サンジェルマンに新しいプチホテルが誕生。
パリで新年を迎えるなら・・・。
Travel 2010.10.13
大村真理子の今週のPARIS
パリ6区シェルシュ・ミディ通りに新しいホテルがオープンする。全34室と小ぶりながら、プール、スパ、レストランも完備と、なんとも魅力的なホテルだ。
その名はラ・ベル・ジュリエット。この美しきジュリエットとは、レカミエ夫人のことと明かせば、ルーブル美術館に展示されているジャック・ルイ・ダヴィッドによる彼女の肖像画が思い浮かぶのでは? 寝椅子に腰掛ける、白いギリシャ風のドレスをまとった彼女。その美しさに、ナポレオン1世も彼女に恋心を抱いたほどだ。
グレーがかった空色をはじめ、どの部屋の壁も室内装飾を担当したアンヌ・ジェルバールがホテルのためにミックスした色で塗られている。
この女性に見覚えがあるでしょう。彼女がジュリエット・レカミエ(1777~1849年)。
ジュリエットは16歳のときに銀行家のジャック・レカミエと結婚。彼は30歳以上も年上である。もっともこれは、恐怖政治の時代、将来を案じたジャックが財産を娘に残すために仕組んだ父娘の結婚という説もある。なかなかミステリアスな女性である。19世紀初頭に彼女が催すサロンには、当時の文化人や政治家知たちが出入りしていた。そのなかのひとり、シャトーブリアンとの交際は長く続いたそうだ。
おもてなし上手で知られたジュリエット・レカミエ。彼女とその時代にインスピレーションを得て生まれたのが、このラ・ベル・ジュリエットというわけだ。といっても、彼女の名にふさわしい洗練さはホテル内に感じられるものの、100%クラシックというのではなく、アンヌ・ジェルバールによる内装はコンテンポラリーな味付けが効いている。壁にかかる絵画の類は19世紀スタイルでも、クッションやベッドカバーはアンヌが開発したテクニックでメタルを織り込んだ布が使われて・・・・・・というような具合に。2階から5階までの客室フロアは各階のテーマに合わせて、色もスタイルも異なっている。
客室はフロアごとにテーマがある。2階がレカミエ夫人とスタール夫人、3階がイタリアの旅、4階がルネ・ドゥ・シャトーブリアン、5階が雑談。
各部屋にMacが装備され、かつワイヤレスは無料と現代人の旅人を満足させる洗練の室内。
1階のレストラン、地下のスパはホテル客でなくても利用ができるそうだ。イタリアンタッチの料理で素材を生かしたライトなランチや、タパスをつまみながらグラスワインで・・・・・・といった利用が可能。スパはパリ初のビオ・スパということで、鍼によるリフティングなどが受けられる。
シェルシュ・ミディ通りは、北東から南西に斜めに伸びる長い通り。ホテルが位置する92番地の周辺には、ブロカント、ビストロ、サロン・ド・テ、子ども用ブティックなどが並んでいて、散歩も楽しい。日曜にビオの市がたつラスパイユ大通り、デパートのボン・マルシェも近い。このホテルに泊まりリュクスな旅を味わうと同時に、住民になった気分の滞在をしてみるのもいいだろう。
ホテル(左)から徒歩3分圏内のシェルシュ・ミディ通り。工事中の新しいビストロ(中)とワイン屋(右)はホテルの斜め向かい。
地元民が吸い寄せられるように入ってゆくパン屋(左)。ティー・ルームのマミー・ガトーはブロカント店も経営(中)。商品充実のビオ・ジェネラション(右)。
日本人経営のル・プティ・ヴェルドー。サービスもゆっくりで決して安くはないが、おいしいビストロ(左)。かわいい子ども服が見つかるマリー・ピュス(中)。大人も楽しめる夢いっぱいのブティック、セレンディピティ(右)。
12月31日から宿泊が可能になるそうだ。大晦日をパリで!という人のために、予約はいまから受け付けている。
92, rue du Cherche Midi 75006 Paris
Tel 01 42 22 97 40
Fax 01 45 44 89 97
http://www.labellejuliette.com
reservation@labellejuliette.com