名古屋城を眺める絶景のホテルで美食とワインを体感! エスパシオ ナゴヤキャッスル「ブリアンス」へ。

Travel 2026.01.16

YOSUKE KANAI

「伊勢は津でもつ 津は伊勢でもつ 尾張名古屋は城でもつ」と謳われたほど、名古屋城は名古屋にとって無二のランドマーク。この景観が目的地となるようなホテルが誕生した。「エスパシオ ナゴヤキャッスル」、堀を挟んで名古屋城と向き合い、城を借景に優雅な時間を過ごせる場所だ。

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初日は晴天、翌日は雨だったが、濡れそぼる日本庭園の奥に城を眺めるのもまた美しい時間だった。

名古屋駅からタクシーで15分ほど、名古屋城が見える眼前に石垣造りの建物がそびえ、車はその石垣に沿ってホテルのエントランスへと進んでいく。この不思議な空間から、すでにエスパシオ ナゴヤキャッスルの魔法は始まっている。エントランスには尾張の地から天下人となった織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の甲冑が鎮座し、通路や吹き抜けの階段は「金」爛豪華な景色が広がる。4階にあるレセプションに辿り着きエレベータのドアが開くと、見事な金色の曲がり松の枝の奥に日本庭園と名古屋城を見通すロビーが広がる。圧倒的な景観のパワーに、しばらくはカメラを持ち上げることも忘れて景色に見惚れてしまう。

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城側ビューの部屋。カーテンを開ければそこにはいつでも名古屋城が。リビングスペースは横長のソファ席とチェアがあり、こちらものびのびと過ごせる。

この日宿泊したのは、ベッドの上の金色の襖と紺色を基調とした重厚感ある部屋造りのラグジュアリールーム。全室にバルコニーが備わり、城側に向いた部屋であればベッドの上からでも、バルコニーからでも、また浴室からでも名古屋城の息吹を感じることができる。

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浴室部分。洗面スペースは2名分用意されており、カップルでの宿泊時もストレスフリーに過ごせる。

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岸田周三シェフが手がける新たな美食空間「ブリアンス」へ。

エスパシオ ナゴヤキャッスルの最大の特徴が、4階のフロアにラグジュアリーなレストランを7軒構えていること。フレンチ、日本料理、天ぷら・割烹、中国料理、鉄板料理、鮨、バーはどれも魅力的で、連泊したくなること間違いなしだ。

なかでもフレンチ「ブリアンス」は絶対に注目したい1軒。2008年のミシュランガイド上陸以来、19年間三ツ星を獲得し続けている品川のフレンチの名店「カンテサンス」岸田周三シェフが手がけるレストランだ。

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岸田シェフが修行したパリの三ツ星「アストランス」、シェフ自身の手がける「カンテサンス」に続き、光輝くという意味合いを持たせた「ブリアンス」という名前に。

岸田シェフは愛知県出身。岸田シェフが考案したメニューを、愛弟子である髙瀬奨太シェフが東海地方の豊かな食材で表現していく。「先入観を持たずに料理を楽しんでほしい」と、あえてメニューは先に出さずにコースは進んでいく。

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「シャンパーニュ・クリストフ・ミニョン ADN・ドゥ・ムニエ エクストラブリュット」以下、メニューはおまかせコース ¥30,800(税込、サービス料別)より。

乾杯で注がれたのは、クリストフ・ミニョンによるシャンパーニュ。補助的に使われることの多かったムニエという品種に脚光を当て、ビオディナミ製法で丁寧に味わいを引き出す生産者だ。ピンクゴールドのようにも感じる液面には、美しく微細な泡が立ち上る。まろやかな味わいの中に青リンゴや若い洋梨の豊かな香りを感じ、しっかりとした酸とミネラル感が口を引き締めてくれる。併せて供されたのは「カワハギ 完熟万願寺 サブレ」だ。

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「カワハギ 完熟万願寺 サブレ」

提供温度にとことんこだわり、摘んだ指先がしっかり熱さを感じる。魚のなめらかさ、万願寺のやわらかさ、サブレのサクサクとした食感がいちどに口の中で広がり、複雑みはシャンパーニュと響き合って長い余韻を生む。続いて提供されたのは「栗 グアンチャーレ ほうれん草のスープ」。

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「栗 グアンチャーレ ほうれん草のスープ」

クリのほろほろとした食感、ほうれん草の旨味と鉄分、グアンチャーレ(豚ほほ肉)の塩味がまろやかに溶け合い、食欲を増してくれる。

次の料理に備えグラスに注がれたのは、北海道余市・平川ワイナリーによる「レ・クリュ」というワイン。これをほぼ室温の状態で大ぶりのグラスで提供したことに、かなり驚いてしまった。

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「平川ワイナリー レ・クリュ 2024」

フランスで醸造家、ソムリエとしての資格を取得し、南仏、南アフリカ、ブルゴーニュ、ボルドー、ロワール、ニュージーランド、アルザスをわたり歩き経験を積んできた平川ワイナリーの平川敦雄が、3種類の品種をブレンドして造り上げている。品種やブレンド比率は非公開だが、ソーヴィニヨン・ブランのような爽やかな柑橘やハーブのような香りに、どこか湿った土やキノコのニュアンスが混ざり合う。

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「山羊のミルクのバヴァロワ」

このワインが呼び込む料理が「山羊のミルクのバヴァロワ」。あっさりとしていながらも、どこかに粒感を感じるようなまろやかさをもつバヴァロワに、オリーブオイルの爽やかな苦味が寄り添う。冬の滋味である百合根がほぐれる食感は、ワインに感じた土のニュアンスにぴたりと寄り添う。温度の低い時には立ち現れなかっただろうワインの特徴が、食事の味わいひとつ一つに豊かに絡まっていく感覚を味わえる。

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フランス南部の白ワインと酒精強化ワインが繋ぐ、美しいペアリング。

白ワインのグラスがさらに続いていくことに、ちょっと驚きつつワクワクは止まらない。続いて提供されたのはフランス、ローヌ渓谷北部の盟主たるE.ギガルのエルミタージュ・ブラン 2019。こちらも温度は12度くらいだろうか、白ワインにしては少々高めの温度だ。

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「E.ギガル エルミタージュ・ブラン 2019」

夏の気温がぐんと上がり、病害も少なく素晴らしいヴィンテージと言われる2019年のマルサンヌとルーサンヌのブレンドで造られるエルミタージュ・ブランは、蜂蜜やナッツのようなボリュームのあるニュアンスも感じる一杯。芯のある味わいに浸っていると、「海老芋 イカ プンタレッラ」が運ばれてくる。

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「海老芋 イカ プンタレッラ」

表面をカリッと揚げ、中身はホクホクの海老芋の食感のおもしろさに、イカの歯ごたえと甘み、プンタレッラ(チコリーの一種)のほろ苦さとハーブ、スパイスが寄り添う。 膨らみのある料理のボリューム感に、しっかりとした白ワインのボディ感が伴奏していく心地よさ。その余韻に浸っていると、さらに驚くべきペアリングが提供された。南仏、ルーション地方で造られる酒精強化ワイン、リヴザルトだ。

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「ドメーヌ・サント・ジャクリーヌ ヴュー・リヴザルト 1978」

リヴザルトはヴァン・ドゥ・ナチュレルと呼ばれる、ワインの醸造中にブランデーを加えて発酵を止め、ブドウの持つ甘みが際立つドリンク。今回提供されたのは1978年ヴィンテージ、47年ほどの熟成を経た古酒だ。アプリコットやアールグレイのような紅茶のニュアンスに、豊かな甘みが寄り添う。これまでリヴザルトを食後酒として楽しんだことはあったが、食中酒として飲んだのは初めてだった。グラスの奥にコーヒーやカカオのニュアンスを感じ取った時、運ばれてきた料理に納得した。

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「フォアグラと焼き茄子 カカオチュイル」

カカオニブを薄く成形したサクサクのシートに、極上の滑らかさを持つフォアグラと焼きナスが層を織りなす。岸田シェフ、そして髙瀬シェフが心から大事にする「プロデュイ(素材)」「キュイソン(火入れ)」「アセゾネ(味付け)」の三要素が、ひと皿の上に結実する。食感の妙と香り、味わいが口いっぱいに広がり、リヴザルトの味わいが余韻をさらに引き延ばしていく......。

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提供温度にまでとことん向き合う、至高の料理。

シャンパーニュから始まって5杯目、酒精強化ワインを挟んでさらに白ワインが提供されたことに驚く。料理人による旬の素材の追求とソムリエによる温度管理の妙技......。冬、温かさが重視されるメニューに合わせやすいのは赤ワインなのでは、というのは単なる思い込みなのだと思い知らされる。

ロワール地方の白ワインの雄、サヴニエールの中でも特別な区画であるロッシュ・オー・モワンヌ。世界の三ツ星レストランがこぞってオンリストする、シュナン・ブラン100%の偉大なワインだ。

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「ドメーヌ・オー・モワンヌ サヴニエール・ロッシュ・オー・モワンヌ 1999」

1999年のヴィンテージ、やや琥珀がかった明るい金色の液面からは、熟したカリン、黄桃、蜂蜜のニュアンスが立ちのぼる。ワインに合わせて提供されるのは「オマール海老のタンバル」だ。

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「オマール海老のタンバル」

オマール海老の身を贅沢に使い、帆立のムースに練り込んで仕上げたタンバルの下に、出汁を合わせたソースが広がる。身を丁寧に、少し拭うようにソースに浸せば、旨味が凝縮した味わいが鼻腔と口中いっぱいに広がる。熟成感のある極上の紅茶のような佇まいの白ワインが、その味を包み込むかのようだ。

メインを前に登場したのは、ブルゴーニュの生産者ベルトラン・アンブロワーズによる「クロ・ヴージョ グラン・クリュ 2018」。2018年のブルゴーニュは暑く乾燥し、果実味が豊かと言われるヴィンテージだ。

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「ベルトラン・アンブロワーズ クロ・ヴージョ 2018」

深みのあるルビー色のワインからは、スミレ、フランボワーズ、シナモン、ナツメグに、 どこか黒胡椒のニュアンスを感じる。愛知県豊橋市で育てられる鴨を使った「恵鴨のロースト 赤ワインと黒胡椒のソース」が運ばれてくる。

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「恵鴨のロースト 赤ワインと黒胡椒のソース」

柔らかい鴨の肉質を見極める火入れの加減、ソースに加えたペッパーの風味、そして提供された瞬間にこそおいしい温度。シェフの細心の注意が、美しいひと皿を生み出す。鉄分をしっかりと感じる鴨肉に、なめし革や鉄分の雰囲気も醸し出すクロ・ヴージョが共鳴する。しっとりとした感覚に、しばし言葉を失う。味わいの奥から、また新たな味が顔をのぞかせるような構成。香りさえ愛おしい、美しい火入れのメインだった。

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デザートまで完璧、そしてバーも堪能したい。

温度、食感、味わいを追求するメニューはデザートまで続く。甘すぎず、多すぎない美しいデザートが棹尾を飾る。この日のデザートはマカロンから。

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「ラムレーズンとピーカンナッツのマカロン」

食感の層が生まれる味わいに目を細めながら、もし残っていればブルゴーニュの赤を合わせても良いだろう。

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「南瓜のチュロス」

チュロス生地、ペースト、ソースにカボチャをふんだんに使用したデザートは、カボチャ本来の甘みも引き立つ、温度感の違いも楽しいひと皿。

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「メレンゲのアイスクリーム」

口どけのやわらかさをもはや「風合い」 と呼びたいようなメレンゲのアイスクリームをいただき、コースは名残惜しくもフィナーレを迎えた。サービスの最中もどこにも引っかかりのない、流れるようなコース進行。温度管理も行き届いたこれらのスピード感に、舌を巻いてしまう。

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1995年、北海道生まれの髙瀬奨太シェフ。2015年より南青山「ラス」にて研鑽を積み、18年ミシュラン一ツ星・代官山「アビス」入社。20年より「カンテサンス」に入社、24年にはパリ・ミシュラン二ツ星「レストラン・ブラン」で修業。25年の帰国後、ブリアンスのシェフに就任。

2024年にはパリ・ミシュラン二ツ星「レストラン・ブラン」佐藤伸一シェフの下で修業していた髙瀬奨太シェフ。「岸田シェフ、佐藤シェフ、ふたりの師匠を見て料理できたことがとてもいい経験になっています」と、コース後に語ってくれた。休みの日は現地の生産者を訪ねながら食材の研究に勤しむ。いずれは自身のメニューの提供も始めるというのだから、やはりブリアンスの今後からも目が離せない。

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緑の光にグラスを突き出していたジェイ・ギャツビーのように、名古屋城に乾杯!こちらのロングドリンクはオリジナルカクテル「モロッカンチューハイ」¥3,000(税込/サービス料別)

夜の余韻にもう少し浸りたいなら、ブリアンスと同じフロアの向かいにあるザ バー キャッスルで過ごそう。「50 Best Bars」に毎年ランクインし、世界から注目されているバー「The SG Club」が監修した8種のカクテルを堪能できる。

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ミニバーにはボランジェ スペシャルキュヴェのハーフボトルが。¥12,000

プライベートな時間を楽しみたければ部屋に戻り、照明を少し暗くしてミニバーを心ゆくまで体感しよう。名古屋城を横目に眺めながらグラスを傾ける......。高揚感と不思議な幸福感に包まれた、最高の夜に身体を預けて。

ブリアンス
営)17:00〜20:00、20:30〜23:30の2部制
おまかせコースのみ ¥30,800(税込、サービス料別)
不定休
ドレスコード:エレガントカジュアル
予約はこちら
ザ バー キャッスル
営)アフタヌーンティー 12:00〜16:30
12:00〜、14:30〜の2部制
シーズナルカクテルとケーキのペアリング 17:00〜19:00 L.O.
バー 17:00〜23:00 L.O.
無休
ドレスコード:スマートカジュアル
アフタヌーンティー、バータイムのシーズナルカクテルとケーキのペアリングの予約はこちら

エスパシオ ナゴヤキャッスル
愛知県名古屋市⻄区樋の⼝町3-19
全100室 全室浴槽付き
参考価格:宿泊のみ ¥200,000~ ※2名1室1泊の料金(税、サービス料込)
https://www.espacionagoya.com/

フィガロJPカルチャー/グルメ担当、フィガロワインクラブ担当編集者。大学時代、元週刊プレイボーイ編集長で現在はエッセイスト&バーマンの島地勝彦氏の「書生」としてカバン持ちを経験、文化とグルメの洗礼を浴びる。ホテルの配膳のバイト→和牛を扱う飲食店に就職した後、いろいろあって編集部バイトから編集者に。2023年、J.S.A.認定ワインエキスパートを取得。

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