モントルグイユ通り周辺、超危険スイーツ地区の甘い誘惑。
Paris 2017.11.14
パリ2区、市場通りで知られるモントルグイユ通り。そのエチエンヌ・マルセル通りとサン・ソヴール通りの間 、そしてその脇道はスイーツの宝庫だ。年末年始にパリ滞在を考えているのなら、ぜひこれから紹介する店を覚えておいて。
パティスリーのセレクトショップ「フー・ドゥ・パティスリー」
モントルグイユ通り45番地の小さな「Fou de Pâtisserie(フー・ドゥ・パティスリー)」は、昨春にオープンしたパティスリーのセレクトショップ。“パティスリー狂”を意味する同名の雑誌の創刊者2名による画期的なアイディアのおかげで、パリのいろいろなパティシエによる名作がここに来ればまとめて購入できるのだ。マドレーヌやシューなど 厳選された“粉物”もあれば、店内の左側の棚には地方のおすすめメゾンのチョコレートやビスケットなども販売されている。
全部試してみたくなる! 左から、Acide Macaron(17区のティールーム)のLe cheesecake、シリル・リニャックのL’Equinoxe、Un Dimanche à Paris(6区のレストラン)のLe Lacté、アンジェリーナのLe Succès Noisette。


Un Dimanche à Parisのグルテンフリーのタルトもある。小さい店内にずらりと並ぶ甘い誘惑!
フランス中から集まったジャム、マシュマロ、クッキー、チョコレート……。
すでに大勢の常連客がいて、彼らの目は店に入るやショーケースに並ぶ新着パティスリーへと向かう。スターゲストによる限定品もあり、例えば11月18日から25日まではオテル・プランス・ドゥ・ガルのパティシエであるニコラ・パルシエロのクリエーション2点を販売。11月の頭にはパティスリー界の赤毛のプリンス、ヤン・クヴルールの著書『Le Pâtisserie』の販売サイン会も開催するなど、スイーツ・ファンの心をとらえるイベントを次々と用意。パティスリー狂によるパティスリー狂のためのブティックだ。


10区のCantine Bullizのシュー(1個1.20ユーロ)がウィンドウから誘いかける。店の前には小さなテーブルが2つあり、ここで買いたてのパティスリーを味わうことができるのは嬉しい。


11月18日から25日の1週間の限定販売は、オテル・プランス・ドゥ・ガルのシェフ・パティシエによる2つのクリエーション。左から新作のEntremet Marron et Mandarineと、la Tarte chocolate Sarrasin torréfiée(photo:Benoît Linero)。
45, rue Montorgueil
75002 Paris
tel:01 40 41 00 61
営)11:00(土日 10:00)〜20:00(日 18:00)
無休
≫ 軽食にもぴったりの、ぽっこり丸いブリオッシュ。
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いろいろな味のブリオッシュ「パパ・ブゥン」
中にクリームを詰めたぽっこり丸いブリオッシュ。パパ・ブゥンのウィンドウ内でとってもカラフルだ。お腹の空き具合に合わせて、ひとつ、ふたつ……。イラストがチャーミングな店内でイートインするもよし、テイクアウトするもよし。スモークサーモンやツナのムースのブリオッシュサンドもあるので、ランチタイムや小腹が空いた時に知っておいて悪くないアドレスである。


スイート・ブリオッシュは2ユーロから。フランボワーズ、プラリネ、ココ、キャラメルなど11種。


陽気でカラフルな店内。サンドイッチ・ブリオッシュ+スイート・ブリオッシュ+チップス+飲み物のセットは10ユーロ。
21, rue Marie Stuart
75002 Paris
tel:01 42 60 14 40
営)9:00~20:00
無休
www.papaboun.com
≫ パリ最古のパティスリーによる、老舗の味わい。
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モントルグイユ通りの甘い伝説「ストレール」
創業1730年のストレールを語る時、必ずつく枕詞は「パリ最古の菓子店」である。
若いパティシエたちによるクリエーションが席巻する、いまのスイーツの世界。クラシックな味を求めるなら、51番地のストレールへ。ババ・オ・ラム(サバラン)、ルリジュウズ・ア・ランシエンヌ、ピュイ・ダムール、タルト・シブーストなど創業者ニコラ・ストレールが生み出した王道パティスリーが待っている。


今も昔も不変の外観。スイーツだけでなく、お惣菜も種類豊富で美味しい。


ババ・オ・ラムやピュイ・ダムールといったお菓子の名作はストレール作。なおババ・オ・ラムはストレールが創作した時は、ラムではなくトカイワインを使ったそうだ。


タルト・シブーストやシャルロット・オ・フランボワーズなども魅力的。お菓子はどれもホールタイプとひとり用サイズがある。photos:©Théo Delhaste
ニコラ・ストレールは亡命中のポーランド王の娘マリー・レザンスカの菓子職人で、ルイ15世と彼女の結婚により、ヴェルサイユ宮殿の厨房で王侯貴族のために腕を振るうことになった。彼が現在の場所に店を構えるのは、その5年後。日本でいえば江戸時代にできた店が今も続いている、というわけで、正真正銘の老舗!
この店で修行を積んだジェフリー・カーニュが他店で活躍した後、最近シェフ・パティシエに就任した。ストレールの歴史を尊重しつつ、創業者が残した遺産の味を今の時代に適合したものにする役割を担っている彼。まずはルリジューズ・ア・ランシエンヌから。


31才の若きシェフ・パティシエ(©Alexandre Guirkinger)と、3種のルリジューズ・ア・ランシエンヌ(©Théo Delhaste)。
51, rue Montorgueil
75002 Paris
tel:01 42 33 38 20
営)7:30~20:30
≫ パリジェンヌが夢中になる、素朴なアメリカのお菓子。
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アメリカの味がパリをノックアウト!「ストーニー・クローヴ・ベーカリー」
3月下旬にオープンして以来、アメリカのママの手作りケーキといったお菓子やクッキーが人気を呼んでいる。このストーニー・クローヴ・ベーカリーの仕掛け人はヴィデオ・ディレクターのフィリップ・アンデルマンとアメリカ人ケーキ職人のベス・ベジだ。アップルパイやバナナ・プディングなど素朴が魅力のお菓子は、口に含むや懐かしさと感動を生む。幸福感といっていいかもしれない。
冬の定番、アップルパイ。サクサク生地が独特の旨さを誇っている。 photo:©Diana Yen- Jewels of New York


キッチンシンク・クッキー、トゥインキーといったパリでは耳慣れないスイーツを発見できる。photos:©Diana Yen- Jewels of New York
有名なレストランであるロシェ・ドゥ・カンカルのあるモントルグイユ78番地の角からグルナタ通りを見ると、店内とおなじブルーグリーンの扉が見える。photo:Philip Andelman
ファッション業界で働くママたちは、今や、子供のバースデーケーキをこぞってこの店にオーダーする。また、7月のオートクチュール週間中はロダルテのショー会場で、秋のファッションウィーク中はミラ・ミカティのプレゼンテーション会場で、ここのクッキーが配られた。モード界と近い関係にあるのはフィリップがコレットのサラのご主人ということもあるけれど、まがい物を嫌い、センスで勝負をするクリエーターたちを満足させるクオリティゆえでもある。最近 は、ウエディングケーキもスタート!


レッド・ヴェルヴェット・ケーキやファンフェッティ・ケーキはホールならバースデーパーティに、ピースならひとりのおやつに! photos:©Diana Yen- Jewels of New York
71, rue Grenata
75002 Paris
営)11:00~18:00
休)日・月
≫ パリ最古のチョコレート店で、季節限定の味を。
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気軽に老舗のチョコレート「ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ」
フォーブル・モンマルトル35番地に本店を構えるア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユ。ここはパリ市内の7軒の支店のひとつだ。メゾンの創業は1761年。2000年からドルフィー家がオーナーとなり、創業者同様原料からこだわって、味とクオリティを守り続けている。
モントルグイユ店も、本店と同じグリーンの外観が目印だ。
ア・ラ・メール・ドゥ・ファミーユはパリ最古のチョコレート店である。最近、タブレットが装いを新たにして登場した。板チョコに描かれているモチーフは、ナポレオン3世の時代に建てられ、外観が歴史的記念建造物に指定されている本店の床に敷き詰められた古いタイルの模様だ。クリスマスの時期はチョコレートベースのビュッシュ・ドゥ・ノエルが毎年姿を変えて登場し、パリの子どもたちを喜ばせている。また、今年のカランドリエ・ドゥ・ラヴァン(12月1日から24日までの日めくりスイーツ・カレンダー)のボックスは、有名なイラストレーターのサンペが本店の外観を描いたもの。日めくりするたびに登場するのは、メゾンのオリジナルのチョコレート、ボンボン、ヌガー……。冬の名物であるマロン・グラッセでも評判の店なので、これも買い忘れないように。
この秋に登場したタイルのモチーフの板チョコ。各5ユーロ。


17cm丈のママ・トナカイは45ユーロ。トナカイのビュッシュは6~8名用で49ユーロ。
トリュフ。クリスマス時期は、メリーゴーランドのボックス入り。34.50ユーロ。
85, rue Montorgueil
75002 Paris
tel:01 53 40 82 78
営)10:00~20:00(日 13:00)
無休
モントルグイユ通りには、まだまだ甘いアドレスが。例えば96番地にはイタリアン・ジェラートで人気のGrom(グロム)。100番地のパン屋のMaison Collet(メゾン・コレ)では、いかにもパン屋らしいスイーツがウィンドウを埋めている。モントルグイユ通りは、途中からプティ・カロ通りと名前が変わる。その2番地にはL’Eclaire de Génie(レクレール・ドゥ・ジェニー)が。モントルグイユ通りのスイーツを1日で制覇するのは、なかなか大変そう。


メゾン・コレでは オペラやサバランなどクラシックなパン屋さんらしいお菓子に混ざって、なぜかピンクのCochon(豚)なるお菓子が……。
réalisation:MARIKO OMURA