アスティエ・ド・ヴィラットだからできた『Mitsou』の再版。

Paris 2018.10.15

Mitsou(ミツ)は画家バルテュス(1908〜2001年)が飼っていた猫の名前。そして、1921年にチューリッヒで出版された本のタイトルでもある。愛猫ミツと彼の物語で、バルテュスが10歳の頃に描いたデッサン40点を収めた一冊だ。彼の両親と親しかった詩人ライナー・マリア・リルケが、幼いバルテュスのデッサンに注目したのが出版のきっかけで、リルケ自身が序文を寄せている。

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一冊35ユーロ。限定出版なので購入は急がないと!

幻の本とされるもので、それをアスティエ・ド・ヴィラットの出版社が1921年の出版時と同じサイズ(24×30cm)、同じ鉛板印刷技術、そして同じように手綴じして今秋に再版した。昔の本の持つ活字、印刷の魅力が再現されて、まるでオブジェのように大切にしたくなる一冊。どことなく漂う人間の手仕事から生まれる不揃い感が愛おしくもある。アスティエ・ド・ヴィラットのイヴァン・ペリコーリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットが活版印刷によるパリガイド本『私のパリ生活』を2年前に出版したことを憶えているだろうか。古い印刷技術を持つ最後のアトリエを買い取り、そして出版部門を始めた彼らの最初の本がこれ。2冊目はルー・ドワイヨンのデッサン集で、それに次ぐ3冊目の出版物となる『Mitsou』。クリスマス・ギフトにとても喜ばれそうだ。

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10歳のバルテュスの筆によるデッサンが40点収められている。

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猫を愛するイヴァンとブノワ。アスティエ・ド・ヴィラットの新作には必ず猫が!

またこの秋には、Atelier de Balthusという名で、バルテュスのアトリエにインスパイアされたパフュームキャンドルとお香も登場した。大きなガラス窓の向こうに緑の牧場が眺められるアトリエ。そこに漂うのはテレピン油にタバコの煙、麻の布、床の杉材などが混じり合った香り……灯すだけで自宅がまるでアーティスティックな空間に変身するよう。

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Atelier de Balthusのパフュームキャンドル。

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バルテュスがアトリエで使用していた絵の具の容器を白い陶器で再現し、プラチナの蓋をかぶせた高級バージョンもある。

Astier de Villatte
173, rue Saint Honoré
75001 Paris
営)11:00〜19:30
休)日
www.astierdevillatte.com

réalisation:MARIKO OMURA

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