パリはラグジュアリー・ホテル時代。
老舗ホテル、ル・ムーリスは・・・。
Travel 2011.02.16
大村真理子の今週のPARIS
16区にシャングリラ・ホテルが昨年オープンした。そして、もうじきサントノーレ通りにマンダリン・ホテルが完成する。チャーニーズ・パワー台頭のパリにあって、老舗のラグジュアリー・ホテルものんびりしてはいられない。
8区のロイヤル・モンソーは新オーナーとなり"取り壊しパーティ"に続いてフィリップ・スタルクによる大改装が行われた。昨秋から営業が再開され、いまやアーティ・セレブたちに人気のホットスポットである。
同じく8区にあるオテル・ブリストルでは改装にとどまらず。ファラオンという名前の猫をスタッフに加えたのだ。荷物は持ってくれないし、レストランにも案内してくれないけれど、このユニークで温かいアイデアは歓迎したい。
チュイルリー公園に面したすばらしい立地。
全館改装がかなり前に終了し、4年前にスタルクがグラウンドフロアのプチ改装を行ったのはル・ムーリス。パリ中のほかのリュクスなホテルがどうがんばってもこのホテルにかなわない点は、チュイルリー公園の向かいというすばらしい立地だろう。パリの中央にありながら緑に恵まれ、1835年のオープン以来、海外の王侯貴族、作家、アーティストたちを顧客に迎えている。1930年代にはココ・シャネルが豪奢なパーティを開催するときに利用したのもこのホテルである。1950年代から30年近く、ホテルに住んでいたのはサルヴァドール・ダリだ。スタルクのプチ改装にシュールレアリスティックなタッチが溢れているのも、ホテルに刻まれたDNAゆえ!?
スイートルーム"ダリ"。
ダリが暮らすと、高級ホテルのスイートもアーティに!
多くの芸術家たちに愛されたホテル。若いアーティストの擁護に力を入れているル・ムーリスは、今回で4度目となる「2011/2012 コンテンポラリー・アートのためのムーリス賞」の存在と意義を多いにアピールする。対象となるのはフランスで創作活動をし、ギャラリーがついている50歳以下のアーティスト。彫刻、写真、ビデオなどジャンルは問わず、アーティストの国籍も問わない。応募はギャラリーによって行われる。現代アートの目利きとして知られるデザイナーのジャン・シャルル・ド・カステルバジャックを審査員長に、ジュ・ド・ポムやルーブル美術館のディレクターを含む10名が今回の審査団だ。
選ばれたアーティストとそのギャラリーには、各10,000ユーロが贈られる。アーティストにはすばらしい創作資金となるが、なぜギャラリーにも? それはアーティストの作品を海外のギャラリーでの展覧会やアートフェアへの出展などにより国際的に広めるための援助金としてである。第4回目の応募は4月22日まで。
ルーブル美術館、チュイルリー公園はもちろん、パリのすべてを眺められる250㎡のテラス。ベル・エポック・スイートルーム専用とは、ちょっと残念!
228, rue de Rivoli 75001 Paris
Tel. 01 44 58 10 10
http://www.lemeurice.com
http://prixmeuricepourlartcontemporain.com