伝説のカップル、ダリとガラ。
ふたりの愛情物語からバッグが生まれた。
Travel 2011.08.31
大村真理子の今週のPARIS
「母よりも、父よりも、ピカソよりも、それにお金よりも、ガラを愛している」
サルバドール・ダリが詩人ポール・エリュアールの妻ガラと出会ったのは1929年。それ以来、彼女は1982年に亡くなるまで、彼に創作のインスピレーションを与え続けるミューズとしてダリの人生に君臨する。ダリが冒頭の言葉を語ったのは、ふたりの出会いから23年も経ってからのこと。彼女への彼の愛は強まるばかりで、1970年にふたりのイニシャルS 、D、Gを用いて8つの図案化されたアルファベット(ダリグラム)を彼はデザインした。ふたりだけが分かる愛の言葉である。
上左、上奥右:ガラへの情熱的な思いを文字にしたダリグラム。 上右:カタロニア地方の海岸に寛ぐガラとダリ。
FUNDACIO GALA-SALVADOR DALI, 2011
Image rights of Salvador Dalí reserved. Fundació Gala-Salvador Dalí, 2011.
そして同年、このダリグラムをあしらったバッグがランセルによって、1点製作された。リヴォリ通りのホテル・ムーリスはダリとガラのパリの住まい。ホテルで彼らにサービスをしていた従業員の弟が、ランセルの職人だったことがきっかけで生まれたバッグである。本のように薄く、自転車のチェーンが使われているのが、何ともダリらしい。
上奥:ダリグラム・コレクションの出発点となった、1970年にガラに捧げられたバッグ。ランセルのアーカイブが所蔵する。 上左、上中、上右:モダンなシルエットのオリジナルバッグをベースに生まれたダリドールは3種類。左は限定バージョン。
Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, VEGAP, 2011-Lancel. Photo : ©Fabien Sarazin.
この秋発表のランセル ダリグラム・コレクションは、メゾンのアーカイブに残る、このダリの愛情宣言たるバッグが出発点となっている。エンブロイダリージャカードの布やエンボス加工された革の上に、立体的に浮かびあがるふたりの愛の言葉。 バッグの内側の明るいオレンジ色が表現するのは、愛に輝く幸福感。デイタイムにソワレにと、女性の日常のあらゆるシーンに対応する、さまざまなフォルムのバッグがデザインされた。ダリとガラを結びつけた強い愛へのオマージュとして、ラブレターボックスもコレクションに加えられた。これは手紙を整理するための内側の仕切りを外せば、ヴァニティケースとしても使えるようにデザインされている。
展示風景は、ダリとガラが冬のパリを過ごしたホテル・ムーリスで行われたダリグラム・コレクションのプレス発表。ダリにちなんで、展示もシュルレアリスティックに。 5つのバッグはダリグラム・コレクションから。ダリグラムの中に、さりげなくランセルのロゴがミックスされている。
ギャルリー・ラファイエットの2階にあるギャルリー・デ・ギャルリーでは、この愛情あふれるバッグのコレクションの発表を記念し、スペインのカダケスにあるダリ財団の協力を得て、ダリとガラの貴重な写真を9月20日まで展示中だ。半世紀以上続いたふたりの愛情物語・・・ダリグラムのバッグを持てば、あやかれるだろうか!?
ギャルリー・デ・ギャルリーでは9月20日まで、ダリとガラの珍しい写真の数々が見られる。Image rights of Salvador Dalí reserved. Fundació Gala-Salvador Dalí, 2011.
Galeries Lafayette
Boulevard Haussmann 75009 Paris
営)9時30分~20時(月~水、金、土) 9時30分~21時(木)
休)日、祭