ビュリーのマレ店にはカフェ、花、モード、そして......。
Paris 2017.09.04
4月に代官山に開店し、日本でもすっかり人気となったフランスのビューティー・ブランドOfficine Universelle Buly (オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー)1803。8月末、パリの2号店がマレにオープンした。ボナパルト通り店と違って、マレのビュリーが販売するのは化粧品だけにとどまらない。仕掛人ラムダン・トゥアミとヴィクトワール・ドゥ・タイヤック夫妻のあくなき冒険心と好奇心がぎっしりと詰まった、この新しいスペースを紹介しよう。
道行く人の注意をひくクラシックな構えのブティック。


店内のインテリアはもちろん、ドアに掲げられたBulyのロゴの微妙なディテールにも注目を。


オー・トリプルを始め、扱うBulyの品はボナパルト通りのブティックと同じだが、店内のディスプレイはご覧のようにトリッキー。
店のあるサントンジュ通り45番地というのは、1880年から1934年までブロンズの鋳造で知られたRudierというアトリエがあり、ロダンの「考える人」がここで1902年に生まれた、という場所だ。内装のディテールには、そうした歴史に捧げられたオマージュを見ることができる 。
店内は入って左側がビュリーの売り場で、向かい側がグラン・カフェ・トルトーニのカウンター席となっている。19世紀にイタリアン大通りにあり文化人、社交界の人々、それに高級娼婦などを集めたカフェで、バルザックやデュマなどの小説にも実名で登場した名所だ。美味しいアイスクリームが食べられるカフェとしても名高かったことから、ここでもアイスクリームはもちろんメニューに! それに加えて、日本でラムダンとヴィクトワールが気に入ったかき氷も、というおまけつきである。このカフェではテイクアウト客用に、通りに面して小さな窓が設けられている。窓の脇に紐を引っ張って鳴らすベルも装備されているのが面白い。もっとも、このベル、なかなかの響きなので紐を引く時は心の準備を!
19世紀のカフェのようなカウンター席。壁の大理石にはジョルジュ・サンド、エドゥアール・マネといった過去の常連客の名前が刻まれている。メニューはカフェ、ティー、ショコラ、アイスクリーム、フォイユ・ドゥ・グラス(かき氷)……オリーヴ・ソーダなる気になる飲み物も。


カウンターでポーズ・カフェするか、小窓からテイクアウト(1.50ユーロ〜)するか……。
さて、日本の味はかき氷にとどまらず。カフェ・カウンターの左隣には、“NANIKORE ONIGIRI”のおにぎりテイクアウト・カウンターが設けられている。日本人シェフがフランス人のために考案したおにぎりは、ツナ・マヨや鮭といったクラシックな味からパエリアやメレゲーズ(モロッコソーセージ)……さらにチョコレートやアップル&キャラメルといった甘味おにぎりもあり、日本人にとっても「ナニコレ?」かもしれない。
このメインスペースの奥には2つの扉がある。まずは左の秘密めいた扉を開いてみよう。そこはドライフラワー・ショップとなっている。フラワーアーティストがアレンジするブーケを展示販売。生花とは異なる植物の香りが漂う、小さいながらも素敵に飾られたスペースだ。


ナニコレ・オニギリの販売カウンターも、店内の重厚な内装に調和している。


石膏のレリーフが飾られたドライフラワーのブティック。ここでは驚きが待っている天井を見上げるのも忘れないように。
では、右の扉を開けると何があるのか? サボテンの植え込みを中央にしつらえた建物Hors Saisonがある。ここはポップアップ・ストアを開催するスペースで、ブランドは3〜4カ月交代。オープニングはラムダンと韓国のブランドHazzyのコラボレーション・コレクションの販売だ。
百聞は一見にしかず。パリに行ったら、マレ地区に行ったら、Bulyのこの新しいアドレスを訪れてみよう。


メインブティックの奥から中庭に出て、Hors Saisonへ。photos:Mariko OMURA
45, rue Saintonge
75003Paris
営)11:00~20:00(カフェのテイクアウト7:00~16:00)
無休
https://www.buly1803.com/en/