リッツ・ホテルを自宅に再現? そんな夢が叶う競売開催。
Paris 2018.04.11
4月17日から21日まで、シャンゼリゼ大通り脇のArtcurial(アールキュリアル)で開催されるオークション。「昔々その昔……パリのリッツ・ホテル」と題して、1898年にオープンしてから2016年に新装オープンするまでの200年のリッツ・ホテルの歴史をなぞるオークションが5日間開催される。改装の際に行き場のなくなったあらゆる分野の品が350組、合計約1万点近くと、とても大規模な競売だ。競売は初日の午前にエントランス・ホールと鏡の通路からの品々で幕を開け、21日の午後にココ・シャネル・スイートからの品などで幕を閉じる。
客室のランプ、時計、傘立て、それにルイ16世スタイルの犬用家具(落札予想価格200〜300ユーロ)まで!
バスルームのセット、落札予想価格300〜500ユーロ。バスといえば、なんと初代バスタブも、このオークションに登場するそうだ。
バー・ヴァンドームからはクッション、グラス、食器……。photos:Quentin Bertaux pour Artcurial
リッツ・ホテルといったら、夢のホテルの代名詞である。映画ファンは『昼下がりの情事』でチェロのケースを抱えたオードリー・ヘップバーンの姿が浮かぶだろう。アメリカ文学ファンならバーに名前を残しているヘミングウェイや『リッツくらい大きなダイアモンド』を書いたスコット・フィッツジェラルド、食いしん坊は初代料理長のオーギュスト・エスコフィエを思い、そしてモード好きはこのホテルに暮らし、裏側のカンボン通りのクチュール・メゾンに通ったココ・シャネル……というように、トップレベルの名前ばかりと結びつく伝説的ホテル。このオークションは、夢のひと欠片を手に入れる最高のチャンスといえる。
2016年に新装されたリッツ・ホテル内のココ・シャネル・スイート。以前の部屋の品々が多数オークションにかけられる。©Vincent Leroux
映画『昼下がりの情事』(1957)より、ホテルの室内でのオードリー・ヘップバーンとゲイリー・クーパー。彼女の衣装は最近亡くなったユベール・ド・ジバンシイが担当した。©Archive Ritz
バー・ヘミングウェイ。© Vincent Leroux
オークション開催に先立って、アールキュリアルでは4月12日から競売にかかる品を展示する。下見の客、好奇心で見に来る客など、さぞかし大勢が集まることだろう。ベッドのヘッドボード、シャンデリア、椅子、カーテン、鏡、ワイングラス、食器、バーバー・チェア、壁の額……落札の予想価格も表示されているので、入手できそうな何かが見つかるかもしれない。もっとも、競売だから落札価格が予想をはるかに上回ってしまう場合もあるけれど。なお、この展示の会場構成は、デコレーターのヴァンサン・ダレが担当。“リッツはホテル界のヴェルサイユ宮殿”と称える彼ゆえ、興奮してこの仕事に取り組んだ。「家具など美しい品ばかりで、インテリアに取り入れやすい。贅沢なフレンチ・スタイルをぜひ自宅に!」と。なお、オークションのカタログはアールキュリアルのサイトにて入手可能だ。
ピーチのバスタオル・セット。落札予想価格300〜500ユーロ。


コンシエルジュの整理ボックス。落札予測価格300〜500ユーロ。サービス用装置、落札予想価格100〜120ユーロ。
ココ・シャネル・スイートで使われていたベッドのヘッドボードとベッドサイドのペア家具。落札予想価格2,000〜3,000ユーロ。
リッツ・バーのバー・チェア3脚。落札予想価格1,000〜1,500ユーロ。
ルイ16世スタイルの長椅子、落札予想価格1,000〜1,200ユーロ。photos ©Artcurial
ヴァンサン・ダレによる展示会場構成のデッサン。Vincent Darré©Artcurial
開催:2018年4月17日〜21日(10:00〜、14:30〜)
競売品展示期間:4月12日、14〜16日(11:00〜19:00)、4月13日(11:00〜21:00)
会場:Artcurial/Hôtel Marcel Dassault
7, Rond-Point des Champs-Elysées
75008 Paris
www.artcurial.com/ritz
réalisation:MARIKO OMURA