アントワネット・ポワソン、3種の香りとその魅惑の世界。
Paris 2020.10.29
モノプリとのコラボレーションによるクリスマスコレクションを発表したアントワネット・ポワソン。その発売開始を待つファンたちをさらに喜ばせたのは、アントワネット・ポワソンの香水3種の発表だ。10月15日から、11区のアントワネット・ポワソンのブティックとデパートのボン・マルシェで販売されている。
18世紀の壁紙、ドミノペーパーを現代に復活させたことで知られるアントワネット・ポワソンはそのブランド名をルイ15世の公妾ポンパドゥール侯爵夫人(1721〜1764年)の平民時代の名前から頂いている。フランスの内装におけるドミノペーパーの黄金時代だった18世紀に生きた才色兼備の彼女へのオマージュからだ。そしてアントワネット・ポワソンが初めて世に出した3種の香りは、ジャンヌ=アントワネット・ポワソンとして生まれ、ポンパドゥール侯爵夫人として亡くなった彼女の並はずれた運命がインスピレーション源である。3種の香りは、彼女の42年間の生涯の3つの時代を表現している。数年前から香りのアイデアを温めていた創業者ジャン=バティストとヴァンサンが、やっと理想のパフューマー、リン・ハリスに巡り合えたことで香りが完成。オリジナルのパッケージデザインも素晴らしい、3つの香りを“時代順”に紹介しよう。
ブティック内に造り上げられた香りのための小部屋。彫り模様のある18世紀風の美しいボトルに納められた3種の香りが並んでいる。photo:MARIKO OMURA
小部屋の壁には、パッケージのモチーフとボトルをディスプレイした楕円のウィンドウが。photo : MARIKO OMURA
1つ目は「Joli Bois(ジョリ・ボワ)」。 結婚しデティオール夫人となったジャンヌ=アントワネット・ポワソンは、1743年夏、ルイ15世が狩猟する森の近くで待ち伏せをして、王との出会いに成功する。彼は22歳の美しい彼女にすぐさま魅了されてしまう。すべての始まりは森から……。
若さを感じさせるフレッシュなグリーンノートで、リン・ハリスはこの香りについて「無垢、欲望、魅了、出会い、森の緑」と語る。「Joli Bois」 100ml 220ユーロ
パッケージのモチーフは18世紀のオービュッソン・タペストリーにインスパイアされている。
2つ目の「Bien Aimée(ビアン・エメ)」。1745年9月14日、アントワネット・ポワソンはポンパドゥール侯爵夫人の称号とヴェルサイユの宮廷に居殿を得る。ルイ15世の寵姫となり、たっぷりと愛情を注がれて暮らす彼女は王の最愛の女性(ビアン・エメ)。王の愛に包まれ、ひとりの女性として開花する彼女が散歩を楽しんだ花咲く宮殿の庭へと、この香りが誘う。
ヴェルサイユ宮殿の庭へと誘うフローラル&パウダリーノート。彼女が抱える摘みたての花の束から漂う、まだ少し土の匂いも含まれているような新鮮な香りがイメージだ。リン・ハリスは今回どの香りにもスギを調香していて、この香りでは花のほの甘さの中に凛とした気品を感じさせる役を果たしている。「Bien Aimée」 100ml 220ユーロ
パッケージのモチーフは、ジャン=バティストとヴァンサンが数年前にブロカントで見つけた18世紀の服に刺繍されていた花々のコンポジション。彼女の人生の輝かしい時期であることを感じさせるように明るい黄色をベースにした。
最後は「Tison(ティゾン)」。1751年、ルイ15世の最愛の寵姫ではなくなり、ポンパドゥール侯爵夫人は30歳で宮殿を去ることに。42歳で亡くなるまで静かな余生を送り、王からは深い愛情と信頼が最後まで彼女には注がれた。そんな彼女の暮らしをイメージした香りに、暖炉などの薪の燃え残りを意味する名前が付けられた。
穏やかに暮らす夫人の居間では、暖炉で薪が静かに燃え終わろうとして……スモーキー&ウッディな香りは女性にも男性にも。ドミノペーパーのテクニックを用いて、本が並ぶ書棚のある暖かくコージーな室内を連想させる小さなモチーフの連続をこの香りのために彼らはクリエイトした。ポンパドゥール侯爵夫人が室内装飾を好んだことにもインスパイアされたそうだ。「Tison」 100ml 220ユーロ
香水を選ぶ時、香りで迷うのはもちろんだが、アントワネット・ポワソンの香りはパッケージでも迷わせるほどモチーフが素敵だ。これら3種のモチーフは壁紙、ファブリック、あるいはボックスなどのオブジェでも入手できる。お気に入りの香りの世界を自宅に作り上げてみたくなる誘惑!
3種のモチーフを生かしたボックス、フレームなどのオブジェ類。photos : MARIKO OMURA
ファブリックもブティックで販売中。photo : MARIKO OMURA
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réalisation : MARIKO OMURA