パトゥのファンタジア・ボタニカ、カラフルに花開く。

Paris 2021.03.08

3月3日、パトゥの「アクト3-4」(2021年秋冬コレクション)が発表された。2019年にギヨーム・アンリをアーティスティック・ディレクターに迎えた最初のコレクションから、Need Now Buy Nowをうたっているパトゥ。このコレクションも極めて薄手のポリエステル素材などの服は、6月からブティックで販売されるという。その日を楽しみに、ギヨームにコレクションを紹介してもらおう。

レッド・ガーデン

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日没の早い冬の間、春を待ち焦がれたギヨーム。そんな彼がクリエイトした新しいコレクションは陽気で、フレッシュで、太陽のような明るさにあふれている。パトゥで1964年から75年までアーティスティック・ディレクターを務めたミッシェル・ゴマの花のプリントに“ビタミン”を感じたギヨームは、それらの花をコレクションに開花させたのだ。

クチュールメゾンだった歴史からギヨームはボリュームを大切にし、また創立者ジャン・パトゥがスポーツのアリュールをクチュールに取り入れていたことを継承し、彼も身体の動きが拘束されない自由な服を女性たちに提案している。たとえば袖や裾などにゴムを使っているのも、それゆえ。動きが自由なだけでなく、着る女性が服のボリュームを好きに変化させることもできる。ドレスの丈を長くしたり、短くしたり……。

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イエロー・ガーデン

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ギヨームは“プレイフル”という発想が大好き。たとえば、ジャケット、ドレス、スカートの重ね着というように、女性たちがゲーム感覚で自由にコーディネートできるように彼はコレクションを作っている。それにさまざまなオケージョンに対応できるようにと、一着の服も複数の顔をもつ。たっぷりしたブラウスの襟元のリボンをルーズにすればセクシー、きっちり閉めてお澄ましさんだ。また、毎回彼のコレクションに登場するオーストリッチの羽は、取り外すことが可能だ。「今回は4回目のコレクション発表ですが、オーストリッチの羽は最初のコレクションから。実用性も意識して、羽はつけ外しできます。外出に羽をまったく必要としない女性もいるので、羽なしでも購入できるんですよ」

パトゥの人気アイテムのひとつは、ギピュールの襟である。前回のコレクションでも世界的にソールドアウト。毎回、襟のフォルムもモチーフも新たにデザインしている。「ベストセラーです。でも、大きな襟をつける勇気がないという女性もいます。このコレクションでは、ギピュールのネックレスを作りました。パトゥでは小物はとりわけジュエリーに集中しています。これまで帽子もデザインしていますが、今回花の冠のようなヘッドピースを作ってみました。ちょっとフォークロアな雰囲気ですね」

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ブルー・ガーデン

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「パトゥではモードのファンタジーに、職人による手仕事を多く取り入れています。かぎ針編みは東欧、ギピュールはフランス西部の町で……というように」

使用する素材はほとんどがパトゥのために開発されたエクスクルーシブだという。ポリエステルはリサイクル、デニムはオーガニック……エコ・レスポンシブルとゼロ・ウェイストへの意識が高く、たとえばコートに前回と同じホイッスラー・ボタンを使っている。

「コレクション自体も小ぶりです。今回でいえばコートが2型、ジャケットが4型というように……。無駄を出すためのクリエイトはしたくないのです。でも、小さなコレクションの中にいろいろな要素を込めてるので、ミックスの楽しみはたくさんあります。オフィスライクなジャケットだって、ボールスカートを合わせれば表情が変わりますね」

コーディネートのベースには、多くニットを合わせている。その上にブラウス、そしてジャケットを重ねて、と。着こなしで遊べるので、2019年の新生以来パトゥ・アディクトは増え続け、モード関係者もパトゥファンなら、フランスの地方に住むギヨームの従姉妹だってパトゥのファンだ!と彼は語る。

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ラベンダー・ガーデン

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「ぼくは色の微妙なミックスが好きです。創業者のジャン・パトゥは色にとてもセンシブルでした。そしてその後継者のクリスチャン・ラクロワ、カール・ラガーフェルドも……」

ギヨームと彼のチームのお気に入りであるフランス人写真家ポール・ルストー。新コレクションの発表に際し、彼の撮影によるパトゥを纏った女性が色に溶け込むような写真を会場に展示した。この日パリは太陽に恵まれ、明るく陽気な雰囲気がファンタジア・ボタニカを包み込んでいた。

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サニー・ガーデン

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パリコレクションで発表された2分強のビデオは、パトゥのインスタグラムで見ることができる。コレクションのルックブックの撮影光景で、白い扉の前にモデルのスージー・バードが立つと、ポケットに手をいれて、ああ、きれいだ、横を向いて、そのエネルギーで続けて……というようにギヨームが声をかけるのだが、映像と彼の声はあえてずらされている。ファンタジーあふれる花の世界。ますますパトゥ・ファンがふえること間違いなしのコレクションだ。

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小物類もカラフルに。

Patou
https://intl.patou.com
Instagram:@patou

réalisation : MARIKO OMURA

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