外出制限のフランス、サンディ・シャニョーの過ごし方。

Paris 2020.04.19

3月17日正午に始まった、フランスの外出制限。いったいいつまで……? 4月13日の午後8時、国歌ラ・マルセイエーズに続いてマクロン大統領の演説があり、そこで5月11日までの外出制限延期が発表された。クリエイターたちは外出制限が続くこの時期をどこで、どのように過ごしているのだろうか。どんなことを思っているのだろう。100%エコのプレタブランド「Happy Haus(ハッピー・ハウス)」の創立者&クリエイティブディレクターのサンディー・シャニョーに語ってもらおう。

Sandy Chagnaud(サンディ・シャニョー)

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Happy Hausの創立者でデザイナーのサンディ・シャニョー。photo:Courtesy of Sandy Chagnaud

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長持ちする自然素材が用いられ、時代を問わないデザインのHappy Haus。春夏コレクションより。

―― 外出制限期間をどこで過ごしていますか?

外出制限が始まるや、 パリから数km離れた場所にあるとてもきれいな小さな村のウィークエンドハウスに移動しました。夫のトマ、そしてふたりの娘アヌークとダナが一緒です。こうして田舎で家族全員が揃い、そして自然に囲まれた大好きな場所に“引きこもって”暮らせるのは実に幸運だと感じています。

―― 外出制限以降に始めた新しいこと、あるいは以前より時間をかけていることは?

いろいろとせがむ娘たちのおかげで、 安全で楽しいさまざまなことを思いついたり、実行しやすい方法に替えたりして彼女たちに提案しています。幸いにして彼女たちにもたくさんのアイデアがあるので、彼女たちからも提案してきます。たとえば、アヌークのおかげで、私はお菓子作りのエキスパートに! 昨日はマドレーヌ、一昨日はクッキー、先週はヨーグルトケーキやチョコレートケーキ……。彼女たちが自分でデザインした服を縫えるようにと、裁縫のちょっとしたレッスンもしています。

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長女アヌークに裁縫を教えるサンディ。photo:Courtesy of Sandy Chagnaud

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―― この状況における喜びは?

家族が揃うあらゆる瞬間です。外出制限が始まる前の数週間は新しいコレクションのデザイン、素材の見本市巡り、クライアントたちへの夏物の発送など、とにかく仕事が忙しくて、家族と過ごす時間がとれず。娘たち、夫といられないことが不満でした。だから、いまこの時期を満喫! 外出制限にもよい面があるのです。一緒に歌い、娘たちが踊るというのが毎夕食後の習わしとなりました。家族揃って大笑いして……。引きこもっていながら、そこから抜け出す最高の方法です。

―― この時期、何が恋しいですか?

母、父、兄弟、友達。

―― この時期を仕事やクリエイションにどのように活用していますか?

現在の防疫の危機に面し、私を取り巻くすべての人々が自己防衛できるように、何か私のレべルでできることをしなければ、という必要を感じました。新型コロナウイルスに対する薬もワクチンなく、ただ他人と距離をとり、マスクを着けることだけがいま私たちを守ってくれています。もっともそのマスクは世界中で不足中。パリから数kmのこの小さな村で、マスクを着けずに買い物をし、危険にさらされている人を見かけます。なかにはお年寄りもいます。

それで、Happy Hausの仕事をするポーランドの工場がほぼ休業状態にあったので、そこに頼んで国際環境NGOグリーンピースのデトックス認定を受けているデニムと、ビオの麻のストックでマスクを作るように依頼しました。これらの素材はワンピース、パンツ、コンビネゾンなどのために用意してあったものです。

原則はシンプルで、あらゆる人と連帯することがベースです。1枚10ユーロでマスクを購入してもらうことで、その売り上げを、より危険にさらされている人々に無料で贈るための3枚のマスクの製造費用にあてます。この活動はHappy Hausには金銭的な利益をもたらしませんが、ウイルスによるこの巨大な挑戦に対する我々のちょっとした貢献なのです。

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Happy Hausが使用しているのはグリーンピースによるデトックス認定を受けているデニム。photo:Courtesy of Sandy Chagnaud

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―― どのような装いで過ごしていますか?

外出制限が始まって以来よい天候が続き、暑さも感じるので、私のブランドのなかからお気に入りの麻のワンピースを着ています。とても軽い「Anouk」という名前の薄紫色の袖なしワンピース、そして夏のコレクションからバナナ色のワンピースの「Gaby」。Tシャツ感覚で纏います。

―― どのような音楽を聴いていますか?

ネーナの「99 Luftballons」! 子ども時代の大ヒットです。娘たちもこれを歌うのが大好き。この1カ月、ずっとこれを聞きっぱなし。踊るにはブルーノ・マーズ、その後アグネス・オベルを聞いて心を鎮めます。彼女の仕事、とても好きです。

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Happy Hausのマスクをつけたアヌークとダナ。photo:Courtesy of Sandy Chagnaud

―― 外出制限期をよりよく過ごすために、自身に課していることは?

仕事を続け、デザインを続け、アイデアを持ち続け、そして先のことを考えることです。

―― 現在のいちばんの関心事、気がかりは?

オンラインショップで販売を始めてから大勢の人たちからHappy Hausのマスクのリクエストがあり、こうして賛助してくれる購入者たちの連帯のおかげで、感染の危機にさらされている人々に私たちはもうじき何千枚ものマスクを無料配布することができます。いまの私の最大の関心事はマスクを贈ること、必要としている団体や組織を介してベストの方法で行うことです。

―― 健康のため、何か運動をしていますか?

早朝、娘たちが起きる前に時間がある時は、すぐに1時間のジョギングに出かけます。もともと走ることが好きで、この時間は私だけのものです。おまけに春なので、自然は素晴らしい!!

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美しい自然に囲まれ、一家は日々を送っている。photo:Courtesy of Sandy Chagnaud

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―― 外出制限によって、発見したことがありますか?

私にとっての明らかな発見、それはわずかなものだけで私たちは生きていけるということです。それも、そう不便ではなく。いまの信じがたく不安な状況は、約5年前にHappy Hausを設立しようと決めた確信がより強いものとなりました。その当時、歩みを遅らせて、よりよい消費のために消費量を減らすべきだという直感がすでにありました。

流行遅れになることがなく、着るだけでうれしくなるシンプルでピュアでフェミニンな服を作るためには、長持ちし、時間の経過とともにより美しくなるノーブルできれいで丈夫な素材、私たちの環境にできるだけダメージを与えない素材を選びます。それらはほとんどが自然から生まれた素材です。

それらを用い、あえて型数がさほど多くなく、一年中着ることができるワードローブを提案したいと思いました。私のすべき社会参加に合致するアイテムは何だろう、とじっくりと考えた結果が、私が愛用しているデニムやコットンのようなシンプルでノーブルな素材で作られたエッセンシャルピース。つまり何着かのワンピース、何本かのパンツ、コート1着、ジャケットも1着か2着、チュニックなのです。

―― 外出できるようになったら、何をしたいですか?

南仏にいる父に会いに行くことです。そして、犬を養子に迎えること! これは外出制限前からの私の夢なんです。

 

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réalisation : MARIKO OMURA

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