耕作放棄地を整備、ワインツーリズムを堪能する北海道「ニキヒルズワイナリー」へ！

いま気になる、「泊まれる」日本ワインの産地をご紹介！

畑の高台から見晴らす、北の大地の銘醸地。

札幌から北西へ車で約1時間、小樽市を越えた先の余市川流域は日本でも有数の果樹の産地だった。火山性土壌の上に蓄えられた栄養豊富ながらも水捌けの良い表土と冷涼な気候で、余市、仁木はリンゴの名産地として名を成す。しかし高度経済成長の煽りを受け、就農者は激減。農家の高齢化も進み、跡継ぎもいないまま放置される農地が増えていた。

そんな現状を変えるために立ち上がったのがここ、ニキヒルズワイナリー。耕作放棄地を整備し、丘の斜面をワイン用ブドウ畑に。仁木の軟水と粘土質混じりの土壌から生まれるワインは、味わい深く滋味あふれ、バランスに優れる。特に酸味も際立つメルロは出色だ。主席醸造家の太田麻美子は「注いだ瞬間の香りでまず想像を膨らませてもらい、飲み進めるうちに味わいがどんどんと開いていく、そんなストーリーのある一本を目指しています」と語る。

農業を継承しながら、アグリツーリズム、ワインツーリズム、そしてネイチャーアクティビティを通して、訪れた人々の心に深い感動を与えてくれる宿で、小高い丘から望む美しい山々の景色を眺め、小鳥の声を聞きながら森や庭を散策。晴れていればテラスで風に吹かれながらグラスを傾けてもいいし、宿泊者特典にも含まれるワイナリーツアーでは、参加者だけが入れる特別なワインセラーも見学できる。そしてディナータイムは地下のワイン樽に囲まれたレストランで、北海道の大地と海の恵みが詰まったコースが待っている。

＊「フィガロジャポン」2025年2月号より抜粋

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