東京から飛行時間が約4時間と、気軽な2泊3日程度の日程でも十分楽しめる香港だからこそ、短い滞在時間を効率よく使いたい。地元の老舗や最先端ブランドのアイテムを買いたいけれどもそれぞれの店に行く時間が足りない時におすすめなのが、香港国際空港でのショッピング。
空港内ショップのラインナップは厳選されているので、それぞれ街中にある本店も時間があれば訪ねたいところばかり。注意点は空港が広大なため、目当てのショップが自分の搭乗ゲートからかなり遠い場合もあること。なるべく時間に余裕をもって空港に到着するように予定を組んでおくといいだろう。
アートな旅の締めくくりは、M+のミュージアムショップの空港店へ。
香港を代表するアートスポット「M+(エムプラス)」のミュージアムショップが、2025年3月に初の支店を香港国際空港にオープン。定番グッズや期間限定の展覧会グッズからなるコレクションは、とにかく斬新で魅力的。
空港内にオープンしたばかりのM+ ミュージアムショップ。M+オリジナルアイテムに加えて、香港で人気が高い村上隆、草間彌生、奈良美智のグッズも置かれている。photography: Winnie Yeung @ Visual Voices, Image courtesy of M+, Hong Kong
現在は2024年11月のM+オープン3周年記念グッズや、7月13日まで開催中のピカソ展(『Picasso for Asia-A Conversation』)の限定品のほか、過去に開催された展示にまつわるアイテムも見つけることができる。
手前が田名網敬一によるピカソ模写をフィーチャーしたアイテム、奥には3周年記念アイテムが並ぶ。photography: Winnie Yeung @ Visual Voices, Image courtesy of M+, Hong Kong
左棚がM+発行の美術書。右棚には、香港の中国銀行ビルなどを設計した中国系アメリカ人建築家I・M・ペイの、M+で開催されていた回顧展のグッズが置かれている。photography: Winnie Yeung @ Visual Voices, Image courtesy of M+, Hong Kong
ピカソ展では、ピカソ作品と対峙したアジアのアーティストによる作品が多数展示されており、その中でも注目されているのが2024年に夭折した田名網敬一によるピカソの模写。ミュージアムグッズも、ピカソ本人の作品に加えて、田名網の模写を使ったプレート、ソックス、傘、マグカップなど、多彩なアイテムが揃えられている。
田名網敬一とM+のコラボTシャツには、とびきりスタイリッシュな「I♡HK」が。360香港ドル photography: Image courtesy of M+, Hong Kong
ピカソ展トートバッグ(185香港ドル)とTシャツ(328香港ドル)。photography: Jessie Yip, Image courtesy of M+, Hong Kong
M+ミュージアムショップがあるのは、注目のショップが多数集まっている、ゲート40奥にあるショッピングエリア。空港内シャトルトレインで遠くのゲートに向かう方には移動距離が長くなるので、ゲート移動前にこのエリアでの買い物を済ませておこう。
左:M+コレクションと香港の文化空間を巡りながら、アート作品や建築などを通じて、香港の過去と現在の物語を紹介するM+オリジナル書籍『Hong Kong Visual Culture: The M+ Guide』。180香港ドル 右:カラフルなモノグラムの3周年記念デザインによるフロアマット。198香港ドル photography: Jessie Yip, Image courtesy of M+, Hong Kong
M+ Museum Shop
Near Gate 40, Level 6, Departures Level, Terminal 1 (Restricted Area)
営)7:00~23:00
無休
https://shop.mplus.org.hk/
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地元からも信頼の厚い、ペニンシュラ香港ならではの安心感。
1928年創業のアジア初の国際ホテル、ペニンシュラ香港と言えば、かつては「東洋の貴婦人」と呼ばれた優雅さと高品質を象徴する存在。そのオリジナルアイテムは、大切な人に安心して贈ることができる高級贈答品として地元の人からの信頼が厚い。ホテルのオリジナルアイテムを販売するペニンシュラブティックの空港店は、大規模なリニューアルを経て4月1日に再オープンしている。パスポートチェックを終えるとすぐという好立地にあるので、利用ゲートに関わらず、最初に立ち寄ると効率がいい。
ペニンシュラグリーンを基調にしたペニンシュラブティック空港店の新デザインは、ロンドンのConran and Partnersが手がけている。
ペニンシュラと言えば、とにかく食に定評がある。チョコレートや焼き菓子などの定番スイーツに加えて、中秋節(旧暦の8月15日のため、毎年9~10月で変動)前に販売されるカスタード味の月餅などの季節限定スイーツも、タイミングが合えばぜひ手に入れてほしい。
台湾のウーロン茶、中国雲南省のプーアール茶、中国福建省のジャスミン茶など、最高級中国茶の品揃えが抜群。台湾凍頂烏龍茶(590香港ドル)、雲南不知年普洱茶(590香港ドル)、福建茉莉龍球(288香港ドル)。中国茶と紅茶の茶葉は288香港ドル~、ほかにティーバッグタイプも(208香港ドル)。
東西が融合した香港らしく、ペニンシュラでは紅茶と中国茶の両方の質が高い。アフタヌーンティーで有名なラウンジでいただけるのと同じ、ペニンシュラブレンドやオーガニックティーなどの紅茶は、どれも驚くほどすっきりとして風味が豊か。中国茶では、香港でよく飲まれているプーアール茶、鉄観音茶などがお勧めだ。
またペニンシュラは、香港の広東料理で代表的な調味料であるXO醤の発祥の地でもあり、XO醤をはじめとした調味料も料理好きな方へのお土産にぴったり。何気ない焼きそばや炒飯などにひとさじ加えるだけで、ぐんと味わいの格が高まるはず。
干し海老や乾燥ホタテ貝などをふんだんに使った元祖XO醤は、1980年代にペニンシュラ香港の中国料理長が開発した。428香港ドル
空港店には限定アイテムもある。リニューアルオープン記念アイテムとして見逃せないのが、通常はペニンシュラのベルボーイ姿をしているテディベア「Pen Bear」の特別バージョンとして発売されている、カンフー着をまとった「Kung Fu Pen Bear」だ。
香港空港限定アイテムのKung Fu Pen Bearは、胸にペニンシュラの中国語である「半島」の文字、背中には龍の刺繍が入っている。大 418香港ドル、小(キーチェーン)238香港ドル。詰め合わせアイテムは、英国人アーティスト、リディア・ボーヒルによる香港の風景を描いた空港限定ボックスに。
The Peninsula Boutique
Shop 7E144, Level 7, East Hall, Terminal 1 (Restricted Area)("I Love Hong Kong"リテールゾーン内)
営)7:00~22:00
無休
https://www.peninsulaboutique.com/hk/en/
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スローウッドでは、エコでサステイナブルな掘り出し物を見つけよう。
ゼロ廃棄物を謳うエコフレンドリーなライフスタイルショップとして香港各地で人気を集めているSlowood(スローウッド)が、2024年12月に空港店をオープン。ヘルシー志向の食品や質の高い清掃用品、バス用品などの量り売りから、フェアトレードやサステナビリティに考慮して作られたオリジナル品と世界中から集められたスナックや化粧品などの多種多様なセレクトアイテムが手に入る。
Slowood空港店。手前には食材の量り売りコーナー、奥には休憩エリアが。photography: 香港政府観光局
空港店は「Be A Cloud(雲になる)」をコンセプトにして、雲のように軽やかに世界を巡る旅人のための、エコなトラベルグッズや簡易包装のスナックなどを中心にした品揃え。店の奥には、雲をイメージしたオブジェがキュートな無料休憩エリアがあり、離陸する飛行機を眺めてひと息つける。
香港ブランド「山浪」の香港式ミルクティーや、コーヒーと紅茶をブレンドしたインヤン茶など、地元ならではのドリンクも購入できる。各39香港ドル photography: 香港政府観光局
ちなみに通常店舗はケネディタウン、中環のセントラルマーケットなどにあり、より生活に密着した食品類や珍しいビューティグッズもあるので、機会があればそちらもぜひチェックしてみて。
Slowood
Near Gate 11, Level 7, Terminal 1, Departures Level (Restricted Area)
営)8:00~22:00
無休
https://www.slowood.hk/
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注目ショップはクッキーカルテット、バシャコーヒー、トポロジー。
そのほかにも、空港には数えきれないほどのショップがある。香港土産の定番として昔から人気があるのが、手作りクッキーだ。その中でも健康志向のブランドとしては草分け的な存在が、クッキーカルテット(Cookies Quartet)。米国産小麦粉、フランス製バターなど、材料にこだわったクッキーや、香港の伝統的洋菓子であるパルミエの詰め合わせボックスの種類が多数あり、お持たせに好評だ。
店頭での試食も可能。Cookies Quartetは、空港以外に尖沙咀、銅鑼湾など香港各地に10店舗ある。photography: Courtesy of Cookies Quartet
12種類のフレーバーをミックスしたセット。フレーバーにはココナッツラテ、ブルーベリー&コーンフレーク・オートミール、クランベリー・アーモンド・ピーナッツバターなど。Legend-12 Flavours Mix Cookies (400g) 288香港ドル photography: Courtesy of Cookies Quartet
ショップはチェックインエリアのすぐ先で、セキュリティーチェック前にあるので、利用する航空会社に関わらず立ち寄りやすい。
Cookies Quartet
Section G near North Exit, Level 7, Terminal 1
営)7:00~23:00
無休
https://cookies-quartet.com/
先に紹介したM+ショップの周辺には、最近香港で注目されているブランドが集められている。中環のifcショッピングモール内で行列ができる、モロッコのマラケシュ発のコーヒーショップ「バシャコーヒー(Bacha Coffee)」、2018年に香港で創業し、日本でもサコッシュなどが大人気の「トポロジー(topologie)」など、ぜひゆっくり見てほしい。
アラビカ種100%のコーヒー豆を専門に扱うモロッコ生まれのコーヒーブランド。https://bachacoffee.com/ photography: 香港政府観光局
香港在住のフランス人ロッククライマーのカルロス・グラノンが創業し、ロッククライミングギアにインスパイアされたデザインが特徴的なtopologie。日本で売り切れたデザインが見つかることも。https://hk.topologie.com/ photography: Miyako Kai
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買い物途中のリラックスタイムの超穴場、Intervals。
買い物の途中でひと息つきたい時、香港空港にはまるでラウンジ並みのクオリティを誇る穴場のバーがある。ゲート12と24の間にあるスカイブリッジ上のIntervalsだ。
飛行機を見下ろす眺めが素晴らしいIntervals。隠れたロケーションで、落ち着いて過ごせる。photography: Intervals Sky Bar & Restaurant
一流バーテンダーの手によるクリエイティブなカクテルメニューの代表格が「flight」シリーズ。フライトまで15分、30分、45分など、ゲストがここで過ごせる時間がどれだけあるかに合わせて、複数のミニカクテルを体験できるようにデザインされている。
そのほかにもクラシックカクテル、ワイン、ソフトドリンク、ノンアルコールカクテルもあり。食事はおつまみからがっつりまで、メニューのバラエティも豊か。旅立つ前の最後のひとときをゆったり楽しもう。
「flight」シリーズの「Fruiting」。左から時計回りにグラッパ、シャルトルーズ、青りんごなどの「Green」、シェリー、エルダーフラワー、オレンジワインなどの「Growth」、アプリコットとピスコの「Ripen」、バーボン、バナナ、ココナッツの「Fallen」。ノンアルコールもあり。268香港ドル photography: Intervals Sky Bar & Restaurant
さっと食べられるスペイン風ピンチョスは季節ごとに新作が出る。左から「香港風海老トースト」、「トルコ風ミートボールのミニタコス、イチジク、ゴートチーズ、ハニカムとライ麦パン」1個48~58香港ドル photography: Intervals Sky Bar & Restaurant
Intervals
Sky Bridge (Gate 12と24の間), Level 9, Departures, Terminal 1 (Restricted Area)
営)7:00~23:30
無休
https://www.intervalsbar.com/
text: Miyako Kai

ジャーナリスト、編集者、コーディネーター。東京で女性誌編集者として勤務後、ヨーロッパ、東京、そして香港で18年を過ごす。オープンで親切な人が多く、歩くだけで元気が出る、新旧東西が融合した香港が大好きに。雑誌、ウェブサイトなどで香港の情報を発信中のほか、個人ブログhk-tokidoki.comも好評。大人のための私的香港ガイドとなる書籍『週末香港大人手帖』(講談社刊)が発売中。2024年に帰国。