旅の目的地は、薪火と発酵料理が自慢の宿。【奈良県・奈良市|ヴィラ コムニコ】
Travel 2025.04.06
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
ヴィラ コムニコ
[ 奈良県 ]奈良市
近鉄奈良駅から車で約10分。日中は観光客で賑わうが、朝と晩は静寂に包まれる。
薪火と発酵料理で大和の真髄を知る。
古都奈良・春日大社の神域である若草山。その麓に2024年9月に開業したヴィラ コムニコは、薪火と発酵料理が自慢のガストロノミーオーベルジュだ。腕を振るうのは、奈良出身の堀田大樹シェフ。イタリアのボローニャで修業後、カノビアーノ京都やイ・ルンガで研鑽を積み、東生駒でリストランテ コムニコをオープン以来、ミシュラン1ツ星を獲得した実力派料理人だ。

夜の帳が降りる頃、おくどさんを象ったオープンキッチンの炉に薪を焚べる。若草山の山焼きなど火を扱う神事が多い奈良で神聖な炎を眺めながら、地元食材を発酵で奥行きをもたせ、薪火の多様な調理法で仕立てた14皿のコースがいただける。
前菜の作りたてモッツァレラには、薪で燻し薫香を纏わせた昆布締めキャビアを添えて。御所市の杉浦農園が育てた有機栽培ニンジンは薪火の上でローズビネガーをふりかけバターソテー。とろりと蜜のようなニンジンからバラの香りが立ち昇る。宇陀市の熟成士による60日間熟成の淡路牛サーロインは、薪火の遠赤外線で柔らかくなり旨味がぎゅっと凝縮。乳酸発酵した野菜や発酵調味料を多用するので、翌朝の胃は驚くほど軽やか。


翌日の朝食は、前夜のディナーに使った野菜の端材を煮込んだベジブロスと琉球紅茶の茶殻で炊いた茶粥を。ディナーで供された古代米パンを細かく刻んだクルトンなど、大和の恵みを余すところなく生かす。美食を通して奈良の奥深さを知る一軒だ。
顔なじみの奈良近郊の生産者たちが育てた食材を生かし切るサステイナブルな朝食。

ヴィラ コムニコ
奈良県奈良市雑司町486-5
050-3176-1787
全5室 全室バスタブ付き 1室¥139,600~(1室2名、2食付き)
※宿泊は中学生以上のみ
レストラン
営)18:00~ ※一斉スタート
休)火、水
要予約
https://villa-communico.com/
























立ち寄りスポット
ステイの翌日はココへ!
農と発酵 ゼン
酒屋の角打ちで、造り手の想いをつなぐ一杯を。
奈良の老舗酒屋4代目である藤井善徳オーナーが「造り手の想いを飲み手に伝えていきたい」と2020年11月に新大宮にオープンした、農と発酵Zen(ゼン)。奈良を中心とした日本酒や自然派ワイン、クラフトビールとチーズを楽しめる角打ちスペースを備えた店だ。オーベルジュ ヴィラコムニコにもワインとチーズを卸している。
ぜひ食してみたいのが、チーズプロフェッショナルの資格を持つ藤井オーナーとスタッフが専用庫でお世話し、熟成度を見極めた食べ頃のチーズたち。合わせたいのは、奈良吉野で自然酵母にて酸にこだわる酒造りを行う美吉野醸造の「自然淘汰」。吉野杉の木桶で温度管理をせずに自然のままに醸した日本酒だ。複雑な旨味と酸が、チーズのコクが足され、奥行きのある味わいに。奈良の旅の始まりや旅の余韻を味わうのに最適な店だ。

農と発酵Zen
奈良県奈良市大宮町7-2-15 ブランドール佐保川101号
0742-93-6611
営)ショップ:10:00~20:30 角打ち:11:00~19:00最終入店
休)月
Instagram @noutohakkouzen
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Yoshiki Okamoto text: Akiko Wakimoto