サントノーレ通りに、ディオールの新しいワンダーランド。

Paris 2020.08.07

カンボン通りとサントノーレ通りのコーナーに、7月上旬、ディオールの新しいブティックがオープンした。かつてロベルト・カヴァリのブティックだった場所で、パリの中心部にこんなに広い店が!!と驚かされる、実にゆったりとした空間である。

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2020 フォール コレクションのエクスクルーシブプロダクトも販売。©Sarah Blais

18世紀の建物の中に作り上げられた5フロアからなるブティック。地上階はバッグ、買い求めやすいジュエリー、香水など、ディオールの世界に気軽に接することを可能にしてくれるフロアだ。店内に足を踏み入れた瞬間、心地よい空間が感じられるのは、脇の通りに面して横長く大きな窓が開き、向かいにある壁の鏡がその明るい窓を反射し、さらにディオール メゾンとプレタポルテ、そしてファインジュエリーを扱う2階の天井までの吹き抜けになっているせいだろう。建築家ピーター・マリノの空間マジック、さすが!!

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2階のレディスプレタの売り場と吹き抜けのエントランスホール。©Aldo Sperber

閉塞感のない快適感に誘われ、上階へとブティック・クルージングを続けよう。合計5フロアのブティックで、2階から上のフロアはカンボン通り側にたっぷりと窓をとり、店内のあちこちに設けられた縦長の鏡の壁がその開放感を倍増している。3階から5階まで続く中庭の壁を緑の植物で埋め尽くした垂直の庭に込められたのは、創業者クリスチャン・ディオールへの思い出だ。その庭もまた鏡の魔法で、思いがけない場所に姿を現すのがおもしろい。また創業者がクチュールメゾン内に設けたオブジェ類を販売するブティック「コリフィシエ」でしたように、トワル ドゥ ジュイの壁も見つけられる。

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2階の一角を占めるディオール メゾン。©Aldo Sperber

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フランク・エヴェノーによる試着室のテーブル(左)、18世紀風メダイヨンをモダンにアレンジした椅子(右)などデザイン面のおもしろさが、ショッピング時間をより豊かに。

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3階は2階に続いてレディスのプレタ、4〜5階がメンズという構成。各フロアごとに異なる内装は、壁に用いられている素材から、配された什器、家具やカーペットまでデザインファンの視線を引きつけるはずだ。ピエール・ポーランの椅子、マティア・ボネッティの銀の木脚のテーブル、フランク・エヴェノーの植物を模した小さなテーブル……。3階のサントノーレ通りに面した一室に置かれているのは、メゾンのアイコンのひとつである18世紀のメダイヨンを想起させる背もたれのモダンな肘掛椅子だ。この部屋は歴史的建造物指定なので建築当時の豪奢な装飾が天井に残され、壁にはアーティストのニコラ・リュエルが捉えたヴェルサイユ宮殿の鏡の間の写真がゴールドに輝いている。店内にはこの作品に限らずパオロ・ロヴェルシーの写真、マルタン・ドルジュヴァル、ピーター・シールなどピーター・マリノがセレクションした多数のアーティストの作品が飾られ、ブティックというより、コンテンポラリーとエレガンスが上手にミックスされた都会のアパルトマンといった雰囲気。4階と5階のメンズフロアも、レディスフロアとは異なるスタイルのデザインが目を楽しませてくれる。

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3階のレディスプレタ。マリア・グラツィア・キウリによるプレタポルテが映えるシンプルな空間だ。©Aldo Sperber

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垂直の庭の眺めに、植物を愛した創業者へ想いをはせる。©Aldo Sperber

パーソナリゼーションサービスのためのキャビネ・ドゥ・キュリオジテ風の小さなスペースには、特別感があふれている。このブティックだけのエクスクルーシブプロダクトも用意されているのは、もちろん。モンテーニュ大通りの本店の改装工事が終わるのを待ちながら、この新しいワンダーランドで遊んでみよう。

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エクスクルーシブプロダクト。©Sarah Blais

ブティックを出た後は、カンボン通り側の向かいのノートル・ダム・ドゥ・ラソンプション教会の広場から建物の全貌を眺めてみてほしい。ディオールの世界の旅はここまで続いているのである。

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教会からの見事な眺め。©Aldo Sperber

Dior
261, rue Saint Honoré
75001 Paris
営)10時〜19時
休)なし

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réalisation : MARIKO OMURA

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