄道の駅を示しています。
●掲載店の営業時間、定休日、商品、料理、サービスの価格などは、取材時から変更になる可能性があります。特に年末年始は休業や営業時間が変更になる可能性があります。ご了承ください。
*「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋
photography:Akemi Kurosaka coordination:Akemi Roy