パリの新しいパン屋さんはクリストフ・ミシャラクのコパン!
Paris 2021.10.03
左: クリストフ・ミシャラク。 右: コパン。10ユーロ/kg ©️Delphine Michalak
フォーブル・ポワソニエ通りのパティスリーのブティックの並びに、クリストフ・ミシャラクがパン屋さんをオープンした。その名は「Kopain(コパン)」。仲間を意味するcopain(コパン)とMichalakのKを合わせた店名なのだが、もともと“copain”という言葉はパンを共に分かち合うことから「仲間」の意味となったのだ。クリストフはその語源にポイントを置き、大ぶりのマドレーヌ、巨大なブリオッシュ、そして1mのマーブルケーキというように、分かち合って味わいたいサイズの品でショーケースを賑わせている。たっぷりサイズはよりおいしそうに見えるので、子どもたちはショーケースから離れられなくなってしまうだろう……いや、大人もかも。これからのパリ土産には、最終日に買い込んだコパンの“粉もの”が喜ばれるようになるかもしれない。
左: 手前はマドレーヌ。シシリアのレモン味は1個2.5ユーロ。中央のアーモンド・マドレーヌは1個2.40ユーロ。後方はフィナンシエ3種(バニラ、キャラメル、ノワゼット)。 右: シェアして食べるブリオッシュ。photos:(左)Mariko Omura、 (右)Delphine Michalak
左: 手前はサンテミリオンのマカロン。後方の左は9区のブルダルゥ通りで生まれたブルダルゥ(4.5ユーロ/1ピース)、後方右手はカルパントラのメレンゲ。 右:栗のフランはいまの季節のお楽しみ。photos:Mariko Omura
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店名を授けた自家製天然酵母のパン“コパン”は、小麦粉T65、古代麦、濾過水、栗の蜂蜜、カマルグ地方の無精製塩を用い、ゆっくりとこねて、24時間発酵させて……もちもちのパンのできあがりだ。クリストフはパティシエになるより前、15歳の時にパン作りの修業をしている。コパンでは彼が子ども時代におばあちゃんと一緒にパンを買いに行ったときの感動を再現できたら、というのが彼の願い。近所のパン屋さん!というイメージを大切にした店づくりをした。
左: ビオの小麦粉、AOPのバター、ビオの卵、プロヴァンスのオリーブオイル……素材は吟味。 右: ドライフルーツ入りのパンも自慢のひとつ。photos:(左)Mariko Omura、(右)Delphine Michalak
パリ市内、ブーランジュリーは多数あるが、クリストフはフランスの地方や海外のちょっと珍しい味も用意して、口にする人々に日常の小さな幸せを与えてくれる。たとえば彼がニューヨークで発見したというクロワッサン・プレッツェル。クロワッサンといっても半月型はしておらず、丸いフォルムで軽い塩味が後をひくおいしさだ。その逆にフーガスというと塩味を思うけれど、マダガスカルのバニラのフーガスは上にブラウンシュガーかかり、ほどよい甘さがおやつの時間にぴったり。大西洋岸のヴァンデ地方の名物Bottereaux(ボットロー)はひと口サイズの揚げドーナッツのような感じ。ほの甘さがたまらない。この地方で生まれ育った子どもたちにとっては、おばあちゃんの味なのだそうだ。
左: クロワッサン・プレッツェル。 中:ボットロー(2.2ユーロ/100g) 右: ギリシャ風フォカッチャ。photos:(左、右)©️Delphine Michalak、(中)Mariko Omura
ランチタイムが近づく11時頃には、ショーケースにピザ、キッシュ、料理パンなども並ぶ。自宅から離れたパン屋さんにわざわざ買いに行くというのはパリっ子たちがあまりしないことだけど、コパンにはおいしいパン、パン屋さんのおいしいパティスリーを求めて、遠方から来る買い物客を早くも集めている。
左: 人参とフェタチーズのキッシュ。右: 店内。カフェ、フルーツジュースなど飲み物も販売している。右手の売り場は、レモンタルトやフランといったパン屋のパティスリーのコーナーだ。イートイン用のベンチ席もある。©️Delphine Michalak
60, rue du Faubourg Poissonière
75010 Paris
営)8:00〜19:30
休)日・月
www.boulangeriekopain.com
@christophe_michalak
editing: Mariko Omura