ベルエポックが香るファラモンで、価格手頃で美味な食事。
Paris 2020.02.05
おいしい食事を手頃な価格で、という時、雰囲気にはちょっと目をつぶってしまおうということがあるのでは? 創業を1832年に遡るLe petit bouillon Pharamond(ル・プティ・ブイヨン・ファラモン)は、前菜は2.60ユーロから、メインでも7.50ユーロというメニューで、かつ味も良く、そして19世紀のままの内装も美しく、働く人々が作り上げるビストロ的なカジュアルな雰囲気もパリっぽく……と、文句なしのレストランだ。もともとはノルマンディー名物のひとつである、カーン風臓物煮込みの店としてオープン。19世紀後半にレストランとなり、そのベルエポックの香り漂うインテリアは歴史的建造物に指定されている。
店内は19世紀のままの内装。
創業者Heutteの名前と後継者の孫Pharamondの名前がガラスに刻まれている。
店内、臓物煮込みの鍋が描かれた壁が残る。
2階席。ノルマンディーの名産、リンゴが壁に。
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地下鉄エティエンヌ・マルセル駅から徒歩で3〜4分、レ・アールの一角で2つの建物に挟まれたノルマンディー風の木組みの建築物が見えたら、それがファラモンだ。9カ月前にオーナーが代わり、古くも新しいグルメスポットはすぐさま話題を呼び、食事時間帯には行列ができている可能性があるが、それはそれでわかりやすい目印となるだろう。ブラッスリー的にノンストップ営業なので半端な時間に食事ができるのも、このレストランの魅力である。食材のクオリティと季節にこだわるので変更も加わるが、基本的にメニューに並ぶのはノルマンディー料理とビストロ料理。 前者には、たとえばカルヴァドス風味のフォアグラ(7.90ユーロ)、ビオの蜂蜜のカマンベール・チーズ・ロースト(6.90ユーロ)、ピュレを添えたノルマンディー風チキン・エスカロップ(8.50ユーロ)、そして“1832年来”カーン風臓物煮込み(10.90ユーロ)、デザートにはバターキャラメルのブリオッシュ・フレンチトースト(4.20ユーロ)……食いしん坊の心を惑わせる。ビストロ料理のほうは、おなじみポワロー葱のマリネ(3.30ユーロ)やら、ブッフ・ブルギニヨン(10.20ユーロ)など、なじみある料理の数々だ。食事のお供にワイン代わりにノルマンディー地方のシードル!というのもファラモンならでは。
3フロアからなるファラモン。テラス席も用意されている。
クラシックなウッフ・ミモザ。これで1.90ユーロ!
タルタルやブッフ・ブルギニヨンにはフランス産の肉を使用。
ニシンのブランダッド(9.90ユーロ)ほか、魚料理も各種。
これがカーン風臓物煮込み。
クレーム・ブリュレ、イル・フロタント、プロフィトロール……ビストロの定番デザートが揃っている。
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ファラモンには螺旋階段の上階に大小4つのサロンがある。ボワズリー、ペイントされたミラー、タイル、シャンデリアなどに美しく飾られた小部屋。6区のセーヌ河岸にあり、その昔男性が妻以外の女性と食事をとる場所として知られた高級レストランのラペルーズを思わせる。ファラモンは庶民にとってのラペルーズ的存在で、食事の代金にプラスするサロン貸し切り料金はスペースのサイズにより異なるが、さほど高価ではない。いちばん小さなサロンを貸切ってプロポーズ!というカップルもいるとか。
作家オスカー・ワイルドが通ったのも納得できる、上階の少々秘密めいた雰囲気。レ・アールという立地を忘れさせる。
4つのサロンは貸し切り可能。
24, rue de la Grande Truanderie
75001 Paris
営)12時〜24時(予約不可)
無休
réalisation:MARIKO OMURA