ジヴェルニー 、クロード・モネの庭に開花するジャポニスム。
Paris 2018.05.11
『ジャポニスム/印象派』展で見られるように、日本の版画、浮世絵が印象派の画家たちに与えた芸術的影響はとても大きい。ジヴェルニーの観光名所であるクロード・モネの家と庭では、どれほどジャポニスムが印象派の画家たちに影響を与えたかという美術館で得た知識の実例を見ることができる。
クロード・モネが43年間暮らした家。
ここは1883年から1926年にかけて、モネが2人目の妻アリス、その子どもたちと暮らした家だ。葛飾北斎を含めモネがコレクションしていた浮世絵は、いまも彼が決めた配列のまま、生前時代同様に壁に飾られている。エントランス、廊下、そして黄色い壁に囲まれた食堂……驚くほどの数だ。東洋の製品を輸入していたブティックLa Porte Chinoise等で、彼は日本の版画、縮緬絵などを購入していた。テーマのみならず、印刷のクオリティにもこだわったセレクションをしていたという。
ダイニングルームなど、モネの浮世絵コレクションが彼の生前と同じように飾られている。
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モネが愛し、作り上げた庭。
2階建ての家のどの部屋からも、クロ・ノルマンと呼ばれる花が咲き乱れる庭が眺められる。「絵画と庭仕事以外、自分はまったくの役立ず」と自分を語っていたクロード・モネ。彼が設計し、丹精した庭は同時代の画家たちから、"自然の中に描いた絵"と評価されていた。クロ・ノルマンの前を走る小道の向こうには、水の庭園がある。池にしだれ柳が影を落とし、池にかかる太鼓橋が水に姿を写す庭はとても日本的だ。池の周囲には植物も東洋のものを揃えたそうだ。
家の前に広がるクロ・ノルマン。季節によって見られる花が異なる。春なら桜だ。
睡蓮で有名な水の庭。
池の周囲には色の淡い可憐な花々が植えられている。池の奥には竹林も。
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日本産の牡丹を描いた作品と、130年後に咲いた花。
モネは庭にインスパイアされた絵画をさまざま残している。その中の1点、『Les Pivoines(牡丹)』は1887年に描かれた作品で、まるで日本の浮世絵に見られるように茅葺き屋根の下でモネが牡丹を育てていたことが見てとれる。日本の植物の輸入もしていたドイツ人の植物学者を介して、彼は日本の牡丹を入手して庭に植えたらしい。この作品が描かれてから130年後、日仏交流160周年を祝う今年、島根県松江市由志園から贈られた30株の牡丹がクロード・モネの庭で見事に開花した。
クロード・モネ作『Les Pivoines』(1887)、oil on canvas、The National Museum of Western Art, Tokyo、Matsukata Collection
モネの時代同様に、茅葺き屋根の下に植えられた牡丹。
昔からの技法で栽培された高品質の牡丹。由志園では250種を年間50万本生産しているという。
敷地内、かつてアトリエがブティックとなっていて、クロード・モネ関連の品だけでなく、ノルマンディーの名産品なども取り扱う。レストランのレ・ナンフェアと種を扱うフラワーショップは敷地の外にある。
庭の奥、かつてのアトリエが広いブティックとなっている。栗粉をつかったクロード・モネのお気に入りのレシピで作られた素朴なお菓子も販売。photos:Mariko OMURA
Maison et Jardins de Claude Monet
84, rue Claude Monet
27620 Giverny
開)9:30〜18:00
休)11月2日〜3月31日
料金:9.50ユーロ(印象派美術館との共通券は17ユーロ)
【関連リンク】
印象派たちが愛したジヴェルニーへ、パリから日帰りの旅。
réalisation:MARIKO OMURA