Hot from PARIS いまパリで起きているコト 持続可能なモードとは? パリらしいふたつの新スペース。
Paris 2021.10.19
いまのパリで注目の出来事を、パリ支局長の髙田昌枝がリポート。今回は、新しいアプローチでモード×サステイナブルを実現する新スペースを紹介します。
無駄遣いをなくし、ゴミを減らし、限りある資源を正しく使う──サステナビリティ(持続可能性)が世界共通の価値観になりつつある中、この秋オープンしたふたつのビッグアドレスは、モードの街ならではの新たな試みで、パリジェンヌたちの注目を浴びている。
ひとつは、プランタンウィメンズストアの最上階にオープンした、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に特化した売り場。不要になったモノや服も、修理やアップサイクル、ヴィンテージとして再活用し、新品を購入するだけの一方通行ではない、循環型の消費を提案する。エッフェル様式のメタル構造とガラスの丸屋根を持つ総面積1300㎡のフロアには、さまざまなブランドやショップが出店し、スニーカーの修理やカスタマイズ、服のアップサイクル、金継ぎなど、再利用をベースにしたクリエイションが提案される。また、売り場の半分を占めるセカンド・プランタンは、ヴィンテージエディターを起用して、トレンド性の高い高品質のセレクトを展開。不要になった服やアクセサリーの持ち込みには、査定と買い取りのサービスも。環境に配慮した商品にラベル付けして販売するのはおなじみだが、モノの循環をフロアの中で実現しようとする試みが新しい。
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64, boulevard Haussmann 75009
tel:01-42-82-50-00
営)10:00~20:00(月〜土)、11:00 〜20:00(日)
無休
www.printempsfrance.com/magasins/parishaussmann
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もうひとつは、ラ・カゼルヌ。1877年に建てられた元消防署の大きな建物が、サステナモードの起業家を支援する場に生まれ変わり、9月27日に開業。第1期募集では40組以上の若手ブランドや起業家を迎え、サンプル製作のための共同アトリエ、写真スタジオ、エコ素材のショールームなどを提供する。中庭や多目的スペースでは、エコロジーをテーマにした展覧会やイベントを開催し、地産地消のベジタリアンレストランも併設。セレクトショップもオープンし、リサイクル素材や、フランス製にこだわったクリエイターたちのコレクションが店頭に並ぶ。起業家のためだけでなく、一般にも広く開かれたスペースとして、環境問題を考える交流の場になりそうだ。
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*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋
text: Masae Takata (Paris Office)